ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Mar 17, 2006
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「二分音符の向こう側」

 今日は、四月末にお招きいただいている某パーティーでの演奏に備え、クラリネット五重奏の練習をしました。当初は弦楽五重奏団として出演する予定でしたが、結局クラリネットのシャーマン氏も加え、六人でいろんな組み合わせで弾くことにしました。クラ五の編成ではモーツァルトの1楽章と3楽章のみを演奏することに決定。弦はいつものメンバーで、バイオリンが僕とN氏、ビオラがジェーン、チェロはケーティ。

 今日は、1楽章の随所に隠されているシンコペーションのところを、「あーでもないこーでもない」と重点的に練習しました。五人のうちのひとりだけが小節をまたいでタイでつながってる音符を弾くという箇所がいくつかあるのですが、全然目立たないけど面白い音型だということになって、もっと意識しようとの結論になりました。

 第一バイオリンを弾く僕といたしましては、この楽章の一番の難所は、なんといっても冒頭の二小節だと思います。二拍子だか四拍子だか判断しにくい単なる二分音符の羅列を、指揮者なしでビシッと合わせるのはやっぱり大変。
 何かが起こることを暗示する不思議な二分音符。バイオリンの二人は下降音型なのに、ビオラとチェロは上昇形。だから、スコアを見るとデッカイ「>」の記号みたい。世界が広がっていく感じなのではなく、小さい入り口に向かって狭くなっていくようです。そしてその入り口の向こうにはクラリネット独特のワンダーランドが展開されてるのですが、だからこそ、この冒頭の二分音符はほんとに一糸乱れず合わせないといけない。ファーストの僕がどういう合図を出せばみんなの音が揃うのかわからず、その重責に苦しんでます。しかも p(ピアノ)って書いてるし!

 何度も遊びで練習してきた曲ですが、人前で弾くとなると話は別です。よく考えてみると、オーケストラならともかく、少人数でヒトサマの前で弾かせていただくなんて久しぶり。これから本番までのあいだ猛練習するしかありません。いまさら後には引けないし……。逃げ腰になってるわけではありませんが、粗相は許されません。どうやら金持ちの集う怪しいパーティーらしいのです。

 僕が東京に住んでた頃よく一緒に演奏させていただいてた友だちが、偶然にもこの曲を今度演奏会で弾くそうです( アンサンブル・アルぺージュ )。いざとなったら彼らをアメリカに召集して、身代わりになっていただくという奥のテも考えてます。





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最終更新日  Mar 19, 2006 09:12:33 AM
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