デイリー ルーツファインダー

2006.11.15
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 ダライ・ラマの法話に参加した翌日、赤峰勝人さんの講演に参加した。

 赤峰さんは自ら百姓と名乗られる。百姓というのは最近では差別用語なんだそうで、言ってはいけないそうだが、赤峰さんは誇りを持って自ら百姓と名乗られる。
 赤峰さんは農家の次男として野津町に生まれる。
 小学校6年生の時に、父親が耕運機に右腕を巻き込まれて切断するという大怪我をし、農業で身を立てていく決心をする。
 農業高校を卒業し、当時は近隣には一軒もないほど珍しかった野菜農家としてやっていくことをめざす、高校で習い、農協も勧める化学肥料を使った農法でしばらくは順調に野菜が出来ていたが、4年くらい経つと野菜の病気が出始める。農薬を使い、いろいろ試行錯誤を繰り返すが思うようにならない。
 ある時、農学と医学の博士号をもつ九州電力の農業電化試験場の米沢先生に出会い、理想の土の成分を学ぶ。それを目指してさまざまな肥料を撒いて努力する。しかし化学肥料を使い土を完全栄養の状態にしたにもかかわらず3、4年で病気が発生してしまうのだった。
 そんな時、かやを刈って2年ほど野積みにしていた堆肥だけを使ったピーマンが見事に出来ており、その土の分析を依頼すると、理想の土の成分にピッタリ一致した。

 この経験から、無化学肥料の有機堆肥の土が野菜にとって理想の土なのではないかと感じ始める。


 赤峰さんの苦闘はつづく、ある日新聞の片隅の「亜硝酸塩による事故で、乳牛が死亡」という小さな記事が目に留まる。未熟堆肥で育った牧草を食べた乳牛が死んだらしい。

 自分の畑を観察していて、未熟堆肥が近くにあった白菜畑が虫によって全滅させられ、同じ時に同じ種で完熟堆肥で育てた白菜は、虫が食べても下葉の1、2枚までで、中身は食べられていないことに気がつく。
 虫はそのまま人間が食べたら乳牛のように死んでいたかもしれない毒素を多量に含む野菜を自ら食べて無害なフンに変え、自分はそのまま死んでいくことによって、人間を病気から守っている尊い存在だったのだ。


 しかし、まだまだ赤峰さんの苦闘は続く。
 ニンジンが収穫前になると、きまってピシッ、ピシッ、と音をたてて割れてしまい、売り物にならないのだった。
 毎年そんなことをくり返し、いつしか数千万円の借金を抱えてしまっていた。いよいよ自分の人生もおしまいかと思いかけていたある時、
 スギナのたくさん生えている畑のニンジンだけは割れずに成長していることに気がつく。
 夢中でスギナの成分を調べると実に70%ものカルシウムを体内に蓄積する働きがあることがわかる、スギナなどは実は雑草などではなく、畑の成分を植物の吸収しやすい成分に変えてくれる神様のような草だったのだ。

 昭和57年赤峰さんは
「今年こそ理想のニンジンを作ってみせるぞ、とはりきって土作りにかかりました。三月にニンジンの種子を蒔き付け、まるで大切な宝物を息をこらして見守るように、じっとニンジンの成長を見守りました。ぐんぐんと、順調に成長していきます。病気にもかかりません。

 おそるおそる、1本のニンジンを手にして抜いてみました。
 「できた!理想のニンジン!」
 次々と十本ほど抜いてみました。全部合格!あまりの感動に、思わずその場に座り込んでしまいました。
 じっと、ニンジンを見つめました。形、色、つや、香り。どれをとっても、すべて夢に見続けたニンジンそのものです。幻のニンジンを農薬も化学肥料も一切使わずに完成させることができたのです。やっとできた。長い十二年でした。迷いと不安と孤独な日々から、やっと抜け出すことができました。畑の中に座り込んだまま、その幻のニンジンを握りしめていると、過去の失敗だらけの思い出が次々と浮かんできて、涙がとめどなく流れました。」(赤峰勝人 ニンジンから宇宙へp71)

 毒性のある野菜から人間を守ろうとする虫を殺すために農薬を振りかけ、見かけを整えて出荷された野菜を食べた人間が病気にならならいはずはなく、土壌を改良しようとしている草を除草剤なので枯らしたりすることは、まさに天に唾する行為であることを悟る。



 「私はアトピーという病気なんです。私の病気を治していただけないでしょうか?」
 「アトピー?何ですかそれは、病気ですか?あんた、来るところ間違えとるよ。わしゃ医者じゃない百姓じゃ。」
 「それが、もう20年もいろんな医者に行き、病院では直らないことがはっきりわかったんです」
 「そんなこと言われても、わしゃアトピーという言葉を初めて聞いた。」

 そんな問答を繰り返してもその女性は絶対に引き下がらず赤峰さんはしょうがなく「わしゃ病気のことはわからんが、野菜は化学肥料や農薬を使っていては病気になるから、あんたもわしんところの野菜をしばらく食べて様子をみるか」ということで、しばらく玄米と自分の野菜を食べることを勧めておいた。

 そうすると数日して、再びその女性が顔に包帯を巻いて現れた。皮膚が赤くただれている。
「わぁ。こりゃ、えらいことになった。」いらんことを言うんじゃなかったと恐ろしくなったが、その女性にそう言うわけにもいかず、「まあ、もうしばらくがんばって様子をみよう」といっておいたそうだ。

 3週間ほどしてその女性が再び現れると、なんときれいな肌をしておりすっかりアトピーが治っているのだった。

 そうすると口コミで次々にアトピーや難病の人が訪れるようになり、同じ方法で次々とよくなっていくのだった。

 これで、アトピーというのもは体が分解できない化学物質を体外に排出する働きのことで、そういうものをとらなければおのずと直るものであることがわかってきた。


 今でも、赤峰さんに時々こういうことをいう農家がいるそうだ。
「赤峰さん、ちいとくらい化学肥料まいてもよかろー。よう成るんじゃから」
 それは、わかっている。
 しかし、「アトピーをうちの野菜で治した人が、別の近くのいわゆる「無農薬」や「有機栽培」の野菜に切り替えて、アトピーが再発した人がいくらでもおるんよ。そうして、またうちの野菜にするとアトピーが出なくなる。
 そういうもので、苦しんでいる人がいることが分かった以上、人間としてもう使うわけにはいかないんよ。」



 うーん、世の中には立派なお百姓さんがいるものだ。いたく感動した私は、会場で2冊の本を買い、サインと握手をしてもらったのだった。

 そして、会場でももらったチラシに、何と!私の住んでいる地域に赤峰勝人さんの野菜を買える店があることが判明した!
 今後はうちの野菜は生協から全量赤峰さんの野菜に切り替え、赤峰さんや赤峰さんのところで修行する若き農業青年達を食べる立場で応援していきたい!


 こういう野菜をシンプルな手料理で感謝して食べる以上のご馳走はないんですよ。
 もう私のグルメ遍歴はこれで終わることにします。(笑)

 みなさんもお近くの立派な農家を発見したら、ぜひ応援してあげてくださいね!





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最終更新日  2006.11.15 14:29:53
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