のぽねこミステリ館

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2006.02.15
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円環の孤独

~講談社ノベルス~

(記事は、16日に書いています)

 2050年、宇宙空間に浮かぶステーションホテル。ここに、招待客など、 15人の客が宿泊していた。
 名探偵として有名なH・Mは、3年前に起きた事件の真相がわかった、と、吹聴してまわっていた。今回の客の中には、三年前の事件の関係者たちも集められている。その犯罪を、H・Mは皆の前で暴露しようとしていたようなのだが-。
 H・Mは殺された。首のうしろを刺されており、自殺とは考えられなかった。しかし、現場には不可解な点があった。ステーションホテルの鍵は、全てDNA識別によっている。内部でH・Mは死んでいるというのに、彼の部屋の鍵はロックされていた。
 三年前の事件にも、密室状況があったという。殺人鬼と呼ばれた男、時計に飾られたどくろ、そのどくろの紛失、闇夜を移動するどくろ…。その事件にも、不可解な点がいくつもあった。
 ステーションホテル内の事件、そして三年前の事件について、宿泊客として居合わせた日本の刑事、鈴木新が謎を解き明かす。

 私は、SFものは苦手なのですが、それでもなんとか読めました。しかし、ステーションホテルの機構の細かいところや、宇宙服を着てホテルから(万が一)出た場合でも、ホテルからそう離れてしまうことはないといったことなど、細かいところの説明は、登場人物の口を借りてなされており、「もっとも僕はそれ以上詳しいことは分からないけど」なんて言葉で濁されております。ステーションホテルの仕組みが本書の主題ではないにしても、主要舞台なのですから、せっかくこういう舞台にするんなら、もっと深めた設定にしておく方がよいのでは、と思いました。もっとも、私はあまりに物理学的な話になってついていけるわけじゃないですが、たとえば、分かる分からないは別として、竹本健治さん『匣の中の失楽』や乾くるみさん『匣の中』を興味深く読みましたので、細かい話を書いてもらっても楽しめたかな、と思いました。

 がちがちに古典的な本格ミステリを意識されているようなので、正直、2050年で宇宙に浮かぶホテル、という設定がミスマッチのような印象を受けました。そういう意味で、三年前に起こった事件の方は、<文字反転><ここまで>比較的面白いと思いました。どくろの紛失なんて、なかなか魅力的です。
 なお、作者の名前は、さびみちとし、と読むようです。

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トラックバック用リンクです。でこぽんさんの記事は こちら です。

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 ちょっと日記も。
 火曜日に風邪をひいてしまい、午前中は大学に行っていたのですが、あんまり具合が悪くなったので、昼過ぎに帰宅して、寝込んでいました。水曜日もほとんど寝込んでいたのですが、夕方くらいに少し落ち着いたので、なんとか本書を読了できた次第です。





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Last updated  2006.02.16 08:07:13
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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