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December 2, 2010
テーマ： 心のかたち、人のかたち(953)
カテゴリ： カテゴリ未分類
毎日 夜が明ける瞬間を見ることになる。
星と月が夜が明ける寸前に 一番瞬く。
そうして紺のグラデーションだった空が
少しずつ 紅をさす。
空が暖色と寒色のグラデーションを作って
それに見とれるころには
星が消えていく。
昨日の空の色は 今までみたことのない
エメラルドグリーンだった。
思わず カメラをかまえたけど
あの微妙な色合いの空は写せなかった。
この空の色は
忘れたくないなあと思って
たった一人で 空を眺めた。
そんな昨日、ぱぱのおばあちゃんが亡くなった。
お母さんのお母さん。
享年９０歳。
ぱぱのうちの事情とうちの事情はすごく似てる。
うちの父も血のつながってないお父さんに育てられた。
お義母さんも血のつながっていないお母さんに育てられた。
ぱぱの血のつながっていないおばあちゃんと
私の血のつながっていないじいちゃん。
ぱぱも私も 血のつながりなんて
なんの意味もないことを 教えられなくても知っている。
おばあちゃんは強い人だった。
65歳から ずっと人工透析をしていたのに
おじいちゃんが亡くなった７年くらい前まで
二人でしゃんとして暮らしてた。
今年のお正月に危篤だっていわれたのに
結局１年生き抜いた。
７年間、毎日病院に通い続けたおじちゃんに
見守られて眠るように亡くなったらしい。
「プロレスが好きだったんだよな。」
ぱぱがつぶやいて なんだか 泣きそうになった。
昨日、美しい空の色を見ながら
思ったことがある。
どんなに私が自由自在に言葉を操れたとしても
写真の腕がよかったとしても
私がたった一人で見たすばらしい空の色は残せない。
生きることって こんなことなんだな。
すばらしい瞬間は残せない。
残せないけど 新しい記憶に上書きされて
いつか忘れてしまう。
でも、残せないから意味がないわけではない。
忘れたくないからこそ
自分が持っている限られた時間を
できるだけ誰かと共有したい。
そのためにつながるのかもしれないな。
それでも私が見た景色は
他の誰も見れない。
私だけの景色だ。
それが一人一人が生きる意味だと思う。
おばあちゃんが見た景色はどうだったんだろうか。
まだ私がみたこともない
すばらしい景色や
感じたことのない感情を
９０年分たっぷりと抱えて
静かに旅立ったんだろうな。
綺麗にお化粧をしたおばあちゃんに
「ばあちゃん また 明日ね。」
と自然に声をかけているぱぱを
あらためて好きだなあと思う。
おしゃべりではないけど
大切なことは自然に声に出せる人。
じいちゃんが８年前に亡くなったとき
父は東京で 母は術後１週間で 妹はゆうりを産む寸前だった。
私が葬儀に関する一連の手配を取り仕切るしかなくて
じいちゃんの死に向き合う隙もなかった。
火葬場でじいちゃんの形が亡くなったとき
ようやくじいちゃんの死に向き合って
私は泣き崩れた。
泣き崩れた私の
体も心も支えてくれたのはぱぱだった。
私を愛してやまなかったじいちゃんは
それを見て バトンタッチしてしまったことを
実感しただろうな。
きっと明日火葬場で ８年前のことを思い出す。
ぱぱはきっと泣き崩れたりはしないけど
ちゃんと隣にいようと思う。
できればやさしい感じで。
夫婦って こんな時間を重ねていくんだから
ほかのどんなつながりよりも
強くなっていくしかないよな。
どんな恋愛をしたとしても
やっぱり夫婦のつながりにはかなわない。
さて 洗濯完了。
洗濯物を干してから
明日のために寝ます。
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