ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Dec 5, 2006
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「消えたアダージョ」

 今日の練習では、最後にベートーベンのカルテットを弾いた。(第1バイオリン:マリリー、第2:ソニア、ビオラ:僕、チェロ:マーディ)

ベートーベン大先生のハ短調 というだけあって、思わず背筋を伸ばしてしまう。
 彼のカルテット十数曲のうち、我々アマチュアの演奏家のあいだではこの曲が最も好まれていると思う。しかし、こういう曲こそ、アマチュアの限界を痛いほど感じさせられてしまうのは皮肉。

1楽章: 万人に堂々と愛されるべき名曲。単純な4拍子かと思ってはいけない。各所に罠が仕掛けられている。なにより弓づかいが難しい!

2楽章: セカンドが目立てる絶好のスケルツォ。走ってしまった人は負け。っていうか、自分との闘い。

3楽章: メヌエット。この楽章は音色や音量バランスが全てだと感じた(特にトリオの部分)。

4楽章: ファーストがかなり難しいものの、挑戦する価値は絶対あり。何かにグイグイ押されながら、もうどうにも止まらない感じがいい!
ベートーベンのカルテット3番(作品18-3 )の終わり方と混同しがち。こちら4番は堂々とフォルティシモで終わる。あちら(3番)はピアニッシモで密やかに。

 スケルツォ楽章とメヌエット楽章の両方があるなんて、変な曲だと思うし、ちょっとしつこい。緩徐楽章(アダージョやラルゴ)のないソナタ形式のベートーベンって、すごく珍しいんでないかと思う……、たぶん。
 あの、 遅すぎて重苦しい ベートーベン風アダージョの悪夢にうなされる必要がないという意味では歓迎すべきか。でも、やっぱりどこか寂しい。





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最終更新日  Dec 11, 2006 12:56:25 PM
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