全16件 (16件中 1-16件目)
1
![]()
【本日の一冊】嗤う闇このほど晴れて巡査部長に昇進、それに伴って警視庁第三機動捜査隊から隅田川東署に異動した、ご存知・女刑事・音道貴子。バツイチ、34歳、ステディあり。新天地の下町で、個性派の同僚たちに揉まれながら四つの奇妙な事件に挑む、超人気短編シリーズ第三弾。【目次】その夜の二人/残りの春/木綿の部屋/嗤う闇 この【音道貴子シリーズ】は長編・短編ともに好き本書もおもしろかったです。長編の方もシリーズ第三弾が出ていたんですね~。『風の墓碑銘(エピタフ)』そのうち読んでみようと思っています。 ブック○フに並んだら(笑)★音道貴子シリーズ・長編 ★音道貴子シリーズ・短編集
2007年02月28日
コメント(2)
![]()
【本日の一冊】沖で待つ「おまえさ、秘密ある?」住宅設備機器メーカーに入社して福岡支社に配属された同期の太っちゃんと女性総合職の私。深い信頼と友情が育っていく。そして太っちゃんの死。太っちゃんとの約束を果たすべく彼の部屋にしのびこむ。選考委員会で高い評価を得た第134回芥川賞受賞作。他1篇併録。先日読んだ『逃亡くそたわけ』がよかったので、こちらも読んでみました。表題作もいいけれど、併録の「勤労感謝の日」もおもしろかった。が、しかし… ちょっと期待が大きすぎたのかも、という気もしないでもない。(どっちだ?)おもしろかったのだけれども。私としては『逃亡くそたわけ』の方が好き。
2007年02月27日
コメント(2)
![]()
【本日の一冊】押入れのちよ「今ならこの格安物件、かわいい14 歳の女の子がついてきます。ただし、明治生まれの幽霊……」これじゃあ、付いてくるというより、憑いてくる! 愛らしく不憫な少女と失業中のサラリーマンの共同生活。先月映画公開された『明日の記憶』でも話題になった著者の9夜の物語。怖さの中に、可笑しさや切なさが織り交ぜられている短編集。どのお話もひねりがあり、楽しめました。
2007年02月24日
コメント(2)
![]()
【本日の一冊】海峡の光人生いたるところ海峡あり。渡るも人生なら、渡らぬも人生。そしてお前は……?廃航せまる青函連絡船の客室係を辞め、函館で刑務所看守の職を得た私の前に、あいつは現れた。少年の日、優等生の仮面の下で、残酷に私を苦しめ続けたあいつが。傷害罪で銀行員の将来を棒にふった受刑者となって。そして今、監視する私と監視されるあいつは、船舶訓練の実習に出るところだ。光を食べて黒々とうねる、生命体のような海へ……。海峡に揺らめく人生の暗流。芥川賞受賞。辻さんの作品はこんな感じ、という勝手な思い込みイメージがあって最近はもういいかぁ~、と手にすることもなかったのですが、リンク先の さとうみみ さんの感想を読んで気になって購入してみました(^^)今まで読んだ辻作品の中で一番いいかも! と思える一冊でした。どういいかというと… 一言でいうなら、「深い」ですね。決して長くない小説ですが、書かれていない部分が非常に巧みだと思います。いかに行間を読むか、によって作品の捉え方も変わることでしょう。
2007年02月22日
コメント(2)
![]()
【本日の一冊】逃亡くそたわけ21歳の夏は一度しか来ない。あたしは逃げ出すことにした。軽い気持ちの自殺未遂がばれて、入院させられた病院から。逃げるのに思いつきで顔見知りを誘った。24歳の茶髪で気弱な会社員。すぐに「帰ろう」と主張する彼を脅してすかして車を出させた。東へ。そして南へ。おんぼろ車で九州の田舎町を駆け抜けるふたりの前にひろがった暑い夏の物語。 初めて絲山さんを読みました。おもしろかった!「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」が頭から離れませんわ(笑)病院を脱走して、無免許運転をして、盗みもして、食い逃げもする…とまあ、決して軽い内容ではないのだけれど、テンポよく語られていて重くない。逃亡者ふたりが憎めないキャラで、方言がまたいいです。これって、映像化したらおもしろいかも。他の作品も読みたくなりました(^^)
2007年02月21日
コメント(2)
![]()
【本日の一冊】幸福な遊戯 ←文庫版ハルオと立人とわたし。男女3人の共同生活は、どこか奇妙でヘンに家庭っぽい…。あらかじめ壊れたところから営む現代の最も新しい人間関係を鋭く捉えた大型新人デビュー作。第9回「海燕」新人文学賞受賞作。 【目次】幸福な遊戯/無愁天使/銭湯 角田さんのデビュー作というので読んでみました。表題作「幸福な遊戯」は、擬似家族によって自らの家族欲を満たそうとする主人公サトコの不安定な心情がうまく表現されていると思います。そして、平和な家庭を「現実に」つくりあげている姉との対比や、大阪あいりん地区の光景、浮浪者風の男たちの会話など、巧みに挿入されているなぁと感じました。やっぱりデビュー作からして違うんだな、と思いながら読み進めていったのですが、「無愁天使」は、あれ~?っていう感じですね(^^;)それに比べればまだ「銭湯」の方がいいけれど・・・ 好みの問題かもしれませんが、「いいな」と思ったのは表題作のみというのが正直なところです。
2007年02月18日
コメント(2)
![]()
【本日の一冊】冥途意識と無意識のあわいに立ちのぼる奇妙な風景。無気味なようで、可笑しいようで、心もとないようで。曖昧な夢の世界を精緻な言葉で描く、表題作をはじめ「旅順入城式」など特異な百〓の小説33篇。 【目次】冥途/山東京伝/花火/件/道連/豹/尽頭子/流木/柳藻/白子/短夜/蜥蜴/梟林記/大宴会/波頭/残照/旅順入城式/大尉殺し/遣唐使/鯉/流渦/水鳥/山高帽子/遊就館/昇天/笑顔 「昇天」補遺/蘭陵王入陣曲/夕立鰻/鶴/北溟/虎/棗の木/青炎抄 川上弘美さんが著書『あるようなないような』で、「この三冊」と紹介した<幻想譚>の一つ。読んでみたら、これがおもしろい!川上さんの不思議ばなしが好きな方には特におすすめ。ちなみに「この三冊」の他2冊、『怪しい来客簿』『田紳有楽』も手元にあるのでちびちびと楽しみながら読んでみようと思います。
2007年02月17日
コメント(4)
![]()
【本日の一冊】永遠の途中どうしてもっと、自分の生き方に自信を持って来なかったのだろう。あなたのつぶやきは、誰に届くの?「結婚して家庭にはいる」か「仕事に生きる」かという対照的な選択をした女性ふたりの27歳から60歳までが描かれています。自分と違う道を生きる者に対する嫉妬や羨望、同情や優越感といった感情が巧く表現されていると思います。これを読んで人生振り返ってしまう人も少なからずいらっしゃるのでは(笑)「もし、あの時ああしてたらって、自分のもうひとつの人生を勝手に想像して、それに嫉妬してしまうのね。何だか、いつも生きてない方の人生に負けたような気になっていたの。そんなもの、どこにもないのに、人生はひとつしか生きられないのに」 (本文より)隣の芝生は青く見えちゃうんでしょうね~。でも所詮、隣のもの。自分の芝生を大事にしないと、ですよね。まして選ばなかった人生は、幻でしかないのですから。余談ですが、本書の「郁夫」みたいな男はいただけませんな(--;)
2007年02月16日
コメント(0)
![]()
【本日の一冊】古川1960年代初頭、下町を流れる「古川」のほとりで繰り広げられる、恐ろしくも哀切な妖かしの物語。第8回日本ホラー小説大賞短編賞。【目次】古川/冥い沼 本の帯に ≪ノスタルジックな、「癒し系」ホラー小説の登場≫ とあったので朱川湊人さんのような作品かと思って読んでみました。(が・・・)たしかに「恐ろしくも哀切な」物語ですが、ホラー色がやや強いので「癒し系」と言えるかどうかは…読み手の感じ方でしょうね。この作家さんの長編を読んでみたいなぁ~。
2007年02月12日
コメント(2)
![]()
【本日の一冊】亀になったおばあさんこの物語は、80歳の祖母と10歳の孫の、愛情豊かな深いきずなを描いている。孫の少女は長い道を通って、毎日のように祖母に会いに行く。でも彼女には腑に落ちないことがある。そこには生き方の違いにかかわる秘密がひそんでいる。やがて、祖母の身体つきが変わり、巨大な亀に変身してしまう。そうすることによって祖母は、老いるどころかかえって若返ってしまったのだ。死と不死をテーマにした哲学的な変身物語である。シルヴァーナ・ガンドルフィ は『むだに過ごしたときの島』で初めて知りました。この作品がよかったので、本書も読んでみましたが、これもいいですね。どちらも児童書でありながら、哲学的テーマを扱い、奥深い。そういう点では、ヨースタイン・ゴルデルの『ソフィーの世界』や『鏡の中、神秘の国ヘ』などと共通していると思います。子どもにも大人にも意味のある一冊でしょう。
2007年02月12日
コメント(2)
![]()
【本日の一冊】ダナエ個展で、唯一の肖像画に硫酸をかけられ、ナイフで切り裂かれてしまった画家を描いた表題作と、広告業界のCM制作を舞台に描いた「まぼろしの虹」と「水母(くらげ)」2篇を収めた作品集。いずれの中編でも、男女の細やかな人間関係と悲哀とが丁寧に描かれている。藤原氏の新刊なので迷わず買いました。表題作「ダナエ」はギリシャ神話の「ダナエ」とレンブラントの「ダナエ」に着想を得た作品。おもしろかった。 ちなみにこれがレンブラントの「ダナエ」本書でも書かれていますが、所蔵先のエルミタージュ美術館で硫酸をかけられた作品です。「ダナエ」を描いた絵画はたくさんありますが、私が一番好きなのはクリムトの作品。 これ。あ、なんか本の感想からずれてしまいましたが(^^;)
