読書の部屋からこんにちは!

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2010.03.13
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カテゴリ: 小説
ちょうど一ヶ月前に読んだ「カシオペアの丘で」はとてもおもしろかった。
もしかしたら重松清さんにはまるかも・・・
そう思いながら、続けて読んでみましたよ。
「再会」  「かあちゃん」そして、「ステップ」
「再会」は、誰もがちょっとノスタルジックな気分にさせられる軽い小品で、好きです。
でもそのあとの2冊は、私の好みじゃなかったみたい。




「かあちゃん」は、夫の交通事故の罪を一身に背負い、かたくなに贖罪に生きる母親がまず登場します。
その母親の厳しい人生がテーマかと思って、これは読み甲斐のありそうな本だと思っていると、いきなり話は中学校のいじめの話に変わってしまいました。

確かに、登場人物一人ひとりにいろんな母親がいて、それぞれに表現されていますが、タイトルが「かあちゃん」というほどには、母親を描いていません。
中学生の一人が冒頭の母親に影響を受けるところも、ちょっと唐突だし、いじめの首謀者が実は上級生からのいじめ被害者でもあったというところは、もっと掘り下げてもよかったと思います。
全体のテーマは、「贖罪とは」「許されなくても償うということ」だと思うのですが、それも散漫な感じがして、ちょっとものたりません。
この本は、テーマをいくつかに分けて、もっと掘り下げた複数のストーリーにしてもよかったんじゃないでしょうか。せっかくの冒頭の母親のエピソードが、もったいないような気がしました。




さて、「ステップ」の方はもっと単純です。妻を亡くした若い父親が、一歳半の娘を育てる物語。一年に一章のペースで、最終章では娘が小学校を卒業し、父親は再婚するという、わかりやすい物語です。
こんなうまい話って現実にあるわけないじゃないという「美談」の連続で、さすがに食傷気味。しかも重松清さんって涙腺のツボをよくご存知のようで、ほんとに何度も何度も泣けました。泣けるからって感動したことには、もちろんなりませんけどね。





どこかのレビューに、美しすぎるところが宮本輝さんのようだってありましたけど、いやそれは全然格が違うでしょって思います。
私は、じんわりしみて、ずっしり深くて、そして途中でやめられないほどおもしろい。
そんな本が好みなんだわ。ほんとにわがままですね。





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Last updated  2010.03.13 11:45:27
コメント(7) | コメントを書く


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Re:「かあちゃん」 「ステップ」 重松清(03/13)  
葉月9703  さん
こんばんは。
「ステップ」は、お好みでは無かったのですね。
私は、自分が、体外授精で子供を授かり、二人目はあきらめざるを得なかったので、〔主人公の義兄の妻〕の気持ちがわかる気がしました。
また、父を癌で亡くしてますから、「なぜもっと早く気づけなかったのか」という悔いを一生負っていくことでしょう。
小説だから、現実では無いから、きれいごとでいいじゃないか、という気持ちが、私にはあります。
小説でも、全く全部嘘ではない。
彼の、彼女の、気持ちに寄り添ってみると、そういうものかもしれないなぁ、とその気にさせるところが、私が重松さんを好きな理由なのかなぁ。

「疾走」は、途中で嫌になって、読むのを止めてしまいましたけど。
「かあちゃん」は、主人公の母が、あそこまで自分を追い詰めなくても、と息苦しさを感じましたが、犯罪を犯しながら反省しない、たとえば児童虐待死させた親に、無理やりにでも読ませたいと思いました。

感想は人それぞれ。別の見方もあると、参考になりました。
自分に合ったもの、何度でも読み返したいと思う本が見つかったときのうれしさ(私の場合「十二国記」など)、書評を参考にしたり、映画化されたものの原作を読んだり、相変わらず乱読しています。  (2010.03.13 18:55:14)

Re[1]:「かあちゃん」 「ステップ」 重松清(03/13)  
ぱぐら2  さん
葉月9703さん
コメントくださって、ありがとうございます。
実は以前、あまりおもしろくなかった本を正直に感想文にしたところ、(感想文とはそういうものですけど)その本を好きな方から、皮肉いっぱいのひどい書き込みをされたことがあるのです。
でも、私の読書ブログは正直な感想を書かなきゃ意味ないと思ったので、感じたとおり書きました。
感想なんて、人それぞれ。
葉月さんが、大人でいらっしゃってよかったわ。ありがとう。

>小説でも、全く全部嘘ではない。
>彼の、彼女の、気持ちに寄り添ってみると、そういうものかもしれないなぁ、とその気にさせるところが、私が重松さんを好きな理由なのかなぁ。

私も同感です。
知り合いで、「小説なんて嘘ばっかり書いてある」って言った人がいましたが、嘘としか受け止められないかわいそうな人だって思いました。

>「疾走」は、途中で嫌になって、読むのを止めてしまいましたけど。

これはすごかったですねえ。2年前に読んで感想を書いてます。読んだ後しばらく後遺症が残りましたよ。

私も好みの本を探して、乱読を続けていこう。これからもよろしくね。 (2010.03.13 19:11:31)

Re:「かあちゃん」 「ステップ」 重松清(03/13)  
charlenepurple  さん
そうそう、人それぞれで良いと思います。
同じでも違っても。顔も生き方も違うのだから違って当たり前。
貴ブログを読んで最近の作家名を知る情けなさ、本当に小説を読まなくなってしまった。
この重松さんというのも初見でした。
色々紹介して下さい。 (2010.03.14 19:18:40)

Re[1]:「かあちゃん」 「ステップ」 重松清(03/13)  
ぱぐら2  さん
charlenepurpleさん
こんにちは。お久しぶりですねえ。
最近読書量が減ってしまったうえに、どうも感想文の内容がマンネリで・・・
でも、また遊びに来てくださいね。 (2010.03.15 08:44:50)

Re:「かあちゃん」 「ステップ」 重松清(03/13)  
ミシェル・デマルケ さん
重松先生を・・・というか、ある作家の作品全部を好きになれるかどうかは、理屈じゃないんでしょうね。

恋愛観じゃないですが、結局、好きか嫌いかはフィーリングで決まっちゃってるみたいなところってないですか?

好きな作家先生の場合、時々、凡打や三振があっても、「ま、たまにはそういうこともあるさ」と甘くみがちですが、ある一作はとても良かったけど全部好きかどうかはまだっちょっと・・・と思ってる段階の作家が三振しようものなら、「やっぱ一発屋だったな、こいつ(こいつって・・・)」とバッサリ斬り捨てちゃうという感じというか。
(2010.03.15 22:05:37)

Re[1]:「かあちゃん」 「ステップ」 重松清(03/13)  
ぱぐら2  さん
ミシェル・デマルケさん
>好きな作家先生の場合、時々、凡打や三振があっても、「ま、たまにはそういうこともあるさ」と甘くみがちですが、ある一作はとても良かったけど全部好きかどうかはまだっちょっと・・・と思ってる段階の作家が三振しようものなら、「やっぱ一発屋だったな、こいつ(こいつって・・・)」とバッサリ斬り捨てちゃうという感じというか。

あははは!!
ミシェルさんにかかると、ほんと、一刀両断ですねえ。「こいつ」か。
ま、おっしゃるとおりでございます。
しかし、最初の一冊でヤーメタってなった作家さんもいましたっけねえ。 (2010.03.16 08:25:28)

vtoesqzsxaq@gmail.com  
バーバリー ベルト さん
匿名なのに、私には誰だか分かる・・・(^_^;)ありがとう。。。 バーバリー ベルト http://burberry.onasake.com/ (2013.03.11 00:00:16)

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