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2010.06.03
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~創元推理文庫、2006年~

 高校3年生の頃、4人の男女が2ヶ月のあいだ交流したマーヤとの思い出と彼女への思いをつづる、長編小説です。
 それでは、内容紹介と感想を。

ーーー
 高校三年生の4月、春雨の降っていた日。センドーこと大刀洗とともに帰宅していたおれは、雨宿りしている白人女性を見つける。二人は、彼女に傘をあげようと声をかけた。それが、ユーゴスラヴィア出身のマーヤとの出会いだった。
 マーヤは、行く先もなく困っていた。二人は、実家が旅館を営む友人の白河に相談をもちかける。白河家の了承もあり、マーヤは旅館で働きながら過ごすことになった。
 おれの弓道の試合も見に来たマーヤたち。いろんなことに、彼女は興味をもち、尋ね(「哲学的な意味はありますか?」)、メモをとる。弓道部の友人である文原も誘い、古い町並みをマーヤたちと歩くときも、彼女はいろんなことに興味をもった。そして、彼女の目撃情報だけでは不思議に思われる出来事もいくつか起こり、おれは大刀洗からヒントをもらいながらその答えを探ったり。
 2ヶ月の後、帰国した彼女のことを、おれは決して忘れられなかった。


 いわゆる「日常の謎」もいくつか登場しますが、本作はそういった枠組みにとらわれない物語だと思います。高校生の頃に経験していた悲しいような、苦いような思いを思い出しながら、そして4人がともに過ごしたマーヤと彼女を取り巻く環境のことを思いながら、読み進めました。ラストにも、余韻が残ります。
 読了後、"The Seventh Hope"という本書の副題(目次の右ページ)に、深みを感じました。
 良い読書体験でした。

(2010/05/04読了)





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Last updated  2010.06.03 07:06:16
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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