おいしい　千葉　～ponの食べある記～

Calendar

工事中

(0)

オムライス　貝殻　～想い出ひとつ・自分にとってのスペシャリテ～

(2)

テーマ：今日のランチ(40290)

カテゴリ：市原市　洋食

しばらく時間がかかった。出てきたものは、生真面目でオーソドックスな昭和のオムライスだった。中央エリアに、ケチャップの帯がベッタリとかかっていた。今はやりの「ふわとろ系」のまっすぐ対極に位置している。

玉ネギのシャキシャキ感がうれしい。塩・胡椒の加減が絶妙といってよい。玉子外皮の甘みとの絡みは、すべて計算ずみ。ケチャップペーストをうまく割りふると、ちょうど美味しく納まるように調整されていた。

この店には、ある想い出があった。独身の頃だから、１７年くらい前になるのか。事務所で残業をしていると、遠くの電話が鳴った。取ってみると上司のＣさんだった。まだ仕事中なのかと訊いてくる。そうだと答えると、もうそれはストップしてこちらに来いという。それがこのお店だった。

課内の何人かでむかった。夕飯はまだだろう。好きなものを頼んでいいという。私はなぜか、オムライスを注文した。説教じみた話は一切でなかった。話題は、スポーツや車関係が多かった。たまにそこに仕事の話がはさまれた。みんなが素直に「うんうん」うなずくような話が多い。

そうやってＣさんには、何度か外に呼ばれた。数名のときもあるし、自分一人のときもあった。食道楽なので、こちらが予想もしないような店がある。遠くでも、遠慮なく呼びつけた。ジャンルも問わなかった。

千葉の「花長」「せんげん」、長浦の「ひやま」「田川」、市原の「一心」「八幡屋」などに行った覚えがある。

そのときの店の雰囲気がどうとか、味がどうとか。そういう記憶はほとんどなくなっている。ただ、Ｃさんがときおり真顔で話す独り言のようなことばが、今でも耳の奥にのこっている。

「（仕事は）単調なことのくり返しばかりで、正直面白くないかもしれない。でもそれをウンウン言って押していけば、その先ぜったい何かが見えるようになるから」

「いいか○○。失敗してもいいから、お前のやりたいように思い切りやってみろ。もし責任問題がでたら、そのときは全部オレがかぶってやるから」

「心配ごとがあるなら、とにかくオレに相談してくれ。悩んだり苦しんだりするのは、そのあとからでも遅くない」

「とりあえず人に話してみることだ。それでエネルギーをいったん放出できる。いちばんいけないのは、全部自分の内に抱えこむことだ」

「食べたかったら、いつでもこの店に来て好きなものを食べていいぞ。勘定はオレに回しておけばいいから」

責任が問われるようなことはなかったし、その店で好きなものを頼むようなこともしなかったが。そう言われたことだけで、救われたり報われたりするような感激的な言葉というのも、この世には確かにあるのである。

Ｃさんはすでに退職していて、最近では年賀状をやりとりするだけになっている。しかしそのとき語られたいくつかの言葉は、スペシャリテな存在となり、ちょうどマンガの吹き出しのような形で私のそばにいて、いつも自分を励ましてくれているような気がする。

キッチン「貝殻」
市原市五井金杉１－３４
アクセス：白金通り　ダイリン向かい　Ｐ（２台）
電話番号：０４３６－２２－９４６６
営業時間：１１：３０－１４：００/１７：００－２０：００くらい/
定　　休：不定休/
客　　席：テーブル３卓/小上がり３卓/
利用種別：個人向き/少人数向き/家族向き/仲間向き/
料金支払：あと払い/カード不可/
メニュー：【丼】
　　　　　　親子丼５５０/かつ丼７００/牛丼６５０/
　　　　　【パスタ・グラタン】
　　　　　　ミートソース５５０/ナポリタン５５０/カレースパゲティ５５０/
　　　　　　マカロニグラタン６５０/帆立グラタン７００/
　　　　　【ご飯もの】
　　　　　　カレーライス５５０/カツカレー７００/オムライス５５０/
　　　　　　ピラフ５５０/ドライカレー５５０/
　　　　　【単品】
　　　　　　かきフライ６００/帆立フライ６５０/チキン唐揚６００/
　　　　　　ベーコンエッグ５５０/ポークカツ６５０/ハンバーグ６５０/
　　　　　【定食】
　　　　　　いか生姜焼定食７８０/レバ炒め定食６８０/野菜炒め定食６８０/
　　　　　　あじフライ定食６８０/いかフライ定食７８０/
　　　　　【飲物】
　　　　　　ビール６００/日本酒４００/トマトジュース３００/コーヒー３００/
　　　　　　紅茶３００/コーラ３００/ミルク３００/
評　　価：☆☆☆☆☆
　　　　　（味４/量３．５/サービス４/雰囲気３．５/ＣＰ４/駐車場３）

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう