偏狭な料理人


 私のような素人でも母が病弱だったせいか調理暦は料理人よりも長かったりするので厨房に入ると駄目な料理人くらいは分かるものだ。
 確かに地元では人気があるらしいけど。それはボリュームと昔他に良い店が無かったからということが影響しているのだが、正面切って言うと可哀相なことがある。
 特に和食をマスターしているのなら良いが似非洋食から入っている人達は性質が悪い。矢鱈ソースにそれも『和のテースト』とかいうのを言うもんだから鼻をつまみたくなる。
 本当に美味いもんなら塩胡椒か卸し醤油で焼き加減なり焚き加減だけ見とけばいいんだよ。
 あんたの吟味した『和牛』はついこの前まで米国産のF1だったよ。とは言ってはいけない。納入業者まで巻き込んで1大事件になっちゃうし下手すりゃ店が傾いてしまう。小さい町では鼻持ちならんでもそこの息子が消防団員としては役に立ったりするから、潰すようなことをしちゃいかん。そこの卸は田舎の癖に美術品あさりするようだから余程危ない橋を渡っているようだけど。(普通に真面目にやったら儲からないよ。だから地道にお惣菜とかやって小遣い稼いでいるんだから。)
 ソースを食わせるならオージーのランプで十分だったりするんだよね。和牛の牛脂とシャンピニオンの焼酎漬けがあれば洋食クラスなら問題無いもの。
 客も客だよな。自分の舌に自信を持てれば店主の御託に付き合わないで不味いと一言言ってやればいいのに。価格帯と店構えとかテレビや雑誌に紹介されたとかで誤魔化されちゃうんだよな。
 お客様の紹介だから何度か行かざれるを得なかったけど、こういう店はげんなりだよな。


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