ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jan 19, 2006
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「合言葉はカノニック」

 この曲、全四楽章それぞれに濃いので、気を抜く楽章が真ん中に欲しいところです。

 第三楽章: フラット満載の16分音符攻撃さえクリアすれば、弾けなくもない楽章。しかも充分に陶酔できます。濃くておすすめのレシタティーボ。
 第四楽章: 一転、弾きこなすのは至難の業ですが、ピアノとの掛け合いを楽しむもよし、音色や曲想を究めるのもよし、フランクのソナタと言えばこの楽章でしょう。この曲を通じて覚えた音楽用語は、カノニック canonic。カノン形とか循環形という意味で、ピアノのセスが盛んに連発していました。鈍感なワタシは、どこがどうカノニックなのか弾きながら把握する余裕はありませんでしたけど、名曲と呼ばれる曲は、そういう見地から見ても他の作品とはひと味もふた味も異なっているのでしょう。
 ただ、この曲で唯一気に入らないところがあるとすれば、それは一番最後。盛り上がるだけ盛り上がってきて、いきなり高音域のA(ラ)にひょいっと跳躍するとこがあるのです。そして、4オクターブ下のA(G線)で着地して終わり。このアクロバティックな終わり方は、それはそれはかっこよいのですが、あの一番上のAが僕にはなかなか当てることができません。プロの方でも、やっぱりああゆう箇所はイヤなものなのでしょうか? それとも、ここぞとばかり、ピシッと当ててピリリとビブラートかけちゃったりするのでしょうかね。
 余談ですけど、去年ロンドンで所属してたオーケストラで、チェリストをお招きしてシューマンの協奏曲を弾いたのですが、あの曲も、最後の最後にかなり高い音がソロのパートにあって、ソロの方、運悪く本番で音を外されてました。バックでがちゃがちゃ弾いてた僕たちにもハッキリわかるぐらいで、あれは彼も相当悔しかったと思います。でも今思うと、後ろで弾く我々が頼りなかったから、彼に余計な不安感とか邪念をもたらしてしまったのかもしれません。そーだったらごめんなさい。





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最終更新日  Jan 25, 2006 12:11:41 PM
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