田中およよNo2の「なんだかなー」日記

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2005年02月24日
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テーマ: 人間関係(929)
カテゴリ: 硬派
親友って定義が難しい。


この間、友人が今月末から留学先の外国に出発するから、一緒に飲んだ。
時間もあまりなかったから、駅の近くのホテルの上の階バーで飲んだ。
ぽつぽつとした夜景の真ん中で再開発前の更地が大きく、黒かった。

僕と彼は夜景を眺めて、ぽつぽつと話していた。

無茶な応援もしない。
別れの涙もない。
優れた情報を提供しあうわけではない。

ハウルの動く城はどうだったとか、加藤ローサが可愛いとか、これから仕事をどうするかとか。
ちょっとだけ、住む場所はどうするなど留学に関わる話題が出てくる程度だ。

思わず、私は言った。
「とりたてて話すこと、ないなぁ」
彼は笑った。
「せやなぁ」

僕と彼は黙って窓の外の夜景を眺めた。
目の前のビルの明かりがパンっと消えた。

彼が話した。
「なんか、熟年夫婦みたいやなぁ」
僕は軽く笑った。


彼と初めて出会って10年が経っている。
10年前、僕はギャルソンも知らなかったし、なにより映画館にも行ったことも、村上春樹さんの小説も読んだことさえなかった。
考えると、長い。

その長い10年間、色んな人とも会ってきた。
一緒にいて楽しい人や勉強になる人、人生の師匠などとも出会ってきた。



とりあえず、今日会おうかってあっていた。
あった後で「なにしようか?」って話していた。
いつも、とりたてて話すことはあまりなかったりする。
話さなくても信頼できるというのは言い過ぎかもしれない。
ただ、なんとなくお互いに安心するのだ。

なんでも話し合えることを親友の条件にする人は多い。
でも、僕は彼との10年の他愛なさを振り返り、こうもいえると思うのだ。

別に話さなくてもかまわない友人こそ、親友であると。

考えてみて欲しい。
車の中で数時間も話さずにいたら普通、気まずくなるか、気を遣い始めるだろう。

でも、僕は彼となら数時間、話さなくても気まずくならないと断言できる。
「今日、無口やな」
「そっかなぁ」
何時間後かに口を開いても、その程度の会話で済むだろう。
気なんて遣かわれた日にゃ、気持ち悪くてこっちが気を遣ってしまう。

最後の挨拶だけ、いつもと違って握手をした。
「遊びにこいよ」
「いくよ、落ち着いたらね」
感傷的になった。
ただ、そのちょっとだけのセンチメンタルが、印象に残った。

一人になった帰り道。
僕は先ほどまで見下ろしていた、夜景の風景の中を歩いている。
同じ沈黙でも、彼と飲んでいた沈黙とは違う。

しばらく、僕と彼は違った風景の、各々抱えている沈黙と暮すことになる。
そして、再会しても優れた話をするわけではないだろう。
だけど、僕は彼に会いに行くだろう。

とりたてて話すことがないからこそ。





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最終更新日  2005年02月25日 03時10分08秒
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