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頭の上に猿がいる。69歳になる作治の頭の上に。
幻覚か気のせいに違いない。見えるのは自分だけなのだから。
いったいなぜこんなことに・・・


鋳物職人だった作治。 分厚い手には取瓶の握りタコ。
体力的に限界で1年ほど前に仕事を辞めた。
息子の真治と、息子の嫁・京子さんと三人で暮らしている。
同居して三月ほどたった頃、京子さんに言われた。

「申し訳ありませんが、私は年寄りが嫌いです。だからお父さんのお世話も充分なことは多分できないと思います・・・・~」


この話は、作治が語っているということもあってか、静かに穏やかに進みます。
↑の京子さんのセリフは衝撃的ですが、何も嫌ぁーな意地悪嫁というわけではありません。
きちんとした背景があります。

池永陽作品を読むのは初めてです。
『コンビニ・ララバイ』がいい!という話をよく聞くので、手初めてとして文庫から。



「昔の年寄りはもっと威張っていつも怒っていたような気がしますな。」


つい最近、三十路に突入したピチピチの私でもそう思います。
もっと強く実感している人も多いのでは。

「あれは一種のふれあいみたいなもんじゃねぇかな。子供と年寄りの」


そうだよなぁ。私は、一人のお爺さんを思い出した。
小学生の頃住んでいたアパートの前にあった、小さな工場の人。
近所の悪ガキども(私含む)は、アパートと工場の間の狭い道路で、よく野球をしていた。
時折、ボールが工場のガラスを割ってしまうことがあって、
そんな時はいつもカンカンに怒っていた【白髪鬼】。
(当時そんなあだ名はつけていなかったけど、今思うとそんなイメージ)
顔を真っ赤にして怒鳴るので、めちゃくちゃ怖かった。

だけどある日。一人で壁当てをしていた私が誤ってガラスを割ってしまった。
恐る恐る一人でボールを取りにいくと・・・

「爺さんて、本当はいい人じゃん」と子供心に思ったものだ。

と、関係ない話が長くなったので戻ります。

作治の仲間、同じ町内の建造と正光。
それぞれに、それぞれの生き方、悩みがある。
建造は、66歳で定年退職した2ヶ月後、突然奥さんから

正光は大阪から1年前に引越してきて、仲のいい奥さんと古いアパートに一緒に住んでいる。

そんな三人が集まる喫茶店『茶々』。
マスターの長女・明ちゃんは、イラストレーター志望の19歳。
レジ脇には、描いたイラストを飾っている。基調色は“赤”。
50年以上溶けた鉄と付き合ってきた作治は、“赤”にはうるさい。
作治はイラストの“赤”を見て、明ちゃんの心中を思う。
この交流、触れ合いがまた良い。

もちろん、メインである息子の嫁・京子さんとの関係も変化していく。
細かいところにも配慮が行き届いていて、むむむ、と頷いてしまったり。
少し地味に感じるかもしれないけれど、元気になれるいい話です。
おっと、忘れてた!猿、猿。猿はどうなったのかも一つのポイント。猿は・・・

これからも池永作品を読んでいきたい。

『走るジイサン』 池永陽 集英社文庫 (2003年1月第1刷)





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最終更新日  2005年02月06日 23時20分10秒
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