真理探究と歴史探訪

真理探究と歴史探訪

2012年07月13日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
DSCN1713.jpg



著者の斎藤氏は、九州の「倭国王朝」の国教は「道教」であり、奈良の「日本国王朝」の国教は「仏教」だとして、その倭国王朝から日本国王朝への王朝交代に伴い、「道教」から「仏教」へ宗教改革が図られた可能性を説いている。

以下に、注目すべき文章を抜粋してみた。


・(中国において)現行の「道教」は北朝時代に勃興したが、唐朝はこれを国教として庇護し、公の場では常に道士が僧侶に勝る席次を与えるなど、何事も「仏教」に優先させた。

・(法相宗と華厳宗の中国仏教界の請願により、「太宗」の後に)登位した「則天(則天武后)」は「仏教が革命の階(きざはし)を開いてくれた」と評して、武周革命の翌年、691年4月に道教優先政策を捨てて「仏先道後」を国是と改め、周朝をあげて仏教を擁護した。

・則天帝の時、法相宗と共に庇護を受けて盛行した華厳宗こそ、奈良東大寺の宗旨である。

・鑑真が渡来する8世紀中葉まで、この二宗派が列島の宗教界を主導し席巻していたわけだが、本家たる中国では法相宗、華厳宗ともに李氏唐朝の庇護を受ける「道教」に、強い反感を抱いていた。

・それゆえ、「道教」を抑制した則天帝は、両宗派にとって御仏の遣わした庇護者であり、救い主と呼べる存在だった。

・実際、彼女(則天)はそれを自認し、臣下をして自らを「弥勒仏の下生」と呼ばしめたほど。《弥勒(みろく)》とは《マイトレーヤ》、語源的にユダヤ・キリスト教でいう《メシア(ギリシャ語でキリスト)》の語義に相通じ、訳せば《救世主》のことで、彼女の自信のほどが察せられる。



・東大寺大仏・毘盧舎那仏の容貌が龍門山奉先寺の盧舎那石仏像を模したものとして無理はないわけだが、それは偶然ではなかったわけだ。

・意図されたものであり、そうなると、聖武は日本国の守護神を則天に定めたことになるまいか。


以上、要所を抜粋したが、私としては・・・なるほど・・・と、深い安堵の溜息が漏れるのだった。

というのも、実はこの数ヶ月間、私の心中では大きく「道教」系と「仏教」系の、その二種類の波風が盛んに渦巻いていて、それをどのように治めたらよいか見当がつかない状態だった。

それが、以上の文章内容を知ることで、その原因と落とし所が判然とした氣がしたのである。


また同時に浮かんだのは、晩年の聖徳太子が編纂したとされる『先代旧事本紀』(せんだいくじほんぎ)に伝わる【三法(さんぽう)】の教えであった。

その【三法】とは、この歴史書の「十七条憲法」に関する部分に、「篤く三法を敬え。三法とは儒・仏・神である。すなわちすべての民のよりどころ、すべての国の究極のよりどころである。」と記載されている。

一般に「さんぽう」と聞けば、『日本書紀』の「十七条憲法」第一条に記された「仏教」に纏わる「三宝」・・・すなわち「篤く三宝を敬え。三宝とは仏・法・僧である。仏教はあらゆる生き物の最後のよりどころ、すべての国の究極のよりどころである」と学んできた。

ところが『先代旧事本紀』では、上述のように《儒教・仏教・神道》を【三法】とし、 それらを敬えとなっている。「和をもって尊しとなす」と唱えた聖徳太子が実際に述べた言葉は、おそらくこちらの方であり、「篤く三法を敬え。三法とは儒・仏・神である。」と、政治的に《儒教・仏教・神道》の和合を説いたと考えたい。

また、中国の唐朝における「三教」は「儒教・仏教・道教」とされており、そのなかで一番古い中国の思想信仰たる「道教」が、「仏教」より以前に日本列島の九州域に伝来して、縄文由来の神々の呪術信仰と習合して「神道」、つまり「物部氏の古神道(和風道教)」が形成されていったのであろう。

そして、いわゆる蘇我氏(仏教)と物部氏(神道)との抗争を経て「仏教」が優勢となり、九州の倭国王朝の歴史文化が「道教(神道)」と共に廃棄され、奈良おいても更なる変遷を経て、平城遷都において奈良東大寺の大仏建立により「国家仏教」として結実したといえよう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012年07月14日 01時32分17秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

サイド自由欄

《 立体工作のご案内 》「綿棒」で立体を作ってみよう!
http://plaza.rakuten.co.jp/opektal/diary/201209180000/
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆【YouTube】『スケルトン立体』を作って楽しもう!
No.1…《綿棒工作》の「準備編」(以下のURL)
https://www.youtube.com/watch?v=uAtddr1KZWU&t=216s
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◎【Facebook】(以下のURL)
https://www.facebook.com/yuichi.yamamoto.10485
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*livedoorブログ(造形作品の紹介など)
http://blog.livedoor.jp/tyctm237/
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◎連絡先
tyctm237★yahoo.co.jp
(ご連絡の際は★を@に)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: