ね、君が行きたいところへ行こうよ

ね、君が行きたいところへ行こうよ

さようなら・・・続 小さな子猫


コトリは一人ぼっちでした。






子猫は旅行に行く家族に連れられて、朝からバスケットに入れられ出掛けて行ったから。

コトリに挨拶するように、短く「にゃん」と鳴いて、そのまま赤い車に乗せられ行ってしましました。


コトリは、子猫には愛してくれる家族がいることをちゃんと知っていたし、自分と一緒に旅に出ることなんて出来ないって気付いていたから、そんな事で傷付いたり泣いたりしない・・・そう思っていました。











でも・・・










こんな満月の夜、一人ぼっちを感じてしまうと・・・
涙があとからあとから流れるのを止めることができませんでした。












前にも、こんな夜があったよね・・・







大好きだった・・・
耳のたれた茶色い大きな犬。

ずっと傍にいられると信じてた。
ここにおいでよって、一度は言ってくれたのに。

そこを動けないからって・・・
キミを幸せにする自信がないって・・・


ある日、
手紙を残していなくなっちゃった。

どこを探せばいいかも分からなくて、一人で呆然と立ちつくしたっけ。





「何もいらなかったのにな。
 どこかに冒険に行かなくても、ただ傍にいられれば幸せだと感じられたのに。

 私の幸せなんて、私にしかわからないのに。
 どうして、一緒にいると幸せじゃないなんて決めちゃうの・・・。」





でも・・・

もう伝えられるところにはいなかった。





いっぱい泣いた・・・。

いっぱい、いっぱい・・・。











満月を見ていると、コトリの目から涙がこぼれおちました。







どうして、みんな私じゃ駄目なんだろう・・・。





飛ぶことが好きだから?

泣き虫だから?

待つことが苦手だから?

大好きって言い過ぎちゃうから?




愛してしまう気持ちが重すぎるのかな・・・。









子猫が帰って来る前に、

遠くへ、また旅にでることにしました。




このままここにいると、いつか子猫を憎んでしまいそう・・・。

ここにいることを選んでるのは自分だってことも忘れて。



家族に愛想を振りまき、バスケットに入れられて遊びに行く子猫に嫉妬しちゃいそう。

そんな自分は嫌いだからね。





だから、今夜旅にでるの。

子猫の手紙も、もう届かないところ。



どこに行くかも言わない。

手紙も残さない。






さようなら。

もう二度と逢えないよ。

もう二度と。



キミが幸せになれることを祈ってる。

心からね。










夜空を飛ぼう。

ちょっとアブナイかもしれない。

鳥目だからね。

でも、大丈夫。

どうせ涙で滲んでるもの。





きっと逢えるはずだと信じて。

私だけを愛してくれて、一緒にいるだけで幸せに感じられる誰か。



出逢えたならば今度こそ、ずっと一緒にいられるように。

全部の愛で愛そう。








だからね、今までの愛していた気持ちは、全部ここに置いて行くの。




それが、たった一つ、私が残していくもの。

私のたくさんの思いと涙と、愛しさ。







さようなら。

今までの私。



さようなら。

弱虫の私。



さようなら。

今まで本当にありがとう・・・。






きっと、必ず幸せになるから。

だって私は飛べるんだもの(*^_^*)





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