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2006.01.31
ありがとう
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「ごめんなさい」
そう言って彼女がうつむいて俺はそれ以上何も言えなくなる。
嫌いや。嫌いなんや、その言葉。
「ごめん」って言われたら、それ以上何か言うことは
全部お前を責めることになるやろ?
「うん、ごめん」
だから。
それ、やめろって。
ごめんて言われたら、俺が何も、言えなくなんねん。
「ありがとう?」
そう、ありがとう。
こういうときは、ごめんやなくて。
ありがとうって言って。
いつも迷惑掛けてごめん、じゃなくて
いつも迷惑掛けてるけど一緒に居て話を聞いてくれてありがとう、って。
「うん。ごめ…ありがとう」
口癖のように「ごめん」を繰り返す彼女は声が小さくて
いつも俺の様子をうかがうような彼女。
電話の声も小さいから「え、なに?」って聞き返した俺に
すぐにごめん、って言ってそれ以上何も言わないから
バカみたいに声が大きくて体育会系のノリで騒ぐ俺と、
みんなが騒いでいるときにいつも後ろの方で静かに笑ってる彼女。
春の新歓シーズン。サークルのみんなで新入生を交えて酒を飲んで、
朝の3時くらいまで騒いでる中に彼女は居た。
ウーロン茶の入ったグラスを両手で持って
俺は大声で周りの奴らと騒いでた輪を抜けてその隣に座った。
「酒、飲まないの?」
「ごめんなさい、飲めないんです」
「ふーん、ええけどさ。もっとせっかくやからみんなと馴染もうや」
「はい、ごめんなさい」
「たのしい?」
「えっと、はい。すごく。こういう風にみんなが笑ってるのを見るの。好きなんです」
「そっか、よかった」
「あの」
「なに?」
「ごめんなさい、あの、わたし。喋るのとか苦手で」
「ええよ、無理せんでも。自分が楽しいのが一番や」
「はい」
そう言って微笑んだ彼女が、すごく自然に微笑んだ彼女の顔が、
俺はしばらく頭から離れなくてもっともっとその顔を見たいと思って、
酒を飲めないのにいつもサークルの飲み会に顔を出す彼女の隣に、
俺はなんとなく座るようになってバカみたいにたくさん喋った。
彼女は俺が話す内容にひとつひとつ真剣な目をして聞いて、
時々ちょっと目を伏せながらも笑って、
声を立てて大声で笑うことは無かったけれど、
その唇が少しだけふわりと開いて目が少しだけ細くなる顔を、
俺はずっと見ていたくてたまらなくて。
「なぁ、彼氏とか好きな人、おるん?」
ふだん全然映画なんか興味ないくせに、
ちょっと「この映画見たいな」って口にしたのを聞いて俺は彼女を映画に誘った。
映画は何かの小説が原作らしくて、彼女はその映画が好きで
俺は本を読むと眠くなるからもちろんその小説を読んだことが無くて、
映画もそんなに面白いとは思えなかったけど彼女が見たいって映画だから
きっと面白いんだって思って必死に見たその帰り。
無理矢理感想を言おうとして、でもうまいこと言えなくて
ちょっと沈黙が続いたときに俺は切り出した。
彼女はちょっとうつむいてこっちを見なかった。
マズったな、この空気。
必死に何かごまかそうと他の言葉を探そうとして、すぐにやめた。
遅かれ早かれ、だ。
「あんな、俺と、付きあわへん?と、いうか一緒に居てください」
その直後に彼女が鼻をすすって、ちょっと泣き出して。
完全にマズった、って俺が思ったときに彼女が。
「ごめんなさい」って。
「や、ごめん。気にせんで。うん…伝えたかっただけやから。俺のただのワガママやな」
そう言っても彼女は泣いたまま、もう一度。
「ごめんなさい」
そう言って。
いいよ、そんなに。謝らないでいい。
何か、本当に俺が悪いみたいで凹むから、さ。
そう言おうとして彼女を見たら彼女はこっちを向いて、
「ごめんなさい、嬉しいです。よろしくお願いします」
って言うから俺は驚いて、すっかりフラれたって思ってたから、
「へっ?」ってマヌケな声を出して。
結局、彼女は「こんな自分でいいのか」ってことを気にして
「ごめんなさい」と言ったらしく、でもそれを俺が分かるまでに
それから2時間くらいかかった。
そのあと近くのファミレスで彼女はずっと泣いてて、
途切れ途切れになんでごめんなさいって言って泣いてたのかを、
何度も何度も「ごめんなさい」って泣きながら言うから、
全部理解するのにすごく時間がかかった。
周りから見たら、付き合いたてほやほやの俺たちは
別れようとしてるカップルにしか見えなかったと思う。
「ん。でも良かった」
分かって安心した俺が笑って、やっと彼女も笑って。
泣きすぎて腫れた目で笑ったその顔は、やっぱり俺が大好きな顔だった。
「ごめんなさい」
それからも彼女は何か言う度にその言葉を口にした。
「もう、口癖なんだと思う」ちいさく彼女は言って、だから俺は彼女に言った。
ごめん、の代わりにありがとう、って言って。
ごめんの数が少しずつ減って、ありがとうと彼女が笑いながら僕に言う。
それがすごくすごく良くて、「おう」ってぶっきらぼうに言いながら、
俺は彼女の頭をくしゃくしゃってして。
それから2度目の春を迎えたときに、俺と彼女が終わった。
原因は何だろう。
いま考えても、はっきりとした理由があったって思い出せない。
「なんとなく」そう友達に苦笑い混じりに答えてた。
「ありがとう」
最後に彼女の部屋を出るときに、すごくはっきりした声で彼女が言った。
それはいつも静かで声も小さくて、でも静かに笑う顔がすごく可愛かった彼女が、
今までにいちばんはっきりと大きな声で言った言葉。
俺は玄関でドアを片手で支えながら彼女の顔を見て、
彼女のその唇が少しだけふわりと開いて目が少しだけ細くなる顔を見た。
彼女は笑っていてその顔は俺が好きだった笑顔で。
「ありがとう、ね。一緒に居てくれて」
それを聞いたとき、俺の方が泣きそうで情けない顔をしていたのかも知れない。
彼女はすぐ、ごめんなさいと言ってうつむいた。
俺はごめんって聞くのが嫌いで、
彼女にありがとうって言うんだと言った。
最後にとても自然に彼女がありがとうって言って、
逆に俺はありがとうって言えなかった。
このお話は、
「オリゴ糖って言うと、えなりかずきがありがとうって言ってるように聞こえるんだぜ!」
と得意げに僕に話してくれた友達の言葉から生まれました。
ありがとう。でも全然そうは聞こえないんだ。
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Last updated 2006.01.31 14:26:27
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