☆f4♪LOVE アンクミの徒然日記

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それぞれの想い


        ~~~それぞれの想い~~~




日々の仕事に追われながらも 司は牧野の事を忘れる事が出来なかった

毎夜 牧野を求めては 届かない自分の愛に 苦しんでいた

類が話してくれた 牧野とあいつの様子

今 牧野はどうしているのだろう
彼が 逝った事は 司の耳にも届いていた

なのに 何故 俺の所に戻ってこない

牧野~~何故だ お前の悲しむ姿が 目に浮かぶ
きっと 又一人で泣いているんだろうな

まだあいつの心に 俺は居るんだろうか



静かな廊下に 響く靴音 この先に勇樹が
知らせを聞いた両親が 訪れているはず

最後まで病気の事を話そうとしなかった 勇樹
両親に宛てた手紙を渡さなければならない

何と言ったらいいのだろう 

ドアの前に着くと 中から女の人の泣く声が
時折 勇樹の名を呼ぶ声も聞こえてくる

つくしはその場から逃げ出したかった 両親の悲しみを思うと
いたたまれなかった

暫くすると、泣き声は止み、そっとドアが開いた
ハンカチを握り締めた女の人が 男の人に支えられるように出てきた

目の前のつくしを見て 二人は少し驚いている

「初めまして 牧野 つくしと言います 勇樹のお父様とお母様ですね   あの~~すみませんでした もっと早く勇樹の事お話しなければならなかったのに」

後の言葉が見つからない 

「牧野 つくしさん 勇樹の友達ですか?」しっかりとした声で父親が だが言葉とは裏腹に、その姿は憔悴しきっていた

「勇樹から お二人に手紙が残されていました 今日はそれをお渡ししようと~」バックから手紙を取り出すとつくしは 二人の目の前に差し出した
「あの子が手紙を?」

少し震える手で手紙を受け取る 父親 
傍のイスに妻と共に座ると 暫く手紙を見つめ 封を開けた

「お父さん お母さん こんな形でお会いする事をお許しください 随分驚いているでしょうね
半年前 自分の命が後3ヶ月と言われた時 僕は自分の運命を受け入れる事が出来ませんでした 目の前が真っ暗になってしまい絶望し 生きる希望を無くしてしまいました
何故 どうして僕が 全ての事を恨みもしました
絶望し自暴自棄になった僕を 死の淵から救い出してくれたのがつくしです 自分を捨てた男に手を差し伸べてくれた つくし
彼女が居なかったら 僕はとうの昔に 死を選んでいました
生きることの大切さ 病気と闘う強さを彼女に貰いました

何一つ親孝行も出来ずに ごめんなさい でもどうか 悲しまないで 僕は幸せでした 貴方達の子供に生まれて 生まれ変わっても 又貴方達の子供に生まれたい

病気の事 何も話せずに ごめんなさい 宣告された時の自分のような悲しみ絶望を お二人にさせたくなかった
あんな思いは僕一人で充分です

だからどうか もう悲しまないで下さい そして僕の分まで長生きしてください お身体を大切に 先に逝く僕を許してください
そして 今まで有り難うございました 僕悔しいよ もっと生きたかった」

新たな涙が 二人の目からこぼれ落ち 手紙を濡らしてゆく
「勇樹 勇樹どうして なぜこんな」

手紙を握りしめ 嗚咽する父親 
その姿を見ていると つくしは自分が 勇樹の反対を押し切って
病気の事を伝えれば良かったと後悔している
二人が 勇樹と過ごす時間を奪ったのは 私

「本当に すみませんでした ご両親にお話しなかった事 なんて 謝ればいいのか」
「つくしさん、貴方がずっと傍に居てくれたんですね 有り難う
貴方のおかげで 勇樹は生きる事を諦めなかった 私達はそれだけでも充分です」

今 それぞれの想いが  



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