おいしい 千葉 ~ponの食べある記~

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2006.12.11
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カテゴリ: 千葉市


造りを見てみると、客単価の高い名店ゾーンの一番奥に位置している。中央エスカレーターから離れている上に、夜専のエレベーターからも最も遠い位置にある。確かに人通りがなさそうなエリアで、かわいそうな場所ではある。やがて、ここにふさわしい店が入るのだろうが、正直いって厳しそうだ。よほど吸引力のあるお店か、もしくは、吸引力のあるメニューを出すお店のどちらかしかないだろう。

きょうは「京鼎樓」に入った。台湾の人気店の日本進出第2号というふれこみだが。店の名前というより、小籠包という魅力あるメニューで集客しているお店だろう。いつ通っても長い行列ができていたのだが、幸いそれがなかったので入ってみることにした。

メニューを食い入るように精読する。品数豊富だ。中華料理専門店にひけをとらないくらいの品揃えをしている。ランチのあとなので、調子のよいセットがない。まわりのテーブルを見ると、やはりここの看板商品はみな注文しているようだ。それとあと何品か頼んでいる。こちらも中途半端な腹具合で、たんまり食べようとは思っていない。

メニューに●のついている料理があった。それには注釈がついていて(10~15分程度お時間を頂戴しております)とある。たとえば、小籠包にはついてなくて、肉饅頭にはついていた。一度店員さんを呼んできいてみた。やはりその言葉通りで、一つひとつ注文が入ってからパオを包みあげるし、蒸しに時間がかかるので、どうしてもそうなってしまうという。

回転率に響くので、普通はやらないだろうやり方。きちんとした鰻屋でしかやらないようなやり方を頑固に貫いている。デパート内であるにもかかわらずやっていることに、驚きを禁じ得ない。

結局、小籠包と春巻を注文した。春巻のほうは例の黒丸がついているので、あとになること必定だ。さっそくに、れんげとその下受けと刻み生姜と小皿がやってきた。モダンジャズが軽い音量でかかっている。ここは、ダイニングパークの中でも最高の店位置になるだろう。どのお店に入るにしても、一度はここの前を通ってしまう。中央の吹き抜けに面した場所で、開放感がある。クリア板を通ってながれる滝を、ぼんやりと眺めてすごした。

ある程度覚悟していたせいもあるのか、思ったより早くそのスライムはやってきた。その場でふたを取る。湯気が、ほんわか蒸しあがり出来たてを自己主張してくる。目の前にやってくると、蒸しの入ったそのにおいが強力にやってきた。

当たり前だが、形がそろっていない。なぜか南半球の台風のように左回転仕様だ。ひねり上げられた先の頭端部が、あちこちを向いている。

色つやが、まことによろしい。褶曲山脈下部の微小なくぼみが、内部に秘匿されているだろう極上の汁を連想させてくれる。一度、頂上のつぼみをつまんで持ちあげようとしたが、スライムの底がボヨンと下がったので、これは無理だと即断した。やはり、この軟弱な寺院の屋根は、横腹を確実につかんで行くべきだろう。でないと、口にする前にあえなく崩落してしまうに違いない。

今まで生きてきた叡智と経験をフィードバックさせながら、箸の先に全神経を集中させる。最上のデリケート加減で横腹をつかむと、そのまま最短距離でレンゲまでスライドさせていく。刻み生姜をちょんとのせ、その上に醤油と黒酢を少しかけた。そして、レンゲごと一気に口に持っていく。サイドから申しわけ程度にはしを添える。レンゲごと食してしまいそうな勢いで、この大切な実質をゴッソリといただく。口もとはほとんどレンゲの受け口をなぞっている。たぶん写真を撮ると、写楽のような口もとになっているのではないか。右手を口に添える。

口蓋の内でパオがつぶされる。もっちりがはじける。熱いスープが広がり、そのトロトロさの中心に芯の肉あんを感じ取ることができる。甘くて、酸っぱくて、やわくて、旨い。ほんよりして、ぽんよりして、ジューシーで、本当に美味い。肉はありがたい。ただでも有難いその上に、人間はなんという素晴らしい工夫をするのだろう。ミンチにして、別の菜材を加え、練りあげ、饅頭にし、蒸しあげる。ただの「種の保存」や「経済効率」だけのためなら、こんな面倒をする必要はないはずだ。

スープと油脂がまざりあい、肉餡と白皮がとろけあう。もみくちゃにされたパオ様御一行は、ほとんど汁物のように喉をストレートに通過していく。この状況には、ただもうニンマリするしかない。言葉も説明もいらない。というか、無益だし無理だ。これは実際の品物を食べるしか、表現のしようがない。

