ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Oct 3, 2009
XML
tosca1.jpgtosca2.jpg

 久しぶりに生でオペラを観た。悲劇「トスカ」。
 お上品に着飾った紳士淑女の富豪さまがたを横目に、えっちらおっちら階段を登り、息を切らしながら最上階にご登頂。最後尾、庶民用天井桟敷(15ドル)。なかなかいい眺め。




  歌姫トスカ: Karita Mattila
  画家マリオ・カバラドッシ: Marcelo Álvarez
  警視総監スカルピア: George Gagnidze



 このオペラ、登場人物が少ないので、話の展開がわかりやすくて助かる。ま、お約束どおり、どうせ最後にはみんな死んでしまうわけで、ただ、構成とか人間描写にちょっといちゃもんつけたくなる。

 例えば、冒頭で大活躍する脱獄囚のお兄ちゃん(テノール)のキャラがどうしても許せない。親友の画家とその恋人トスカの人生をめちゃくちゃに振り回しておいて、ご自分は2幕であっさり自殺。
 自殺するならするで仕方ないけど、もっと責任持って死んでほしい。ちゃんと立派にアリアを歌い遂げてから壮絶に死ぬとか。
 2幕で彼の出番があるわけでなし、警察官が上司に報告するセリフ、「奴は自殺しました」の一言で片付けられている。そんだけ?

 主役トスカ嬢にもいろいろと言いたい。
 彼女ってば、「どーせあたしは金髪でも青い目でもないしぃー」などと歌い放つ。金髪碧眼を美人の条件と勝手に決め付け、開き直るその態度が気に入らない。男がせっせと「茶色い髪の君が好きだ」って何度も言ってるというのに。

 僕は心の中で「オレって、こーゆーオンナ苦手なんだよなー」などとつぶやいたのであった。

 ま、2幕や3幕と観続けてたら、けっこう惚れてきちゃったりもして、彼女の魅力に気づいたときには既に遅し。

 肝心の演技や演奏については、皆さんさすがに素晴らしかった。
 「妙なる調和」、「歌に生き、恋に生き」、「星は光りぬ」などの名アリアはどれもが熱演で拍手が鳴り止まず。

 特にテノールの「星は光りぬ」。絶唱するのではなく、わりと淡々をつぶやくような感じで、処刑を目前とした男の心境がうまく描かれてた。例の「誰も寝てはならぬ」を越える名曲ではないかと。

 演出については、2幕の宮殿の場面の舞台装飾が現代風すぎて、1幕と3幕の中世風のそれとの違いに多少戸惑った。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  Oct 6, 2009 11:27:47 AM
コメント(3) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ピカルディの三度TH

ピカルディの三度TH


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: