感情工学基礎

感情工学基礎

テーマ1:気まずい話

テーマ1:気まずい話

【密室編】

そもそも、狭い空間「満員電車」、以前紹介した「歯科医の待合室」等
その息詰まるような空間そのものが気まずいものであるが。。。
今回紹介するのは、その中でも横綱級の 「満員のエレベーター」 での
出来事である。

以前仙台の某デパートのエレベータに乗った時の事である。
その日は土曜日でお客さんが多く、エレベーターも満員だった。
途中の階から、どちらかと言うとローカル色の強い50代位の
中年の親父が乗ってきた。
扉が閉まり上へ向かって動き出して間もなく、どう見ても、その親父の
下半身近辺から。。。
「ププ~ッ」 と、秋口に入って勢いを無くした蚊の鳴くような音が
聞こえてきた。当然常識をもった人間なら我慢をする所で有るし、その
中年親父もそうしたであろう事は伺えるが、残念ながら漏れてしまった風
の響きであった。

しかし面白かった(?)のはその事自体よりも、その後の客の反応である。
私自身も吹き出しそうになったが、じっと我慢して周りを何気なく見渡した。
何も無かった様に「涼しい顔」をしている女性、ウスウス気づき目をキョロキョロ
している男、うつむいてしまった若い女性。。。
しかし誰しも頭をよぎったのは、その後に待っている
「ガス室の恐怖」 である。

そして次の階で止まった時に、恐らく中にはその階に用事が無い人もいたであろうが、
全員何も言わずその階で降りるという 「無言の抗議」 に出た。

あの時の ほんの数秒の出来事 が、まるで何時間にも感じられたものである。
私にとって1000Pzな横綱級の「気まずさ」であった。

【友人編1】

これは、ちょっと変わった趣味を持つ友人の話であるが、
私が貧乏学生時代の事である。これは「気まずさの単位」でも
紹介した「目隠しをした相手が他人だった気まずさ」のケースに
似ているが、特殊なケースである。

当時私はアパートで一人暮しをしていて、その友人も同じアパート
に住んでいたので、よく二人で近くの銭湯に行っていた。
友人の 「変わった趣味」 と言うのは、とにかくイタズラが
大好きで、人を驚かすのが趣味といえるくらいであった。
銭湯に行った時のイタズラは、人が体を洗っている時にそっと
背後から近づいてきて、なんと、座っているイスの下から手を
突っ込んで、 いきなり股間の男の急所を握る という、
まことに馬鹿げたイタズラであった。

或る晩の事であった。。。
その日は、風呂場が蒸気で曇っていて視界が悪かった。しかし
そんな事にもメゲず、彼はまたそのイタズラを私にしかけようと
企んでいた。例の如く背後から静かに近づいてきて彼は実行した。
しかし。。。
なんと、その相手は私ではなく隣に座っていた、
髪がちょっとパンチのきいたコワモテの親父だったのである。

視界不良の為、彼は私とその親父を間違ってしまったのである。

「ウッ、ウッ、ウッ!」 と呻き声をあげて、親父が振り向いた瞬間、
とっさに「ヤバイ!!」と感じた彼は、実に鋭い機転を効かせたのである。
彼はすかさず尻餅をつき、目をうつろにしながら、
「ヘッ、ヘッ、ヘッ!!」
と妙な薄笑いを浮かべたのである。
すると、それを見た親父は怒るどころか、少し哀れみを感じながら
「なんだ、こいつバカか??」
と言って、その場から立ち去って行ったのである。

それをつぶさに見ていた私は、彼を戒めるどころか、 そのとっさの判断に
逆に感心してしまった
ものである。これぞ人間の「火事場の馬鹿力」?!

注:不適切な表現が随所に有りますが、事実を曲げない為に忠実に再現して
  おりますのでご了承願います。

【友人編2】

私が学生時代、札幌で一人暮しをしていた時の話です。
近くのアパートで同じく一人暮しをしていた友人A君の「気まずい」というより
「気恥ずかしい」体験です。

ある時、A君の父親が別に「ガサ入れ」が目的ではなかったのですが、アポなしで
郷里からA君のアパートを訪ねて来ましたが、あいにく彼は不在で、暫く待っていた
もののなかなか帰って来ないので、時間を持て余した父親は久し振りの札幌だった
らしく、あの有名な繁華街 「ススキノ」 へ行って一杯やってこようと思い立ち
ました。ほろ酔い気分で、また息子の部屋に戻ろうとしたんですが、たまたま通り
かかった、 「ストリップ小屋」 の呼び込みにまんまと乗せられ、その小屋に入り
ました。中に入ると薄暗い照明のステージ上に「踊り子」と観客と思われる「一人の男」
がいました。
(注:一度見た事がある方なら、これから何が行なわれるか分かると思いますが(^^;)

