ラスタ・パスタのレレ日記

2009年07月11日
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テーマ: 洋楽(3567)

軽快なリズムで、白人や黒人の男性や女性が連続してどんどん変身していくシーンが印象にのこっている人も多いと思う。

曲名とこの映像によって、「人種の違いを越えて」というメッセージがわかりやすい形で伝えられている。何度もそのシーンをMTVなどで見た人も多いと思う。

しかし、このプロモーション・ビデオには、コンプリート版、すなわち完全版という長いバー
ジョンがあって、その完全版の最後のシーンは、当時、かなり物議をかもしていたのだ。


最近、あらためてこの完全版のビデオを観てみた。

ビデオは、アフリカの砂漠と思われる場所で、アフリカの人たちが輪になって踊っているシー
ンからはじまり、民族衣装を着たバリ(?)またはタイ(?)カンボジア(?)の女性ダンサ
ーとマイケルが踊っているシーン、アメリカの先住民(インディアン)とマイケル、コサック

このシーンでのマイケルは実に堂々としていて、体も存在感も大きく見える。


この後、例のいろんな人種の顔が連続して変わっていく映像が出る。
最初は、サモア系(本当は何系かわからない)の男性の顔が変化していき、黒人、白人、イン
ド系、中国系と思われるアジア系、などの男性、女性に顔が変身していく。
これは、モーフィングという技術で、 実在の人間は、最初の男性と最後の黒人女性だけで 、途中であらわれた様々な人種の男女はすべてコンピュータが作り出したものだ、ということに当時は驚いたものだ。

たしかに、このモーフィングのシーンは、ひとの顔だけではなく、首や肩、胸の上部などが一緒に変化していく。おそらく、各人種の男女の典型的な人物の骨格などのデータをあらかじめ入力しておいて、コンピューターで映像を次々に変えていくのだろうと思う。

しかし、たとえば中国系をおもわせるアジア系の女性の顔と肩、鎖骨などの骨格をみると、アジア系にしてはごっつすぎる印象があり、やっぱりデータが作り上げた架空の人物の不自然さを感じる。これは、自分が同じ東アジア系の人間だから気がついたことなのだと思う。

ビデオ・クリップでは、ここで、この人物(最後の黒人女性)の撮影が終わって、スタッフが
お疲れ様、という感じで終わるのだが、完全版では、ここから先に続きがある。

撮影所を抜け出す黒豹がいて、この黒豹がNYのハーレムかサウス・ブロンクスを思い起こさせる雨の降る街かどの路地で、マイケルに変身する。



そのマイケルが、路上にとまっていたクルマに乗っかり、次々に窓ガラスを割り始めるのだ。昔、このビデオを見た時は気がつかなかったのだが、マイケルが次々に割っていくクルマの窓ガラスには、ペインティングで文字が書かれていて、よく読むと、

最初に割った窓からすには、

「ハイル・ヒットラー」 と書いてある。ナチスのかぎ十字のマークも見える。

次にたたき割った窓ガラスには

「Nigger Go Home」 と書いてある。



次にたたき割ったガラスには

「No More Wet Backs」 と書いてある。

Wet Backsとは、背中が濡れている人、すなわち、アメリカの国境沿いの川を渡ってきた(不法)移民の メキシコ人 の蔑称である。これ以上、メキシコ野郎を入国させるな。メキシコ野郎なんかいらねえ、という意味だろう。ご存じのように、その当時からアメリカは、不法・合法を問わず、メキシコや中南米からの移民がいなければ社会・経済が立ちいかない国になっている。

さらに、マイケルがハンマーのようなものを投げつけた建物の窓ガラスには

「KKK」 の三文字が。

KKKとは、ご存じのように、白人至上主義者の団体で、白い頭巾をかぶり全身白装束となって、過去、なんども黒人を惨殺してきた集団である。しかも、現在でもこの集団が存在しているというのだから驚く。

すなわち、マイケルが次々に叩き割ったガラスは、

ユダヤ人の大量虐殺をおこなったナチス、
アメリカの黒人差別やメキシコ人(ヒスパニック系といかえてもいい)差別
白人至上主義者たちの有色人弾圧や殺戮

などに対して、すべてNOをたたきつけたメッセージだったのだ。

一聴して、楽しいPopソングで、ビデオを観れば、モーフィングをつかったあらゆる人種の融和を、エンターテイメントとして楽しく見せていた「Black and White」は、そのバックグランドに、とてもシリアスな問題意識、あらゆる人種差別にたいする NOの強いメッセージ が隠されていたことになる。

アメリカでは、おそらく、いらぬ人種間の対立意識をあおるのではないか、という意見が出て物議をかもしたのだとおもうが、アメリカの歴史、現在の社会の実態をみてみれば、そのメッセージをやわらかなオブラートに包んで、雰囲気としての「人種間の融和」を伝えるよりも、 しごくまっとうな主張であって 、どこに問題があるのか、と私は思ってしまう。

さて、踊りまくって、あばれてガラスをたたき破りまくったマイケルは、また黒豹に変身して
NYの路地を去って行って、ビデオは終わる。

マイケル・ジャクソンのやわらかなメッセージ、Popソングと極めて質の高いエンターテイメ
ント性の裏側には、憎悪とまではいかなくとも、 アメリカ社会の不条理、世界の不条理についてのきわめて強い「反対の意」があったのだということは 、知っておいたほうがいいかもしれない。

いずれにしても、この「Black and White」の完全版ビデオ・クリップはマル必のビデオ、未観のひとには、ぜひ見てもらいたいと思う。

この完全版が見られるのは、マイケル・ジャクソンの

「ビデオ・グレイテスト・ヒッツ~ヒストリー」だ。
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{Black and White」以外でも、ロングバージョンがおさめられているものが多く
「Bad」 では、、夏休みかなにかで、白人ばかりの寄宿制の高校から中距離列車に乗ってNYのグランド・セントラル駅についたマイケルが、NYの地下鉄に乗り換えてスラム街の家に帰ってくるシーンではじまる。

そこで、昔の仲間たちがワルぶってたかりやひったくりするのをやめさせようと、マイケルが
本当のワル(Bad)とは、こういうもんなんだ、と有名なNYの地下鉄駅構内(実際にはLAのスタジオで本物そっくりに再現した)での群舞がはじまる。

エディー・マーフィー がビデオ出演し、まるでエディの出演作、アフリカの某国王の王子がNYのクイーンズに行く映画 「星の王子ニューヨークへ行く」 の設定を彷彿させる 「Remember The Time」

などのほか、定番の
スリラー(ロングバージョンではない)
ビリー・ジーン
Beat It

「オフ・ザ・ウォール」からもっとR&B/ダンス色の濃い
Rock with You
Don't Stop Til You Get Enough
(この辺の曲は、ディスコでよく踊っていた記憶がある。クラブではなくディスコで)

が入っているDVDだ。

マイケルの歌と映像を永遠に脳裏に焼き付けるためにも、
もう二度と観られない、彼のパーフォーマンスを何度でも味わうためにも、

一家に一枚、持っていてもいいDVDではないかと思う。
マイケルの存在が永遠に僕たちのものになるためにも。。






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最終更新日  2009年07月26日 08時39分25秒
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