前半に三曲、後半二曲という盛りだくさんのプログラム。一曲めは、モーツァルトのソナタK302 in G(なお、この日は彼の250回めの誕生日)。続いて、最近よく演奏会で耳にするルーマニア人作曲家クルタークKurtagの曲。前半の最後はシューマンのソナタ in a。 音響がいまいちのホールなので(フィラデルフィア美術館)、音に立体感が感じられなかった(楽器はストラディヴァリらしいのに)。が、シューマンになると、ホールのデッドな響きをものともせず、かなり情熱的な演奏を聴かせてくれた。楽章の間にも拍手喝采で、逆に言えば、観客も最初の二曲に充分に感情移入できてなかったのだと思う。 このシューマン、イ短調というからてっきり1番のソナタOp105をお弾きになるのかと思ってたら、FAEソナタのほうだった。フィナーレの最後、こんな超絶技巧をシューマンが書いてたことに驚いた。