のり巻き

アジア以外の海外に生活する方々、そして海苔おにぎり持参(?)でアジア以外への海外旅行をされた方々は経験されてご存知かもしれないが、我々日本人の大好きな海苔、これに驚く西洋人は多い。
最近は、日本⇔欧州を結ぶ航空会社で、機内サービスの軽食としておにぎりを出す会社もチラホラ。
おにぎり大好き、特に味付け海苔大好きの我が娘は、長時間飛行中に何度もスチュワーデスやスチュワ-ドさん達に貰いに行き、12~3時間飛行中に最高10個のおにぎりを食べた事もある。
通常は機内に搭載しているおにぎりの量には限りがあって、「お一人様一つデス」と冷たく断る人も居るが、可愛い小さな女の子が拙い日本語・英語で頼んだり、そしてスッチーさん達が子供に超甘のイタリア人だったりすると、そんな規制なんぞ関係無く快く下さっちゃうのである。
かくいう私も海苔大好き人間なので、山ほどの味付け海苔・板海苔・青海苔と海苔尽くしの品々を、日本帰国の度に此方へ持参するのである。

昔、2ヶ月ほど姑(現イタリア人夫の母)と同居した事があるのだが、海苔大好き娘が毎日味付け海苔を頬張っているのを見て
「あんた、母親失格よ!山羊じゃあるまいし、大事な孫娘に紙みたいな物ばかり食べさせて!!!」
と叱られた事がある。
遊びに来た小姑も
「紙を咥えさせられて、ナンテ哀れな女の子なの・・・」
と涙ぐんでいた。
海苔の栄養素をわざわざ説明したって、無理矢理奴らの口に咥えさせたって、美味しい海苔の素晴らしさは解るまい!と、私は黙っていたのだが・・・

10年程前、国際交流関係を仕事とするイタリア人の友人が、彼女の自宅でパーティーを開く事となり、私をはじめ多国籍外国人が大勢参加した。
各自、お国自慢の料理を持参して、そのパーティーに参加する事になったので、私は特製のり巻きを持参することにした。
韓国人や中国の人達には大好評で、お世辞だとは思うが
「今までの人生で一番美味しかったのり巻き」と言ってくれた韓国人達も居た。
こんな国際国流関連のパーティーであったので、のり巻きのみならず海苔を初めて見たイタリア人達も、最初は恐る恐る口にしていたが、結局30本ほどのPasserotta特製のり巻きはアッという間に完食したのである。

お調子者の私はこの事に味を占め、イタリア人達の食べ物持ち寄りパーティーにも、特製のり巻きを持参したことが数回ある。

夫の古くからの友人宅でのパーティー。
かんぴょうや高野豆腐入りのオーソドックスなのり巻き然り、イタリア人の彼らの事も考慮し、スモークサーモン入りやツナマヨ入りも作って持って行った。
のり巻きと言うのは、1本そのままでは美しくも何ともないが、輪切りにした様はとても美しい!彼らもその美しさに感嘆し、作り方や材料の説明を求める。
そして、いざ試食という時になった。
すると、ナント!!!
彼らは とてつもなく器用 に、のり巻きの海苔を 剥き始めた のである。

≪オ~イ!それはセロファンではないぞ~~~ォ!≫

私はその海苔が食べ物である事を説明し、のり巻き一つパクッと口に入れた。
まるで、お毒見である。
が、私のお毒見も全く効をなさず、彼らは一切海苔をを口にせず、最後まで器用に 海苔を剥いたのり巻き を食べていたのであった。
(オーソドックスのり巻きは、ほぼ手付かず)
板海苔もわざわざ日本から送った高級品を使用したというのに!

≪数千円が、アッという間にゴミと化す~~~!≫

私はこれに懲り、一生懸命のり巻きを作っても、普通のイタリア人にはお裾分けしない事に決めたのである。


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