英国駐妻記録の番外編

* ☆救急車騒動

それは突然の出来事だった。

主人は日本に出張、子供たちは寮生活・・・
私はひとりでお出かけてんこもりの毎日だった。
その頃始めたばかりの水泳にはまり、毎日泳がないと落ち着かない・・・ ほとんど、病気!状態。

その日も朝からせっせと水泳をすませ、その足で友人宅へ。
コーヒーを三杯ほどごちそうになり、ショッピングセンターに向った。

お買い物途中に、
あれ?耳の後ろで「プチっ!」と小さな音がしたと思ったら、頭がくらくらし始めた。
やばい!高校の時よく駅で倒れた、あの貧血だ!
あ~このとき、なんで、ショッピングカートをほっぽりだして、
さっさと車に戻らなかったのだろうか・・・一生の不覚

ぼお~とレジに並んでいると、いつものようにすごく混んでいるにもかかわらず、
お客さんとレジのおばさんの無駄話が続いている・・・。
いらいらしながら、自分の籠のものをレジのまえに並べてしまった・・・ もう、あとにはひけない。
しまったなぁ~。
待っている間にもどんどん顔が冷たくなって、
動悸も機関銃のようにひどくなって・・・おお~吐き気さえも。
どうにも立っていられなくなって、レジ前のいすにくずれ座った。

日本だと貧血になったとき、横にならせてくれますよねぇ。
少なくとも、わたしがよく倒れていた頃は、簡単に休憩させてくれました。
心配をしてくれる救護係りのおばちゃんに
「横になればすぐに治るから、横にならせて欲しい」と頼んだけれど、
「ごめんなさい。そういう場所はないのよ。」と言われた。
強盗や盗人が多いから、むやみに控え室のようなところには入れてくれないのだろう。

それはわかるけど・・・

で、即!救急車!

うっそぉ~救急車ぁ~?

貧血だけで、救急車ぁ~?

症状の軽い人用の救急車らしくて、若い女の人が二人だけ乗った、
ちいさくてかわいい救急車だった。それにしても・・・救急車・・・

そこで、血圧、脈拍、血糖値を検査して、結果、すべて常識の範囲の数値だった。
そしたら、救急車のおねえさん、

「どうする?自分で家に帰る?それともこのまま救急病院まで乗ってく?」って。

そんな・・・わたしはただ横になりたかっただけで・・・

救急車だなんて、んなおおげさな・・・。
謹んで家に帰るほうを選ばさせていただき・・・無事に釈放となりました。

お友達の家で少しやすませてもらって、そのあと、無事に帰宅!あ~長い一日でした。
救急車がくるということでびびってしまったわたし!
何を考えたか緊急連絡用の会社の人の携帯に電話をしてしまった・・・。
でも、その携帯、留守電になっていて、会社関係者には知られることなく、
この事件はひっそりと終わる事ができた。よかったぁ~(T_T)

もうちょっとで「人騒がせ奥さん第一号!」になるところだった・・・

翌日、お医者さんにいって念のため、
心電図、血液検査をしてもらったけれど、異常はなかった。
この事件を知った友人たちからは

「遊べすぎだ」(決してそんなことは・・・)

「ご主人が留守をいいことに、食事さぼっているんじゃないの?」(なんでばれる?)

と叱られ・・・いい年をして自己管理も出来ない迷惑おばさんに成り下がってしまった・・・

救いがあるとすれば・・・
この件に関して、救急車、医療費・・・全額無料だったということだろうか・・・
イギリスの医療制度上、そういうことになっているらしい。
この医療制度・・・刻々と経済的破綻に向っているらしい
余計なお世話かもしれないけど・・・
いちいち救急車が出向くより、大きなスーパーには医務室をつくったほうが・・・
お金、かからないよ。

機会があれば、ブレアさんに教えてあげたいものだ!
*
*




* ☆穴が入ったら・・・はいりたい

この国にもなまりというものがあって、
わたしたち家庭を預かるものにとって
接することの非常に多い修理屋さんの英語は本当に難しい。

俗にコックニーと呼ばれるなまりなのだが、非常に強烈だ。

最初の家で、洗濯機が壊れたときに来てくれた修理屋さんの英語は全くわからなかった。
それよりもなによりも、来てすぐのことだったので、自分の英語能力の低下に愕然とした。

こ、こ、こんなにわからなくなっていたとは!

そりゃあ、93年にメルボルンより帰国して以来、全く英語とはおつきあいがなかった。
それにしても、こんなにわからないことってあるだろうか。
そのうえ、若い修理のおにいさんは哀れみとも蔑みとも思われる青い目でわたしを見るではないか!
ますます、萎縮してしまったわたしだったが、
彼にあの洗濯機が直せなかったという事実ははっきりわかった。
それから2週間、洗濯機なしの生活だったから・・・

あとでわかったことだが、彼らの英語はコックニーといって、
普通のイギリス人でさえ理解できないこともあるらしい。

なあ~んだ!わたしのせいじゃなかった。と、安心している場合ではなかった。

この国は本当によく物が壊れる。
そのたびに不動産屋さんに連絡し、コックニーの方々の相手をするのはこのわたしじゃないか。
あ~ゆううつ!

それでも月日がたつにつれ、自分のブロークンなイングリッシュと肝っ玉で
今ではコックニーさんとも堂々と張り合い、大事なところだけは押さえられるようになった!