二人のショーが始まり、徐々にその動きが激しくなっていくと同時に照明が明るさを
増し、スポットライトが「その男」の顔を照らしました。
暗い室内に、忽然と浮かび上がったその男の顔は。。。

「なに~~~っ、息子でないかい!!」

と親父は心の中で大きく叫びました。まさに、
この親父にしてこの子あり!!
というエピソードでした。

【同僚編1】

会社の飲み会が海沿いに有る民宿で行なわれた時の事です。
マイクロバスでの送り迎えが有って、その帰り道での
出来事です。

同僚のSさんは、勿論本人は秘密にしていたのですが、
「実はカツラ」 である事は周知の事実でした。
その時Sさんはマイクロバスの一番前に一人で座っていました。

同僚のN君は、酔った勢いで後部座席の方で仲間数人と
大騒ぎしていました。
そこまでは、まあ良かったのですが、あろうことかSさんの
事を大声で話し始めました。彼はSさんが前に乗っている事を
知らなかったのです。

「Sさんってさ~、絶対カツラだよね~!!」

一瞬にしてその場は凍りつきました。
話しを聞いていた周りの同僚は、Sさんが前にいる事は知っていました
ので、とっさに「ヤバイ!」と思い反応しなかったのでした。
その雰囲気の異様さを察知したN君も突然黙り込んでしまいました。
その様子を横目で見ていた私は、とっさにSさんの方を見ると
かすかでは有りますが Sさんの肩が震えているのが見えました。

その後、目的地に着くまでのバスの中は 1000Pzの気まずさ
に溢れていた事は言うまでもありません。。。(^^;
N君はバスが目的地に着いた途端、真っ先にバスから飛び出し走り去って
行きました(^^;

【同僚編2】

これは会社で毎年行なわれている道人会での出来事である。
毎年初参加する新人の為に、恒例の「自己紹介」をやっているのだが、
出身地の紹介を始めとして一人だいたい5分程度のプレゼンテーション
をすることになっている。
その人の自己紹介が終わると、その人に対して2~3分程度の「質問
コーナー」の時間が設けられている。私もこの会の中ではベテランの
仲間に入るので、各人の自己紹介が終わると積極的に質問をしていた。
その時は、実は私の神さんも同じ北海道出身だったので、その人の
奥さんの出身地を質問していた。その年の新人を除いて、大体メンバー
の奥さんの事は知っていたのだが、某大先輩の自己紹介が終わった時に
そう言えば、この人の家族の事はよく知らない事に気づき、早速質問
してみた。

「〇〇さんの奥さんの出身地はどちらですか??」

すると、その瞬間30人程いた宴会場がザワつきだし、しかも普段から
大変マジメなその先輩も答え難そうにモジモジしだしたのである。
その少々異様な雰囲気を察知して、同じテープルに座っていた同僚を
見ると 「それはマズイ!」 というような表情をして、目で合図を
送っている様であった。
結局、訳もわからず「別に答えなくてもいいですよ(^^;」と言って
その質問を取り下げたのだが、後で聞いたのだが、

その先輩は、最近離婚したらしく、その事実を知らなかったのは
私だけだったらしい(^^;

【同僚編3】

同僚のA君が入社して間も無い頃、同じ職場の大先輩OL(いわゆるお局的存在)
Bさんが「美男子」として評判だったA君を 社員旅行 でくどき落とし、「もの」
にしたのは有名な話でした。何も知らないA君にとって「年上のお姉様」として
さぞ魅力的に映った事は想像に難くは有りません。

しかし、まわりが心配していた通り、A君の気持ちは次第にBさんから離れて
いきこの付き合いも長くは続きませんでした。しばらく時間が経ちA君は別の
職場で働いていた年下のCさんと結婚しました。後で入社したCさんは、別の
部署だったせいかA君とBさんの過去の関係は知らなかったようでした。

ここまでは、「どこにでも転がっているような」よく有る話ですが、ここからが
私達にとって気まずい話となっていきます。

その後A君は担当が変わり、別の部署に配置転換となり、何故か間もなく
夫人のCさんが私達の職場に配置転換となり、こともあろうかBさんの
アシスタントとして、なっ、なんと。。。

BさんとCさんが隣同志の席になりました!

