ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jun 1, 2007
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「神経衰弱ぎりぎりの男女たち」

 ブラームスのカルテットって、たぶん彼の室内楽のなかで最も難しい。音程やリズムもトリッキーだし、特にバランス感覚に細心の注意が必要。たった四人で弾くには無理めなことばかり要求されるし。
 同じブラームスでも、ピアノや管が入ってる室内楽曲のほうがずっと楽しいように思う。

 しかも、この2番は三曲ある彼のカルテットのなかでも難曲中の難曲。
 今日の練習も、僕ら四人の感性とか技術とか音楽の方向とかが噛み合わず、一触即発のピリピリした雰囲気になってしまった。(第1バイオリン:マックス、第2:マリリー、ビオラ:僕、チェロ:メルセデス。)

 何度も止まりながら、討論したり、スコアを見たり、人数を減らして弾いてみたり。
 イライラして他のパートを中傷する人もいれば、泣きそうになってる人もいて大苦戦……。
 曲が理解できない悔しさに、僕も思わずキれそうになったけど、ここはひとつ、冷静に知的に闘うしかない。

*****

1楽章 異端児ちゃん 役、すごく緊張する。
 途中で何度か出てくる16分音符もまたクセモノ。曲がぐっと引き締まる瞬間。

2楽章 : 優美な長調の響きにはホッとしたいとこだけどやはり胃が痛くなる。重い。ビオラとチェロがユニゾンで重なる出だしからして重すぎ。

3楽章 : 「なんちゃってメヌエット Quasi Minuette」。途中で快活な二拍子になるとこが良い。迷路の中をさまよってる感じのこの曲のなかで、数少ないオアシス的な場所。

4楽章 : ひたすら数えまくるしかない。この楽章に限らず、通常の五感の使い方とは異なるアプローチが必要。右耳で旋律を聞き、左耳で伴奏を聞くというようなワザは当然ながら、むしろ、右隣の人の音を聞きながら、左隣の人の音を完全に無視する能力が求められる。

*****

 あー、疲れた……。みんな既に目の下にクマが出来てるし。

 とか言いつつ、この曲、はっきり言ってビオラが超おいしい。ソロのメロディーが多いだけじゃなく、セカンドと組んだりチェロと組んだりするときも渋くて味がある。
 世のビオラ弾きは、普通ブラームスのカルテットといえば3番を崇拝する傾向にあるけど、この曲も負けてない。

 今日は自分はいわゆる代弾きだったので次回の練習には参加しないけれど、是非とも機会を見つけて再挑戦(リベンジ)してみたい。





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最終更新日  Jun 6, 2007 08:41:22 AM
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