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著者・編者 | 池上彰=著 |
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出版情報 | 角川書店 |
出版年月 | 2012年12月発行 |
著者は、元 NHK キャスターでフリージャーナリストの池上彰さん。消費税、社会保障、製造業、領土問題、日本維新の会、大学の秋入学、教育委員会、原発、選挙制度改革、瓦礫の広域処理という 10 個のテーマについて、わかりやすく解説する。
池上さんの話がわかりやすいのは、あるテーマについて問題を設定したり、目標を明らかにした上で、関連する歴史を遡ることにある。私も仕事上、よくわからないルールやプロジェクトに出会ったら、まず過去の資料を遡ることにしている。いつ、誰が、どういう意志をもって決めたのかがわかると、自分がとるべき方向が見えてくるからだ。
消費税については、いままでの経緯を振り返り、導入時には「所得税、法人税などの大幅な減税が実施されたため、ネットでは 2.6 兆円の減税となりました。1997 年(平成 9 年)の橋本内閣の際の消費税増税も、所得税などの減税とセットで、国民負担はほぼ変化しませんでした」(32 ページ)と解説し、今回の増税では減税がセットになっていないことを指摘する。日本維新の会をはじめとする新政党については、「日本の政治がうまくいかないのは、政治家が「票集め」に走り、国民は「幸せの青い鳥」を追い求めているから」(129 ページ)と手厳しい。
大津いじめ・自殺事件に絡んで教育委員会制度を取り上げ、「かつてこの国を戦争へと導いたのは政治家たちです。そのとき、教育も政治の動きに同調して若い命を戦争へと向かわせてしまったという反省から、教育は政治的に中立の立場で行えるようにしようということになった」(157 ページ)という経緯を振り返り、主張が教育委員会に関与するという橋下大阪市長の方針に疑問を投げかける。そして、地域の高齢者や政治家に丸投げしている教育委員会を、ふたたび住民の手で運営すべきと主張する。
ただ、池上さんの言葉がわかりやすいために、それを鵜呑みにしてしまうという罠に陥りやすい。池上さんは、われわれが思考停止しないために分かりやすい解説を心がけているのであって、その辺を誤解してはいけないと感じた次第。
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