おいしい　千葉　～ponの食べある記～

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「何か苦手なネタとか、ありますかい？」大して好きでないものはあるが、苦手というのはない。「…別に。とりあえず何でも」

小さなゲタが目の前に置かれる。花大盛でガリがどんと載せられた。まず最初にカンパチが２貫やってきた。ネタのサイズが大きいし厚みもある。下の握り玉も、普通より大きいようだ。じゃっかんだが、他所より少し酢が効いたしゃりかも知れない。

いか・まぐろと続く。リズミカルに調子よくいっている。こちらもそのリズムを壊さぬよう、間髪を置かずに口におさめる。上品に、中途でちぎって２分休符を入れたりしない。一口で全てを格納し、その１貫の味わいを味わい尽くす。至福のひとときとしか言いようがない。この狭い空間のなかで、大将の手元と私の口中だけが異様に忙しい。

ＢＧＭもＴＶの音もない。もう少し店としての（色気）みたいなものがあれば良いと思うのだが。３０数年経過した団地内の寿司屋さんに、それを求めるのは酷なのかも知れない。あらゆる意味で町中でのポジションが固定化しているだろう。

「子どもがね。食べ放題でもやったらどうだろうって言ってきたんですよ」「なるほど」「それでやってみたんだが…」「珍しいんですよね。寿司の食べ放題って」「…だろうねェ」「このへんだと袖ヶ浦の鈴やホテル

これは、昼のみのサービスである。お客さんへの一種のご奉仕品として始めたのだそうだ。大々的に宣伝はしてない。それどころか、メニューにも店内にも、それについて一切記されてない。知る人のみがひっそりと頼む、裏メニューのような扱いをされていた。

食べ放題と一口にいっても、供出の仕方がその店によって違う。ここはある程度まで主人のおまかせで出して、そのあとは客のリクエストに応えるやり方である。どこで切り替わるかは、そのとき次第。もしどうしても食べたいネタがあるなら、早めに言ったほうがよいだろう。大将は大将で、客の顔色を見ながら、出す順番を計算しながらやっている。

うに・いくら・とり貝と、続々とやってくる。その間に熱々の味噌汁が供された。ちょっとひねって、鉄火の手巻がげたに置かれた。あん肝・小肌とフェイント系がつづく。次の焼穴子には、極上の甘いツメがかかっていて、至高・絶楽のうまさ。ここでやっと「さあ。お好きなものを言ってください…」という言葉がやってきた。シャコを頼む。甘海老を所望した。

食べ物の話題は尽きなかった。天然物にこだわる理由。最近の景気について。このごろの酒類規制の流れのこと。百円寿司について。まずいラーメン屋の話。おすすめの蕎麦屋はどこなのか。大将は職人肌なので、こちらから話題を振っていったほうがよいかも知れない。そのほうがスムーズに流れる。ネタを握ってくれるお礼のようにして、こちらも話のネタを向こうに差し出す。

結局２時間ちかく居座ってしまった。１７種・３４貫でフィニッシュと相成った。たぶんまだ（＋まだ）行けるだろうが。余裕ある（実情はまったく無いのだが。空余裕さえ無い）ジェントル系の大人としては、このへんでゆるやかにストップしておく。お愛想のときはじめて、奥からおかみさんが出てきた。「どこの店でも、よく知ってますねェ」「…まあ。あちこち食べてますから」どうやらすっかり聞かれていたらしい。戸口まで見送られた。

「寿司政」
住　　所：市原市若宮１－７－１７
アクセス：若宮団地入口を入り２つ目を右折　Ｌ字左折の先左側　Ｐ（５台）
電話番号：０４３６－４３－８４２３
営業時間：１１：００－１４：００/１７：００－２２：００/
定　　休：月曜日/
客　　席：カウンター６席/座敷３部屋/
利用種別：個人向き/少人数向き/家族向き/グループ向き/宴会向き/
メニュー：（昼）
　　　　　　寿司おまかせ食べ放題３０００/
　　　　　（昼/夜）（握り）
　　　　　　並寿司１０００/中寿司１３００/上寿司１５００/特上寿司２０００/
　　　　　　極上寿司２５００/中トロ２０００/まぐろ１５００/貝握り１５００/
　　　　　　玉子７００/まぐろ・白身１５００/穴子１６００/
　　　　　（ちらし）
　　　　　　並ちらし１２００/上ちらし１６００/特上ちらし２１００/
　　　　　　鉄火丼１５００/特上鉄火丼２１００/
評　　価：☆☆☆☆
　　　　　（味４/量５/サービス４/雰囲気３/ＣＰ４．５/駐車場４）

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