2007年02月11日
コメント(0)
![]()
【本日の一冊】ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶彼のぬくもり、耳に残る言葉。それはいまも私を支え、私を不安にする。揺れる想いと過去、喪失と再生を描く彼女達の恋愛小説。 【目次】キャトルセプタンブル/容認できない海に、やがて君は沈む/ドイツイエロー/いつか、マヨール広場で 既刊『九月の四分(よんぶん)の一』が男性の視点で書かれているのと対照的に本書は女性の視点で書かれた短編集です。『九月の~』がよかったので、こちらも文庫化されたら買おうと思っていたのですが図書館にあったので借りてきました。女性の視点で書かれているとはいっても、やっぱり男の人が書いたお話だなぁ、と感じる部分がいくつかありましたがまあ、これはこれなりに楽しめました。本書を読むなら、『九月の~』を先に読むことをおすすめします。
2007年02月07日
コメント(2)
![]()
【本日の一冊】フィッシュストーリー伊坂ワールドの名脇役たちが遭遇する、「別の日・別の場所」での新たな事件。売れないロックバンドが、最後のレコーディングで叫んだ音にならない声が、時空を越えて奇蹟を起こす。伊坂幸太郎の真骨頂とも言える多重の企みに満ちた表題作他、読者人気の特に高い“あの人”が、今度は主役に! デビュー第一短編から最新書き下ろし中編まで、変幻自在の筆致で編んだ伊坂流ホラ話の饗宴。【目次】動物園のエンジン/サクリファイス/フィッシュストーリー/ポテチ 待ちに待った伊坂氏の新刊本。“あの人”が主役って、誰よ?? とわくわくして読みましたが、納得! “あの人”ね。例によって、本書も他作品とリンクしていますので他作品を読んでいる方が、背景が広がって楽しめます。が、記憶力が著しく乏しい私が、どれだけ既出の人物やエピソードをつなぐことができたのかはわかりませんが…(^^;)楽しめました
2007年02月06日
コメント(8)
![]()
【本日の一冊】椰子・椰子しみじみシュールで、ほのぼのポップ。時空が静かにゆがみ、ヘンなモノたちが息づく日々。川上弘美と山口マオがいざなう、ドライで可憐で不気味で切ない「椰子椰子な世界」へようこそ。先日図書館で出会って、おもしろかったので借りてきた一冊。日記形式のお話の中に四季ごとの挿話が各一編… いや、そうじゃないかな。4つのお話とその季節の日記で構成されている、といった方がいいかも。まあ、短いお話ですから気になる方は本屋さんで立ち読みでもしてみてください(笑)巻末に川上さんと山口さんの対談(「あとがきのような対談」)が載っていますが、これもまたおもしろいです。川上ファンにはおすすめ! 「謎日記」です
2007年02月04日
コメント(0)
![]()
【本日の一冊】町長選挙都下の離れ小島に赴任した精神科医の伊良部。島は折から町長選挙のまっただ中で、伊良部も「物事、死人が出なきゃ成功なのだ」というほどの、島を二分する争いに巻き込まれてしまう。直木賞受賞作『空中ブランコ』から2 年、あのトンデモ精神科医・伊良部が引きこもりに!? 【目次】オーナー/アンポンマン/カリスマ稼業/町長選挙 伊良部シリーズ第3弾ということで、期待して読んだのですが前作に及ばず。というか、趣がちょっと異なっているようないないような・・・表題作以外は「時の人」をネタにしているのが影響してか、伊良部先生の面白さがいまひとつ、であったけれども、笑えます。ぶふふっ!って笑っておしまい。
2007年02月03日
コメント(0)
![]()
【本日の一冊】家守綺譚たとえばたとえば。サルスベリの木に惚れられたり。床の間の掛軸から亡友の訪問を受けたり。飼い犬は河瞳と懇意になったり。白木蓮がタツノオトシゴを孕んだり。庭のはずれにマリア様がお出ましになったり。散りぎわの桜が暇乞いに来たり。と、いった次第の本書は、四季おりおりの天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。いやあ、おもしろい!梨木さんの作品を読むのは『西の魔女が死んだ』に続き、まだ2冊目ですが、やられました(笑)『西の魔女~』も良かったけれど、本書は、何と言っていいのか…触れてくるところが違う、という感じですね。《それは ついこのあいだ、ほんの百年すこし前の物語》 という時代設定の中、森羅万象を和の心でとらえ表現した文章に、郷愁を覚えるのは私だけではないでしょう。手元に置いて読み返すこと間違いなし、です。
2007年02月02日
コメント(2)
全16件 (16件中 1-16件目)
1

![]()
