仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2024.08.21
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カテゴリ: 宮城


■関連する過去の記事
「いただきます」について(その2) (合掌と教育)(05年11月24日)
「いただきます」について (05年11月24日)

ところで、どうして「いただきます」と言うのか。下記文献にはこう書いていた。
■島村恭則編『現代民俗学入門:身近な風習の秘密を解き明かす』創元社、2024年 から
(樽井由紀執筆部分。なお文中の=フリガナはおだずま付記)

ものを受け取る場面や食事をはじめる際、わたしたちは「いただきます」と言う。この言葉は、頭部(人体の頂=いただき)より上で行われる動作と関わりがある。神聖な存在や目上の人から物を受け取る際、頭を垂れ、両手を差し出す姿が「おしいただく」である。


奈良県では大晦日の夕方に、餅を頭上に「いただく」しぐさをしながら松明を回すフクマルコッコ(福丸よ来い)の行事がある。また、香川県高松市や徳島県由岐(現美波町)では、鮮魚を頭上で運搬する女性の行商人を「いただきさん」と呼ぶという。

頭上運搬の多くは海村で見られ、物を頭に載せた行商人を、瀬戸内海では広くカベリ、徳島でイタダキ、伊予の松前でオタタと呼ぶ。山村では、京都の大原女が有名。

同書に掲載された全国マップ(頭上運搬の分布)では、、東北で唯一、石巻市内(渡波あたりか)にドットが表示されている(なお新潟県で2か所。新潟市と上越市あたり)。出所は『民俗学辞典』東京堂出版、1951年、とある。

そこで、先日になってやっと某公共施設でこの書籍の現物にあたってみることができた。
■柳田國男監修 民俗學辭典 財團法人民俗學研究所編 東京堂出版
(なお、奥付には、「民俗学辞典 民俗学研究所編 東京堂出版」とある。昭和26年初版、昭和50年四八版、と表記されている。書籍はどなたかの寄附のようだった)

すると、冒頭の写真集の中の1つのページに「第九図 頭上運搬」として、3枚の写真がある。沖縄本島糸満、奄美大島住用村、伊豆式根島だ。また、とじ込み式(袖折り)の地図に「頭上運搬の分布」として全国35カ所が示されている。東北では

1 宮城縣牡鹿郡江島

だけである。朱色のドットはちゃんと海中(小さな離島なので)に示されている。私が最近読んだ上掲書の方は、ドットが誤りだ。なお、新潟の2か所は次の通り説明されている。

4 新潟縣三島郡出雲崎町


関係する記事(p29、p66、p305)を読んでみたが、今日伝承されているところの大部分は海村で女性がおこなうもの、などと説明されている。上掲書のとおりだ。

■関連する過去の記事(江島)
足島の海鳥に危機 (2017年1月9日)
江島列島 足島と笠貝島
離島と水道 (2016年3月17日)
善知鳥と女川江島 (2015年3月13日)
宮城の離島を考える (10年5月13日)
マリンパル女川 (10年5月6日)

■関連する過去の記事(新潟県出雲崎町)
東の妻入りと西の平入り (2022年5月14日)(新潟県出雲崎町)





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最終更新日  2024.08.21 16:35:00
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