October 14, 2007
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最近読みまくった岡崎京子作品で一番気に入ったのが
「うたかたの日々」
岡崎京子は超一流やな、 崩壊していく世界 を描かせたら。
美男美女ばっかり出てくる少女マンガってかなり苦手やけど
この作品は楽しかったわ~。

そして原作の美しさが際立っている。
物語が進行するにつれ、縮んでいく部屋、落ちてくる天井
油が染み出す家具に、汚れいていく床。
愛する物を失おうという時って、同じ部屋にいても


主人公がキリストに文句を言うシーンも笑える。
「(結婚)式にも招待したじゃないですか」 と非難すれば
困って話題を変えようとするキリスト。
(キリストって昔っからそういう奴やったわ)。
原作者のはプロテスタントだろうか?
特に落ち度も邪心もない人間たちが次々に堕ちていくのを見て
そんな気がした。

愛妻が肺の中に美しい 睡蓮 を咲かせて衰弱していく。
作家パルトルに心酔しきったシックは彼の指紋がついている

(パルトルのモデルはサルトル)
こういった 狂気 がじわじわと全員を不幸にしていく。

あー、読んでいて楽しい
声に出して笑ってしまったわ。
(ブルジョアがお金に困るようになっているのを見るのが楽しい、


セカチューは、単に登場人物のお間抜け具合が笑えたけど
この作品のテーマは 「滅び」
「滅び」は「滅美」、「滅美」は「美」。
圧倒的に美しいので笑ってしまったのです。






うたかたの日々
著者: 岡崎京子
原作:ボリス ヴィアン
出版社: 宝島社

ボリス・ヴィアンの小説『うたかたの日々』を原作にした、岡崎京子によるコミック。雑誌「CUTiE」の連載(1994年~1995年)後に、著者がプロローグ、ラストを描き加え、全体に加筆修正したもの。
「ちょっとした財産もち」のコランと軽やかで美しいクロエ。ふたりは盛大な結婚式を挙げるが、そのすぐ後、クロエは肺に「睡蓮」が巣食うという奇病に侵される。治療費のために破産に追い込まれながら必死に看病するコラン。だが、クロエは日に日に衰弱していく。そして、ある作家の偏執狂的コレクターのシックとその恋人アリーズ、コックのニコラなど、周囲の人々の人生も深刻な様相を呈していく。

原作ともども、この作品の魅力のひとつは、残酷さと無邪気さをあわせもつ幻想的な描写の数々にある。恋するふたりを包む、熱くてシナモンシュガーの味がするバラ色の雲や、土から生えてくるたくさんの銃身、そして、クロエの胸から伸びて咲く睡蓮の花…。原作を知る人にとっては違和感をおぼえる場面もあるかもしれないが、彼女の目をとおして、ていねいに描かれたヴィアンの世界を、特に前半は、ただ楽しみたい。後半に入ると、破滅へ向うコランたちの姿が現実をぎりぎりのところで生きる岡崎作品の登場人物の姿と重なり、物語は一気に走り出す。

凝った装丁も、本書をより魅力的なものにしている。白い箱から真っ赤な本を取り出せば、表紙には睡蓮の花。しゅるりと勢いよく伸びるその姿は、恐ろしくて、美しい。(門倉紫麻)





新潮社からは「日々の泡」という訳題ででてます。


日々の泡
著者: ボリス・ヴィアン
出版社: 新潮社

愛を語り、友情を交わし、人生の夢を追う、三組の恋人たち―純情無垢のコランと彼の繊細な恋人のクロエ。シックを愛する情熱の女アリーズ。料理のアーティストのニコラと彼のキュートな恋人のイジス。人生の不条理への怒りと自由奔放な幻想を結晶させた永遠の青春小説。「20世紀の恋愛小説中もっとも悲痛な小説」と評される最高傑作。



岡崎京子作品


東京ガールズブラボー(新装版)(1)
出版社: 宝島社


Pink
出版社: マガジンハウス









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最終更新日  October 17, 2007 12:22:10 AM
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