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ちょっと変わった連作ミステリー。
先輩との手紙のやりとりから始まり、各月の社内報(目次)が扉について、それぞれ短編小説が続く。なかなか面白い構成です。

『桜嫌い』(四月)、『鬼』(五月)、『あっという間に』(六月)と何の関係もなさろうな、雰囲気もそれぞれちょっとずつ違った話が続く。この中では、 商店街の草野球チームがライバルとしのぎを削るが・・・ という設定の『あっという間に』がちょっと笑えた。「そこまでするか?」という突っ込みはさておき、思わず歌いだす(?)楽しさです。

本文中にある
「本なんか読んでいるということは、ひまなんだよ」
「したいことをしているのは、ひま、という。」

が、ちょっと胸に突き刺さった(笑)
【ひま】というのでもないんだけど、空いている時間は常に【読書】、っていうのはちょっと淋しいものがあるか…


『箱の虫』は、ちょっとホラーテイスト、気持ち悪さも少々有り。『消滅~』は【朝顔】にまつわる、『吉祥果』は【高野山】での、それぞれなんとも不思議な話。

さらに“日常的な謎”系のミステリが続く『ラビット・ダンス・イン・オータム』(十月)、『写し絵の景色』(十一月)、『内気なクリスマス・ケーキ』(十二月)。
『ラビット~』では、取引先「サイトー」部長の娘の名を当てようとする。ヒントは「関東五番目の県の花と関係があり、日本人なら誰でもわかる」というもの。『内気な~』・・・“【クリスマスケーキにシクラメン】を入れた”その目的とは?

残りは『お正月探偵』(一月)、『バレンタイン・バレンタイン』(二月)、『吉凶春神籤』(三月)。
エンプティオマニア(買い物強迫症)だという友人の話をきいて・・・という『お正月探偵』。短い話だけど、一転二転して凄いことになってます。ちょっと深刻なこちらと変わって、ほとんど会話だけで進む『バレンタイン~』はとっても軽やか。あまり詳しくは説明できない。『吉凶~』・・・おみくじが集めるの趣味という男。【凶】だけが貼られたファイル。恋人に「つきあい、やめよう」と言い出す・・・

『ラビット~』からの6作はいずれも、巧いなぁ~と思わせる。
派手さはあまりないんだけど、この長さだとそれもまた丁度良い。
全篇を通して、病気療養中で会社を辞めた【ぼく】(らしき人物)が、登場していいる。が、どうもフラフラしていて何だかオカシイ。はっきりしない。その理由は最後の【臨時増刊号】、『ちょっと長めの編集後記』で明らかになるのだが・・・。
最近、どうも「これちょっと怪しいぞ!」と思っても深く考えずに何となく読み進めてしまうことが多い。ミステリを読んでいるくせに、あまり犯人探しに熱心ではないかも(笑)。どうも一つの物語として楽しもうという意識が強いのか、あるいは単に【結果】だけを求めてしまう安直な根性ナシなのか。いや、もちろん過程が大事なのは分かってるけど。

と、話を戻して。
最後まで読み、全体を通しての真相(?)がわかり、「あ~、そうだったんだ!」という驚きがある。が、【匿名作家】についての事柄は何だかパッとしないと私は感じた。まぁ、それでもバラエティーに富んだ内容の短編集として、充分楽しめたからいいかな。この形式だと、話が多少飛んでいても言い訳が出来るし、後で「実は・・・」というのも利かせることが出来るし、お見事です!これがデビュー作というのは凄い。


【ぜひ本文より先に読んでほしい解説】 by 逢坂剛 
は、別に後でもいいと思います。(私は根が素直(?)なので、先に読んだけど。)

『ぼくのミステリな日常』 若竹七海 創元推理文庫 (1996年12月初版)





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最終更新日  2004年03月08日 06時57分42秒
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