お空のあいちゃん

お空のあいちゃん

最後のお別れ



手続きが終わって、私達は4人で火葬場に向かいました。 主人の両親にあいちゃんと会ってもらうためと、私達がもう一度、あいちゃんとお別れをするために。。。

火葬場につくと、小さな部屋に案内されました。 そこには。。。小さな小さなあいちゃんが、真っ白の、なんの飾り気もないベットの上で、白いシーツにくるまって眠っていました。 お花もなにもない、がらんとした部屋でした。。。 小さな部屋なのに、あいちゃんが小さくて、とっても大きく感じました。

部屋に入ったとたん、私と主人の目からはまた、涙があふれてきました。 私も主人も“あいちゃん”と声にだして名前を呼びながら、 よこたわっているあいちゃんにかけよりました。

義母はめがねをかけて、あいちゃんの顔をみながら、“お母さんににている”と言いました。 主人は、“ え? 僕ににてると思うんだけど。”と答えていました。 議父は、部屋にはいって、あいちゃんの顔を遠くからながめると、あっというまに部屋から出ていってしまいました。 もしかしたら。。。泣いていたのかもしれません。

議母は、“外でまってるから、気がすむまでお話してあげなさい。”というと出て行きました。

私は、あいちゃんにふれてみました。 あいちゃんのほっぺは、信じられないくらい冷たくなっていました。 “生きていないんだ。”そう、再確認させられるようなつめたさでした。 それでも、あいちゃんのほっぺはふかふかでした。 そう、私には感じました。

私は受け付けの人にお願いして、はさみを貸してもらいました。 形見にとあいちゃんの髪の毛をすこし切らせてもらいました。 “ごめんね。ママこういうのへたくそなの。 ゆみちゃんがいたら、上手に切ってもらえるのにね。”そう話かけながら、一束切って、ハンカチにつつみました。

主人に、“ ふたりにさせてくれる?”と言われて、私は部屋をでました。 私はそのままドアの前で主人をまっていました。 もうあいちゃんとは、ほんとうにお別れなんだと。。。 あいちゃんお姿をみるのは、これで最後なんだと。。。 そう思うと、ドアをあけて、もう一度かけよって。。。あいちゃんを抱きしめたい。。。 そのまま連れて帰りたい。。。そう思わずにはいられませんでした。 でも、心のどこかにいる、冷静な私が、そうはさせませんでした。

主人とあいちゃんが最後にどんなお話をしたのか。。。今でも私は知りません。


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