かおりん語

かおりん語

読書メモ


どこかよそで見かけるかもしれませんね。

*森博嗣

「すべてがFになる」
S&M(犀川創平&西之園萌絵)シリーズ第1作目は、
今までミステリィに慣れ親しんできた人でも
想像がつかない、先の読めないような展開でした。
理詰めで謎を解いていきたい人にオススメです。
何と言っても施設の構造が
間賀田四季博士の存在が魅力的でしょう。

「冷たい密室と博士たち」
S&Mシリーズ第2作目となっていますが、
著者にとってはこれが処女作。
人間関係が重要となってきたり
犯人と直接対峙するシーンなどは、
今までのミステリーと似通っているのもうなずけます。
そういった点ではとっつきやすい小説と言えるでしょう。

「笑わない数学者」
英語のタイトル、Mathematical Goodbyeという言葉が
非常に重要な意味をもつ作品でした。
さすが工学部の助教授、舞台となる「三つ星館」の
構図もあり嬉しいところです。
トリック以外のところに仕かけられた謎に気づければ、
必ず読み返したくなるでしょう。

「詩的私的ジャック」
今までのS&Mシリーズとは少し違って、
軽く、しかし大胆な印象を受けました。
殺害方法・犯人、以外に動機を考えさせられる
ためでしょうか。
ミステリィを意識せずに読んだ方が
面白いかもしれません。
勿論ミステリィ部分に残された茶目ッ気のある
謎にも気付きたいところです。

「封印再度」
英語のタイトルがWho Inside。ただの言葉遊びだと
思ったら大間違い。なかなかどうしてこれが
どちらのタイトルも重要なキーワードなのです。
このトリックはわかりそうで、でも断定できない、
というもどかしさがありました。
しかしアンフェア感はなくテーマ禅にも納得。
面白かったです。

「幻惑の死と使途」
S&Mシリーズの第6作目と第7作目「夏のレプリカ」とは
同時進行ですが、まずは1冊ずつ読んだ方が面白いでしょう。
裏返して裏返される、そんな裏切りにも似たトリックは
ミスリーディング。解説も引田天功となかなかオツなものです。

「夏のレプリカ」
この作品と前作は同時進行ですから、読了後
今度は章順に読んでみるのも面白いでしょう。
(前作が奇数章、今作が偶数章)
なんとも不可解で引っ掛かりを感じつつ読み進める。
静かな興奮を呼びます。言葉の一つ一つに注目ですね。

「今はもうない」
あれもこれもと謎は増え、トリックが明かされても
最後の最後まである点で騙されている……というより
ミスリーディング、の人も多いでしょう。
ヒントはあちこちにあるものです。
あるキャラ好きの人(私もです)にはたまらない作品と言えます。

「数奇にして模型」
S&Mシリーズ中、最も美しい作品だったと私は思っています。
読んでいて中盤で全てがわかった、という人は
まずいないのではないでしょうか。そういう作りでしたから。
もし映像化されるならばぜひこの作品を、と願っています。

「有限と微小のパン」
遂にS&Mシリーズ第10作目。
ラストらしく第1作目と英語のタイトルが対になっています。
(The Perfect Insider⇔The Perfect Outsider)
テーマパーク、サイバーな中でまたもやDr.S.Mが現れ、
VRが関係し、日数は短いけれど中身は濃密。
どこまでを信じて疑うか、悩ましく面白かったです。

「黒猫の三角」
普段お目にかからないような名前が揃っています。
キャラもめったに会わないような人ばかり…。
S&Mシリーズに続くV(瀬在丸紅子)シリーズ
第1作目です。基本的に何作目から読んでも良いと
言われる森ミステリィですが、後の作品を先に
読んでいれば更に面白いかもしれません。

「人形式モナリザ」
ミステリー好きの方ならお気づきになるかもしれませんが
この殺人舞台、ある有名な探偵小説作家の話を
思い起こさせます。最後はそんなことがあっていいのか、と
少し悩みました。ただタイトル通りの絵が浮かんだことで
気持ちが良かったことは確かです。

「月は幽咽のデバイス」
どうしたらそんなに上手く集まるのか、と思わせる程
不思議なことにお馴染みのメンバーが出揃います。
また舞台も事件も上手い具合いに出来ていて
驚かされます。このVシリーズ第3作で初めてある設定に
気づく人もいるのでは、と思います。

「夢・出会い・魔性」
英語のタイトルがYou May Die in My Show、
またもう一通りの読み方ができるという凝ったものです。
あまりのタイトルの上手さに初めて森ミステリィを
手に取りました。この作品で森ミステリィは最初から
最後まで決して気を抜いてはいけないのだと思いました。

「魔剣天翔」
Vシリーズ第5作。空中密室で謎解きも面白いのですが
登場人物が犯人が誰なのか思い当たっていく様、特に
練無に注目です。また森ミステリィには答えが明かされない
謎がよくありますが、今回も暗号文があります。

「恋恋蓮歩の演習」
豪華客船にまたもやなぜか集まるいつもの4人。
V(瀬在丸紅子)シリーズの第6話です。
今までの本で保呂草さんのハードボイルドさに
はまった、という人々、垂涎の一作。
なんともキザさを発揮しています。
ミステリーに軽く触れたい、という人にオススメです。

「六人の超音波科学者」
山奥にある超音波研究所。外界とのつながりは
たった一本の橋。それも予告どおりに爆破されてしまい…
紅子さんの明晰な思考が、外界と隔てられた中、
正確なパソコンのように、着実に謎の真相に迫っていきます。
科学者の思考に少し接触できるような気がします。
超越的です…。

「捩れ屋敷のの利鈍」
S&M(犀川創平&西之園萌絵)シリーズを
1話でも読んだことがあれば、更に面白いでしょう。
読んだことのない人でも作者自身
「これまでで一番短い長編作品(?)。」と
書いていますので気軽に読めます。
話の舞台となる「捩れ屋敷」は一体どんな構造に
なっているのか、想像してみてください。

「朽ちる散る落ちる」
Vシリーズ第7話「六人の超音波科学者」の
続編にあたります。前作でぬぐいきれなかった疑問と
もう一度対面できます。とにかく不可解な事柄が
のっけから沢山提示され、またも紅子さんが
真相に迫り、そして危険も迫る…。
宇宙の密室で死体?!と驚いて下さい。

「赤緑黒白」
はじめは真っ赤な死体。次は緑色の死体。
美しく塗られた死体。凄惨な事件。
これがVシリーズのラスト、第10話です。
さて、へっくんてよく出てきましたよね。
S&Mシリーズは面白かったですよね。
賢い子供ですね。
熨斗袋はありがたいですね。
森シリーズにはまった読者、必読の書です。

*京極夏彦

「姑獲鳥の夏」
京極堂シリーズ第1作「うぶめのなつ」です。
登場人物は古本屋で神主で拝み屋の京極堂、作家の関口、
視る探偵の榎木津、刑事の木場、京極堂の妹の敦子と
個性的な人ばかり。
しかも妊娠20ヶ月という女が出て来ます。
分厚いけれど読み終えないことには気持ち悪い、そんな本です。

「魍魎の匣」
京極堂シリーズ第2作「もうりょうのはこ」です。
とにかく箱だらけ。
箱を崇める宗教、箱に入った手足、箱型の建物の話が
つながっていきます。
凄惨なようでどこか美しい事件です。
この話を楽しむことは皆が皆できることではないでしょうが、
それも世界の広がりかもしれません。

「狂骨の夢」
京極堂シリーズ第3作「きょうこつのゆめ」です。
新たな人物伊佐間屋がお話に加わります。
この事件には夫を殺した妻、元精神科医、牧師と
様々な人が現れ、
海には金色の髑髏、山では集団自決。
これらがどうつながって解決されるのか。
京極堂の手腕に注目です。

「鉄鼠の檻」
京極堂シリーズ第4作「てっそのおり」です。
日本全国の寺社を知っているような京極堂も知らなかった寺に
関する不可解な事件が起こります。
「禅」が出てきますが知らなくても丁寧に説明してあるので
理解し易いと思います。
不思議な形に興味ひかれる面白いお話です。

「絡新婦の理」
京極堂シリーズ第5作「じょうろぐものことわり」です。
連続目潰し魔事件、連続絞殺魔事件が起こり、
女学院内には蜘蛛の僕、黒い聖母と怪しいものがあり、
織作家には呪いがある。
一体誰が巣の中心にいるのか、
その巣から逃れられるのか。
少し幻想的なお話です。

「塗仏の宴 宴の支度」
京極堂シリーズ第6作「ぬりぼとけのうたげ うたげのしたく」です。
続編があります。
今まで分厚い本ばかりでしたがとうとう二つに分かれた?
集落まるごと人が消えることがあるのか、
全く不可解な事件から始まる沢山の人が出てくる物語。
京極堂が初めて挑発されるお話です。

「塗仏の宴 宴の始末」
京極堂シリーズ第7作「ぬりぼとけのうたげ うたげのしまつ」です。
前作の続編になります。
危うい作家・関口が逮捕されてしまいます。
一体何がどうなっているのか。
京極堂が珍しく怒りと哀しみを表出させ
今までとは少し違った形で「宴」を「始末」します。

「百鬼夜行―陰」
シリーズ番外編第1作「ひゃっきやこう―いん」です。
京極堂シリーズに出て来た様々な人々のお話が
一つ一つ妖怪に絡めて綴られます。
なのでシリーズを読み終えた人はぜひ読んでみて下さい。
原作を読み返してみたくなるかもしれません。

「百器徒然袋―雨」
シリーズ番外編第2作「ひゃっきつれづれぶくろ―あめ」です。
榎木津探偵を主人公にしたお話。
ファン必読の書ですね。
関口、益田を連れ回し、京極堂を引っ張り出し、
神が事件を視てゆきます。
あのテンションの高さのままお話が進んで行くので
思うよりはやく読めるでしょう。

「今昔続百鬼―雲」
シリーズ番外編第3作「こんじゃくぞくひゃっき―くも」です。
シリーズと違って主人公は妖怪研究家の多々良先生で、
続々と奇怪な事件に巻き込まれていきます。
最後までしっかりと読むことをオススメします。
コメディータッチで面白く、あの人も出て来て終わります。


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