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2006.06.20
クーについて
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みんなからはクーと呼ばれていたから、僕も彼女をクーと呼んだ。
初めて会ったのはバイト先のいっこ上の先輩のマサヤくんがバイトの飲み会の2次会に連れてきたときで、そのときクーは18歳だと言って、その1ヵ月後に実は16歳だったことを知った。その場で本名も聞いた気もする。でもすごく周りがうるさくてよく聞き取れなかった。それに僕は1次会ですでに酔っていた。「今日もクソ忙しかったけど、お疲れっしたー!!」2次会の乾杯の挨拶は1次会と一緒で、確か前の飲み会の時とも同じだった。
大学に入ってからすぐに僕はここのバイトを始めて、正直バイトはクソがつくほど面白く無くて忙しかったけれどその分バイトの人たちはクソがつくほど面白かった。何だかんだ理由をつけて週に一度は朝まで飲んだ。僕がそのバイトをやっていた時期は、実質3ヶ月と半月くらいだったけれど20回近くは飲んだからそういう計算になる。特にマサヤくんはバイトの中でもリーダーというかムードメーカー的な存在で、いかにも遊んでそうな大学生の風貌で、そして実際遊んでいた。悪い人では決して無かったけれど。クーはマサヤくんの隣に座って、その向かいが僕だった。田舎から出てきたばかりの僕は、大学デビューに憧れて、バイトを始めて最初のうちはこういう場に慣れているように振舞っていたけれど、その頃にはたぶん、少しは本当に慣れていて、女の子に「遊んでそうな大学生」のような喋り方をしていた。
「お、ハジメマシテー」
僕がそう言うとすごくゆっくりとした喋り方で「こんばんわー」と言った。頭が悪そうな子だなと思った。クーはマサヤくんの隣にずっといて、周りの会話に時々笑ったりもしていたけど、大体きょとんとした顔をしていた。肩まである髪は真っ黒のストレートで、長すぎるくらいのマスカラの下に見えた黒目が大きくて、対照的に胸の辺りが広く開いた服から見える肌が真っ白だった。白黒のコントラストが強い見た目とは違って、中身はぼんやりとしてそうだった。
大体、深夜を過ぎた飲み屋のトイレはひどい状況になっている。特に週末ともなれば凄惨な現場を目にする可能性は高い。おえぇと声を立てる何人かの「死骸」が転がっているトイレから戻ってくる時に、矢場くんとすれ違った。矢場くんが上機嫌そうに「おー」と手をあげた。
「なぁ、あの、今日来てたクーて子、いるじゃん」
「ああ、マサヤくんが連れてきた子っすか?」
「そうそう、あの子、さ。誰とでも寝るらしーよ」
「マサヤくんの彼女じゃないんすか?」
「マサヤの彼女じゃねーよ。アイツいま居ないって。あ、いるかも。まぁいいや。クーは、便利な子ってやつ」
ちょっとフラフラしながら矢場くんはトイレに行った。『誰とでも寝る子』って、実際にはあまり聞かないけれど。やっぱりそういう子はいるんだなと思った。矢場くんは「らしーよ」って言っていたので矢場くんとは寝てないんだとも思った。それから僕はセックスのことを『寝る』っていうのはテレビの中だけだと思っていたので、そう聞いてもなんだかぱっとしないまま席に戻った。クーはウーロン茶を飲んでいて、その視界に入るようにわざと身体を乗り出し、いま聞いたことを表に出さないように「たっだいまー」と変に高いテンションで言った。「おかえりー」手を目の前でパタパタと振って笑った。その喋り方はやっぱりゆっくりでバカっぽいなと思った。
クーは飲み会の度に席に居た。よく考えたらクーは高校生のくせに、朝まで僕らと飲んでいることがほとんどだった。都会の高校生はこんなもんだと僕は勝手に納得した。でもそれから今までの間で、僕はクー以外に朝まで飲み屋にいる高校生には一度も出会ったことが無い。とにかく、僕はいつの間にかクーの電話番号とアドレスを知っていて、「女子高生を紹介しろよー」と相変わらず「遊んでいる大学生」のようなことをしていた。酒が無い席で女子高生と盛り上がる術なんか知らないくせに。クーは本当に女子高生を連れてきて僕と大学の友達とカラオケに行ったこともあった。大学の友達はクラスが同じってだけで、その話をしたときに初めてメルアドを知ったくらいの仲で、少なくとも僕よりは本当に「遊んでそうな大学生」だった。カラオケのとき、僕はクー以外の女の子とほとんど喋ること無く、一緒に行ったヤツのひとりはそのときの女の子と付き合い、別の一人は自慢げに「女子高生を喰った」とその2週間後に僕に言った。「マジでかー!」と僕は大げさに言いつつも、それほど何とも思わなかった。クーはカラオケのあと、「意外に大人しいんだねぇ」と僕に言い、なんだか悔しいような気がした。「女子高生を喰った」って自慢してるヤツの話を聞いたとき、そいつの方が世間では普通と思われているような気がして、それを少し思い出した。
クーが僕を呼び出したのは、バイトを辞めて1ヶ月くらいの真夏で、僕は日雇いのイベント設営のバイトをした帰りだった。真っ黒に日に焼けた僕を見て、「遊びに行ったのー?」と聞いて「バイト」とだけ答えた。
「あのね、わたし、マサヤに告白しようと思ってる」
前置きも何も無く、クーが話し始めた。
「どうすれば、いいと思う?なんて言われたら男の子は嬉しい?」
バイトを辞めるまでの間、僕はマサヤくんとよく一緒に遊んでいた。飲みにも行ったし、バイトのメンバーでバーベキューに行ったりもした。それは僕がバイトを辞めた後もちょくちょくあって、僕はマサヤくんのことをよく知ってるつもりだった。面倒見がいい人で、周りをよく見て、リーダーシップもある。何より頭が良かった。勉強じゃなくて、生きてく上での。ただ、女癖だけが本当に悪かった。きっと、僕なんかが想像できないくらいうまいことやるんだろうけれど、何人もの女の子の話を、何人もの人から聞いた。
「無理だと思うよ」
僕は率直に答えた。変に期待を持たせても仕方が無いと思った。高校生だったら、マサヤくんなんかすごく魅力的に見えるだろう。憧れの対象になっても全然無理は無い。でも、それだけのほうがいいと思った。
「マサヤくん、すげー遊んでるって知ってるでしょ」
「うん。知ってる」
「告白しようが、何も変わらんよ」
「それも分かってる。って、バカかな、わたし」
オレンジジュースの氷をストローで1回だけつついた。僕は背伸びして頼んだ好きでもないアイスコーヒーを一気に飲んだ。
「バカだと思う」
最初から僕はクーをバカっぽいと思っていたし。『誰とでも寝る子』って言われているのが、更にそれを強く思わせた。実際に誰とでも寝るのかは知らないけれど。
言った顔は今にも泣きそうだった。少し慌てて付け加えた。
「恋は、人をバカにするって言うしな。仕方ないかもだけど」
全然フォローにも何もなってなかった。しかも、ろくに恋もしたことのない僕が言うんだから、いま考えると僕もバカにしか見えない。
「ありがとう」
クーは何のお礼か分からないお礼を言った。僕はきまりが悪くなった。
「したいなら、すればいいじゃん。でも無理だと思う」
「うん。何て言えばいいと思う?」
「何て言えばって。『好き』って言われたら嬉しいもんだよ」
僕の場合は、そうなんだろうけど。マサヤくんなんて告白され慣れてるだろうな。きっと、すごく、それは僕にとって難しすぎる問題だった。大学で初めての期末試験のどの問題よりも。そして僕はカンニングすることも出来ないのだから。
「うん、わかった。やってみる」
クーは残りのオレンジジュースをストローで吸って、僕はそれを見た。視界に胸の開いたキャミソールが入って、その白い肌と胸の谷間が見えた。
「ありがとう」
もう一度クーは僕にお礼を言った。
「あのねぇ」
「なに?」
「うんと、マサヤの次に好きだよ。2番目に」
「はぁ?」
「だから、マサヤにフラれたら、わたしと付き合ってください」
「何言ってんだ」
僕はつとめて冷静に言った。本当は動揺していた。胸元の白い谷間がまた視界に入って、『誰とでも寝る子』って言葉が僕の頭を回った。
「あんな、そんな2番手って言われて、保険みたいな言い方されて、喜ぶかと思うか?今の告白は2点」
「うん、だよねぇ。ごめんねぇ」
クーはそこで店に入ってから初めて笑った。笑った口から見えた歯もやっぱり白かった。
実はそれからクーとは会ってないし、連絡も無い。マサヤくんとはそれからも何回か遊んだ。あの後に連れてた女の子はクーじゃなかった。だから僕はマサヤくんにクーの事を聞くことも、クーに何かを聞くこともできなかった。クーがフラれるって最初から分かってて、やっぱりフラれたんだろうけれどクーは僕に付き合ってと言うことは無かった。
クーと初めて会ったのは、僕が大学に入ってすぐの18のときで、クーはそのとき自分のことを18歳と言ったけど本当は16歳だった。喋り方が頭悪そうで、実際にバカだって思ったこともあった。黒くて真っ直ぐな髪の毛と、大きな黒目。それと対照的な白い肌と白い歯。おっぱいが少し大きくて、胸の開いた服を着てることが多くて、そこから胸の谷間が少し見えてて。『誰とでも寝る子』って言われていた。それから、僕のことが、たぶん、好きだった子。2番目に好きだと言った子。
実際にクーが『誰とでも寝る子』だったのかは知らない。ただ、言えることは。クーは誰かに恋して、そして真剣に悩む子だったってこと。それと。
僕とクーは寝ていないってこと。
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Last updated 2006.06.22 01:22:38
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