Bさんが感じたであろう気まずさは言わずもがなですが、Cさんの歓迎会の時も
勿論として、その後の飲み会でも、当然の如く二人の前で A君の話はタブー
となり、何となく気まずい雰囲気がかすかに会場を覆っていた事は言うまでも
有りません(^^;
(注:これはフィクションではありません。尚Cさんがその事実を知っているか否か、
いまだに定かでは有りません)

【私編1】

以前一緒に働いていた同僚の奥さんは
昔、私が付き合っていた人です(^^;

しかし、この事実を同僚は今でも知らないようです。

仕事とプライベートは別とは言え、この同僚とは何となく
仕事しづらかったですね。勿論家族の話は極力避けてました(^^;

【私編2】

私の上司は、私の元部下です。

【私編3】

当時私の上司だったS部長と一緒に大阪へ出張に行った時の話です。

お客さんとの打合せが予定より長引き、予約していた帰りの飛行機
に間に合わず、その次の最終便で帰ることにしました。
しかし、週末という事もあり満席でキャンセル待ちをするハメになって
しまいました。私が4番で、部長は5番だったと思います。
待っている間の時間、明日の二人の予定について話をしていました。
部長はあるグループの「芋煮会」(東北地方では一般的な、秋に野外で
行なわれるバーベキューのような行事)に誘われていると大変楽しみに
している様子でした。私も家族とドライブを計画していました。

その時は、何故かあまり根拠も無く、「きっと飛行機には乗れるだろう」
と二人とも妙に余裕を持っていました。予約客の機内への搭乗が始まり
最後に「キャンセル待ちのお客様、搭乗口までお越し下さい」とアナウンス
が流れ、キャンセル待ちの番号が呼ばれ一人づつ中へ入っていきました。
「4番のお客様」と私が呼ばれ、何の迷いも無くゲートをくぐり部長を
待ちました。するとグランドホステスが。。。

「申し訳御座いません。キャンセル待ちは4番で終了致します。」

もともと気がきかないというか、機転のきかない私は、本来部長に
4番を譲れば良かったなどと、今更気付いた訳ですが時すでに遅く、また明日
自分は家族とのドライブ旅行も控えていたので、咄嗟に部長に4番を譲る
などという気も起きず、ゲートの外で待っていた部長に。。。

「すみません、それじゃあお先に失礼します!」

と言って、振り返らずに一目散に一人飛行機に乗り込み無事帰路につきました。

翌週の月曜日に、勇気をふりしぼって部長に聞いてみました。
「あれからどうしました??」
「しょうがないから市内に戻ってビジネスホテル探して泊まったよ!
こっちに着いたのは次の日の昼過ぎだよ、まったくもう!」

ものすごく機嫌が悪そうだったので、恐ろしくて「芋煮会はどうでした?」などと
聞ける雰囲気は全く有りませんでした(^^;

それからしばらくの間、 二人の関係はギクシャク していた事は言うまでも
ありません(^^;

【私編4】

先日、お客さんと社内の会議室で打合せをしていた時の事である。

いろいろと準備に追われ、その時に限ってすっかり携帯を
「マナーモード」 にするのを忘れていた。
普段、会社にはあまり携帯には電話がかかってこないのだが、やはり
悪い事は重なるものである。お客さんとの打合せが、 丁度ヤマ場に
さしかかった頃
神さんから電話がかかってきた。

当然、最初はバイブがブルブルと震え、その後あの陽水の名曲
「少年時代」 の着メロが静かな会議室
の中で厳かにそして静かに流れだした。
咄嗟に、はっとして携帯の電源を切ろうとするのだが、やはりこういう
時人間は。。。というより私はあせってしまい胸ポケットから出すのも
梃子摺り、挙句の果ては電源のボタンを押す事さえも、もたついて
しまったのだ。通常なら、すぐに部屋を出る機転も効く所だが、何故か
その頭も廻らず、だんだん大きくなっていく名曲「少年時代」が

虚しく響き渡るばかりだった(^^;

それを見ていたお客さんも、しまいには呆れて苦笑するばかり。。。
あれほど、あの名曲が、再び注目された事は無いであろう(^^;


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