ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Apr 5, 2009
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カテゴリ: 映画、テレビ
「理由ある反抗」

 すんごい映画を観てしまった。 Hunger(飢え、渇望)という作品 。日本では去年の東京映画祭で上映された。
 目を覆いたくなるような酷い映像が次から次へと出てくる。耐え切れずに映画館を退出する客もいた。

 1981年、サッチャー政権時代の北アイルランドを舞台に、刑務所に収容されたIRA暫定派の若者らが必死に抵抗を試みるさまを生々しく描く。
 与えられた囚人服を着るのを拒否したり、自分の排泄物で壁や床を汚したり!

 囚人の反乱は過激化し、しまいには飲食をも拒んでハンガーストライキに入る者も出てくる。主人公ボビー・サンズは、何も食べずに痩せ細っていき、餓死による自殺という手段で当局へ自分の信念を知らしめようとした。

 そこまでして抵抗する理由が、我々部外者にはなかなか理解できないのだけれど、彼らとしては、単なる犯罪者としてではなく「政治犯」として扱われたいというプライドがある。

 一方、そんな囚人たちに対し、殴る蹴るなど暴行を加えて抑えようとする看守や機動隊員たち。


 この映画を撮ったスティーブ・マックィーン監督(俳優マックィーンと同姓同名)、注目しとこうと思った。残酷な話を、皮肉なまでに美しい映像で撮る。静かに雪の舞う銀世界。真っ赤な血。餓死寸前の囚人の目から静かに流れる涙のしずく。

 ほとんど台詞のない淡々とした映画なのに、一箇所だけ台詞満載の箇所があった。主人公ボビーが、面会に訪ねてきた司祭と語り合うこの場面、なんと、15分から20分ぐらいカメラを切り替えずに一つのカットで撮影されている。これ、たぶん映画史に残る名場面!
 そしてこの会話により、なぜボビーがストライキを敢行しなきゃいけないのかが説明される。

*****

 この映画、もう一度観る勇気はないけど、目を背けずに最後まで観られたことを我ながら誇りに思う。そして、北アイルランド紛争の背景とかについても調べてみたくなった。
 まず手始めに、昔観た「父の祈りを In the Name of The Father」(1993年イギリス)という映画を再度観てみようと思った。





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最終更新日  Apr 8, 2009 08:34:01 PM
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