少し油断した。次のパオでは、手を口に添えるのを怠ってしまったのだ。あまりの美味しさのためか、ニンマリ加減の口元からスープが飛び出してしまう。ほとんど、鉄砲魚の水打ちの風情で、思わずあたりを見回してしまったほどだ。テーブル上に、やや黄みがかった透明な液体が拡散している。今まで生きてきた叡智と経験なんてみごとに吹き飛んで、ただこれを無かったことにしようと、あわてて拭きとるばかりの自分がいた。

恋人同士でもお似合いの店だと思うが。まだ焼肉同伴レベルに達してないカップルは、やめておいたほうが良いかも知れない。少しでも気をゆるすと、こういう憂き目にあう可能性はじゅうぶんにある。いくら惚れていても、こんなシーンは見たくないし、見せたくもないだろう。

帰りぎわに店の横を通ると、ウインドーの向こうの厨房が素通しで覗くことができた。私は、パオを包むようすをしばらく惚れぼれと見てすごした。

「京鼎樓」 (じんでぃんろう)
住  所: 千葉市中央区新町1000
アクセス:千葉そごう10階 P(多数あり)
電話番号:043-238-1307
営業時間:11:00-22:30(LO22:00)/17時まで禁煙/以降分煙/
定  休:無休/千葉そごうに準ずる
客  席:テーブル約16卓(可変)/約70名収容/
利用種別:個人向き/少人数向き/家族向き/カップル向き/グループ向き/
メニュー:(点心)
     小籠包(4個)480/(6個)690/(10個)1050/鳥籠小籠包950/
     小籠湯包1150/蟹肉小籠包1250/海鮮小籠包1250/
     海老蒸餃子950/野菜蒸餃子950/海老焼売1350/●あん饅頭530/
     もち米焼売950/小豆小籠包630/●肉饅頭530/●黒胡麻饅頭630/
    (スープ類)
     酸辣スープ750/ワンタンスープ750/フカヒレ入スープ950/
    (麺類)
     海老入スープ麺1050(590)/坦々麺1050(590)/
     ワンタン麺1050(590)/スーラータンメン1050(950)/
     ふかひれ麺1350(750)/●海鮮五目焼そば1350/焼ビーフン950/
     ※()内は小サイズ
    (飯類)
     海老炒飯1050/豚肉入り炒飯1050/豚肉と高菜入炒飯1050/
     海鮮あんかけ炒飯1350/蟹炒飯1350/酸辣飯1050/ご飯200/
    (一品料理)
     棒々鶏630/ピータン豆腐750/冷菜盛合せ1590/
     中華風冷奴530/中華風漬物530/グリーンサラダ750/
     ごぼうとくらげサラダ750/海鮮サラダ850/小魚とナッツ炒め530/
     ●春巻530/●海老チーズ春巻850/揚海老ワンタン650/
     ●揚豚690/台湾風玉子焼750/豆苗のガーリック炒め790/
     ●手羽元の香揚790/●豚角煮950/台湾カラスミ1890/
     海老と焼豚の玉子とじ1250(650)/中華風ステーキ1590/
     揚茄子香味ソース530/鮑のオイスターソース2800/
     ●腸詰1250(650)/牛肉のオイスターソース1450(750)/
     海老チリソース1650(850)/海老のマヨネーズ炒め1650(850)/
     帆立とアスパラの炒め1650(850)/ ※()内は1~2人前
    (飲物)
     生ビール630/台湾ビール730/ノンアルコールビール630/
     紹興酒590/紹興酒ソーダ630/麦焼酎630/ジャスミン焼酎730/
     アツディッシュシャルドネ3900/ムートンカデブラン5500/
     ブルゴーニュブラン9500/サンタクリスティーナ3900/
     マルゴー9500/グラスワイン630~/カクテル各種750~/
     梅酒630/東方美人茶630/ジャスミン茶530/ウーロン茶450/
     オレンジ530/コーラ530/珈琲450/アイス珈琲450/
    (甘味)
     マンゴプリン490/メロンタピオカ530/マンゴタピオカ530/
     杏仁豆腐490/台湾風あんみつ530/
    (コース/2名より)
     3000(10品)/4000(11品)/5000(13品)/
     ※●は調理に10~15分かかる
評  価:☆☆☆☆☆
    (味5/量3/サービス4/雰囲気4/CP4/駐車場4)





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Last updated  2006.12.12 03:57:39
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