☆ｆ4♪ＬＯＶＥ　アンクミの徒然日記

孤独

「西田、牧野にコーヒー持って来るように言ってくれないか」
出社した司は　早くつくしに会いたかった

電話を受けた西田は　戸惑っていた
「牧野にですか・・・はい。判りました」

昨日類と話した司は　決心していた
どんな事があってもつくしを守ろうと　その事をつくしに　告げたかった

少しすると　ドアにノックの音が
「どうぞ」　
「失礼します」そこに現れたのは　牧野ではなく　西田だった
てっきり　牧野だと思った司は　西田の声に驚いて　顔を上げた

「なんでお前が　牧野にって言ったはずだが」
困ったような顔の西田が　静かにコーヒーをデスクに置くと

「社長　じつは　今朝早く　牧野さんが　会社を辞めたいと
電話があり　今日は出社しておりません」

司は驚き　立ち上がると　イスが後ろの倒れてしまった
「辞めた！　辞めたって　牧野がか　　いったい何時電話して来たんだ」

昨日の出来事が原因なのか？　そんなにあいつは　苦しんでいたのか

俺は　俺は　あいつを一人にすべきじゃなかった
ずっと側に　あそこにいれば良かった

そう思うと　司は　いても立ってもいられなくなり　部屋を飛び出していた
車を猛スピードで走らせ　牧野の家へ

「牧野　牧野　中に居るんだろう　出て来てくれ　牧野」

しかし　中から牧野の返事は返ってこなかった

ドアノブをガチャガチャいわせても　開く事は無かった
ドアを強く叩く音だけが　虚しく　廊下に響く

崩れるようにドアの前に　座りこむ司

どのくらいそうしていたのだろう　まるで何年もそうしていたような感覚が

「類　　俺どうしたらいい　牧野が　牧野がいなくなった」

その声はいつもの司からは　想像も出来ないような　
か細く　消え入りそう

「　牧野がいなくなったって　どうしてなの　司！司！
今何処にいるの」

「牧野の部屋の前～～」そう言うと司の手は力なく　下ろされた

廊下に靴音が　類が走ってくる
ドアの前に　うずくまる様にして　司が

「司　何があったの　牧野がいないって　どうして」
「あいつ　今日　会社を辞めるって電話してきた　此処に来たけど　あいついないみたいで　何度呼んでも　返事が無いんだよ」

長身の司の身体が　まるで子供のように　小さく見える

「とにかく　司皆で探してみようよ　あきら達にも電話しておいたから　すぐ来ると思うよ　部屋の鍵は持ってないの」

小さく首を横に振る　司

管理人から鍵を借りてきた類は　司を立ち上がらすと　部屋へ

カーテンの引かれていない窓から　陽の光が部屋いっぱいに
差し込んでいる

部屋の中央に白いラブチェアーと白いテーブルが置かれ
その上には　昨夜司がつくしに掛けてあげた　上着が
きちんとたたまれて置いてある

上着の上には　小さなメモが

「道明寺　ごめんね　きっとビックリしているでしょうね
でも　こうするしかないの　きっとあんたの事だから　会社飛び出して来たよね　私一人でも大丈夫だから　だから　お願い　探さないで　そして有り難う　あんたに会えて良かった」
涙の跡だろうか　所々字が滲んでいる

暗い路は何処までも続くように思われた
いつか　私はまた　明るい路に出る事が出来るのだろうか

勇樹との恋が終わった時も　こんな孤独は感じなかったのに
どうして　今は　こんなに　寂しく　辛いんだろう

昨日一晩中考えて出した答えだけど
胸の中にポッカリと大きな穴が開いたような
私の心は　これから　何処へ行こうとしているのだろう

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