おいしい　千葉　～ponの食べある記～

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店に入ると、新聞を見ていた店主が立ちあがった。半分消してあった照明を全部つける。できる料理はこんなにありますよ、というように沢山のメニューがはり出してある。

定番の「坦々麺」を頼む。店主がサービスの小皿を出してくれる。きゅうりと端切れチャーシューがのっている。

これをつまみながら、しばしこの先にやってくる楽宴を空想するのだ。ひき肉と辛味と麺がコングロマリットに絡みあって、口の中はすでにタンタンメンを食べるための準備というか、用意というか、戦闘態勢万端というか、クラウチングスタイルで前傾３５度＆眼光鋭くフェイスアップというか、とにかくスタイルは完全に出来あがっている。

もしも今「お客さん申しわけありません。坦々麺は品切れで出せません」と言われたら、ぜったい納得できず、他にどんな素晴らしいごちそうがでてきても不満足になるであろう。坦々麺を食べるためその一点だけで集中し、熱中し、ギラギラ生きている自分がいる。早い話、口の中はどろどろでデレデレで見事にやられてしまっている。唾液が次々とわいてくる。

それにしても、この閑散ぶりはどうなのか。もったいないな、残念だなと思うばかりだ。

そして本命のやつは、小切りのグレープフルーツとともにやってきた。小ネタは脇に置いておいて、さっそく正対する。レンゲでひき肉と辛々スープをすくい上げ口に直行。今度は、モヤシを脇から寄せながら、その具入りスープを口元に流し込む。それからおもむろに中太麺をごっそりとすくい取りごりごり頬ばる。難しそうな名前の中華の香辛料が効いているな、確か「花」という漢字を使っていたなと思うが、もうそんなのはどうでもいい。

からーい、うまーい、あまーい、やばーい。さっきからすっかり出来あがっていた口の中は、ほぼ予想通りの刺激と味覚と食感とで完全に悶絶寸前である。思考回路は止まり、全神経は口とその周囲に集中し、そのすばらしい符合・合致に歓喜し、のた打ちまわっている。たしかにコングロマリット、たしかに上々のカオス。本当にさくさくでゴニョゴニョでたぷんたぷんだ。辛くて旨くて甘くてやばい。ひき肉好き・麺類好き・辛味好きの私には、本格的にたまらない。

これはシンプルな１層構造のスープだが、芝麻醤（チーマージャン）ベースのたれと２層構造になった坦々麺も出して欲しい気がした。これ以外だって考えようと思えば考えられる。看板メニューとして何種類かのタンタンメンがあっても、よいではないか。

口直しの小切りのグレープフルーツで、本当にさっくりさっぱりと締めた。これはこれで前菜・メイン・デザートの立派なコースのように思えた。

そして満足感にみちた隙間にできたわずかな思考力でふたたび思うのだ。本当にもったいないな。もっと大勢の人に支持されていい店ではないか、と。

「四川料理　東東」（とんとん）
住　　所：市原市君塚１－２１－５－１０３
アクセス：平成通り、ネッツトヨタから少し八幡方向へ向った左側　Ｐ有
電話番号：０４３６－２４－２７１１
営業時間：１１：３０-２２：００/（日）１１：００-２１：００
定　　休：月曜日
メニュー：坦々麺７８０/ラーメン５３０/中華丼８００/
　　　　　炒飯８００/餃子４２０/
評　　価：☆☆☆☆☆