ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

May 20, 2007
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「アーモール川のさざ波」

 今日は、某プロオケを退職したばかりのチェリスト、ボブさんと一緒に弾かせていただく機会に恵まれた。首席だかフォアシュピーラーだかを務めたほどのお方なのに、こうやって気軽にアマチュアの僕らとボランティア的に付き合ってくれる初老の紳士。ピアノのセス氏が彼を口説き落とし、ついにチャイコのトリオを弾くことになった。

 この曲は良くも悪くもチャイコ的。今日はエレジー系の1楽章しか練習しなかったから結論を出すのは早すぎるけど、ちょっと冗長すぎ。せっかくの美しいメロディーも、あまりに何度も繰り返されると散漫に聞こえてしまう。そこがチャイコの難しさであり、魅力でもある。

 もちろん、弾いてるぶんにはすごく楽しい。ロシア民謡風のクセのあるメロディーも炸裂。随所に仕掛けられてる難所を、うまく弾きこなすなり ごまかすなり しながら、なんとか波に乗ってしまえばこっちのもん。一応は漂い続けることは可能。

 しかもイ短調(a moll)だし、バイオリンにとっては弾きやすいほうかもしれない。A線やE線の開放弦やフラジオも鳴らしまくり。

 途中、Adagio con duolo という指定が出てくる。初めて見る単語だったが、どうやら、故人(ルービンシュタイン)を偲び、感情的な痛みを表現するところらしい。



 自分がこの曲と出会って十数年、何度か挑戦しては諦めてしまった因縁の曲だけど、今日こうやって、すばらしいチェリストやピアニストと練習できたのは一生の思い出になると思う。

 だけど、正直言うと、曲の密度という観点からは、例えば メンデルスゾーンのトリオ1番 などには及ばないかも。

 ぶっちゃけた話、チャイコフスキーってどうしても好きになれない。
 自分が弾けないような曲ばかり書くから、というヒガミもあるし。





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最終更新日  May 22, 2007 09:52:40 AM
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