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2006/10/16
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読売新聞の本日付社説が、米国議会の国際関係委員会で行われた、従軍慰安婦議決を非難しています。


日本で最大の発行部数の新聞がこういうことを書くようでは、日米関係の明日が思いやられます。
米国の意図がどういうところにあるのか、読売社説を書いている人にはおわかりではないようです。

安倍政権、右向け右でいきなり暴走を始めるのではないかと私は危惧もしていましたが、今のところ、意外とまともで中庸にやっているように見えます。
米国も、安倍政権誕生に際して私と同じような危惧を日本人に対して抱いた、ということが、この決議に現れている、と私は思います。
米国は歴史的事実に基づいて行動する国ではない、ということは、大量破壊兵器を有していなかったのにもかかわらず、大量破壊兵器を持っているとしてイラク開戦に踏み切ったことでも明らかです。
米国の国益を最大限に考え、いざとなれば捏造でも事実歪曲でも敵対国の指導者の暗殺でもやる国です。
私は、親米派の人間ではないので、米国が何か言ったからといって、日本がすぐにイエスという答えを返す必要はないと思いますが、読売社説の書き方では、米国が日本に対して抱き始めた懸念など何のその、安倍政権は右を向いて疾駆せよと焚きつけて、米国の対日不信感を煽るようなものです。


ですが、仮に強制連行が事実だったとして、強制連行された側がこれを学術的に真実だったと証明することが可能か、と、言えば、無理だろうと思います。
当時権力を握っていた側は、いくらでも事実を歪曲することはできただろうと思いますが、抑圧されていた側には、事実を証明する手段はありません。
ここがそもそも不公平になっているので、読売社説が「強制連行は学術的に否定されている」と言っても、私には、はいそうですか、とは言えませんね。

そして、こんなことは、日常茶飯事です。
交通事故で我が息子を亡くした親が、加害側の自動車の責任を追及しようとしても、因果関係の証明を行うことはほとんど不可能です。
医療事故でも、仮に医者に過誤があっても、医療ミスと実際の被害との因果関係を証明することは患者側にとって絶望的です。

水俣病については、私が大学時代にゼミをとっていた西村肇先生によって、加害側企業が流した排水の中に含まれる汚染物質が魚類に蓄積され、何も知らずにそれを食べていた人たちに健康被害、生命への被害が出てしまった因果関係が解明されています。
しかし、これは、公害の問題点に研究者としての生命をかけて取り組んだ専門家がいたからできたことであって、水俣病の被害者にどうして、因果関係の解明・立証ができるのでしょうか?
AIDSでもそう、アスベストでもそう、いくらでも、こうしたことは挙げられます。

第三者である米国にしてみれば、泣いている人がそこにいるのだから、事実関係が立証できずとも、何某かの被害が存在したのだろうと思うのはむしろ当然であって、「学術的に否定された」と日本が強弁すれば、米国は、イラクの大量破壊兵器のときと同様に、日本には、何か後ろめたいものがあるのだろう、と、考えるでしょうね。

私は、従軍慰安婦問題についても、日本政府は、被害への訴えが全て真実だと認定すべきだとは言いませんが、訴えの内容にも耳を傾けるべきであって、「日本政府はきちんと反論せよ」と主張する読売社説のように頭から門前払いするのは、外交政策上誤りだと思います。



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最終更新日  2006/10/16 08:39:11 AM


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