が、慣れた頃にこそ、落とし穴はあるものだ。

こちらの日本語放送JSTVの設置で、これも待ちに待った電気屋さんが来てくれた。
JSTVが設置されるされないということはわたしにとっては死活問題なので、
どうしてもいい加減に聞きすごすことは出来なかった。
にもかかわらず、、このお兄さんのコックニーは今までで最高にひどくて、
何が何やらさっぱりだった。
もう、仕方がない、夫に聞いてもらおうと、彼の携帯にかけた。

誓って言うが、わたしは本当に夫には電話をしない。
仕事の邪魔・・・いやいやそうではない!
なんでも頼って電話をかけてくる奥さんだとまわりの日本人に思われたくない
というただの見栄である。

が、運命とはこういうもの。

わたしの電話を受けた時、彼は会議でしかも発言中だった。
レース関係の仕事をしているので、音量はいつも最大。

「もしもし!パパァ~~~
JSTVのひとが何言ってるかさっぱりわかんないんだけどさぁ」

わたしの声は会議室に響きわたった・・・
うぅぅぅ・・・死んでしまいたい・・・
*
*




* ☆パリドゴール空港にて

パリ、ドゴール空港は観光客でごったがえしていた。

フランスからロンドンに帰るべく、
BA(ブリティッシュエアライン)のカウンターでチェックインのため、
同行者とともに並んでいた。

が、遅々として、前に進まない。全く、列が動いていない。
他のエアラインのカウンターではどんどんチェックインが進んでいっているというのに・・・

ふと前に並んでいる親子連れに目がいった。な、な、なんなんだこの母娘は!
さりげなくカジュアルな格好なのに、つけてるもの、もっているものは、

カルチェにグッチにエルメス、シャネル・・・

さりげなく、こんなものを持ってしまうセンスのよさ。
そして、なぜがスタイルもよい!ブロンドの髪にナイスバディー!

「いったいどこのお金持ちなんだろうね。
すごいなぁ~フランスからイギリスに避暑にでも行くんだね。」と囁きあった。

そんなことをやっている間も列は進まない。いらいらしてきて、自然と声もでかくなる。

「どうなっちゃんてるんだろうね。まあね、BAだから、なんかのトラブルなんだろうけど。」

「それにしても、飛行機飛んじゃうよ。」

すると、お金持ち母がカウンターのところまで行って、
なにか情報を得てきたらしい、と思う間もなく・・・

「やっぱり、コンピューターの故障らしいですよ。」

「ああ、やっぱりそうですか・・・」

って日本語じゃん!それも普通に・・・

それから話がはずみ、どうやら、ご幼少のころに日本に住んでいたことが判明。

「日本のどちらですか?」
「東京です。イントネーションでわかるでしょ。」

お~関東弁と関西弁のイントネーションの違いまで、マスターしてたとは・・・

「実はイギリスに住んでいましたのよ。
下品ななアメリカンイングリッシュとはちょっと違いますでしょ・・・お~っほっほっほ!」

いつか言ってみたいものだ・・・(ーー;)
*
*




* ☆クラフト教室

週に一度、地元のおばちゃんたちが集う成人教室のクラフトに参加している。
この成人教室はローカルのカレッジの管轄で、
パートタイムクラスと呼ばれていて、さまざまなクラスがある。

英語、コンピューター、簿記、フランス語、陶芸、カリグラフィー・・・
結構なんでもあって、面白い。

わたしは、最初、英語のクラスを取ったのだけれど、
これはケンブリッジ英検の受験クラスで、宿題も多く、

わたしの求めるもの・・・
楽で、楽しくて、英語の練習にもなって、好きなこと!・・・
とは大きくかけ離れていた為、一学期でやめた。

このとしになって、したくもないことに固執するのは時間の無駄!
と聞かれてもいないのに、夫にいい訳をだらだら繰り返すおばかなわたし・・
このとき、もうちょっとまじめに踏ん張れば・・・
なんて後悔する事もなく、今、とても居心地の良くふらふらとしている(苦笑

わたしのクラフト教室は「Mixed Craft」と言って、
いろいろな手芸を先生が紹介してくれる。
だいたい2~3週間で一つのものを仕上げる仕組みになっている。
クラスメートはもうベテランさんばかりで、みなさんとてもお上手。

先生が「1」説明すれば「100」分かっちゃう人たちばかり。
週に一度お茶のみに集まっていらっしゃるのでしょう。

わたしともうひとりマーガレットという超若手二人組みはいつも笑い者にされながら、
とてもかわいがってもらっている。

ふたりとも去年の9月に同時入学(一応学校だから)で、すっかりみんなのお荷物。
お互いだらしがなくて、作品も滅多に仕上がらない・・・。
先生の説明だけじゃわからないうえ、後はプリントを見てやっておくように・・・
なんて言われても、わっからないものはわからない。
で、次の週に質問しようと思っても、次のものが始まっているし・・・
お~わたしら、すっかり落ちこぼれ!高校のときの数学を思い出して、気分が 悪い!

今日から夏休みで、その間にキャッチアップしよう!とマーガレットと誓い合って帰ってきた。

                                                                 このクラス、平均年齢、一体いくつなのか・・・見当もつかないくらいに年齢層が高い。

最高年齢者は83歳!

足がちょっと弱っていらっしゃる事をのぞけば、非常にお元気で、
くちも達者、耳も達者!新しいことにもとても真剣に取り組まれる。
もう、尊敬しちゃうおばあちゃま。
いつもステキなお洋服に身を包み、はきはきみんなの笑いを取っておられる。
本当にすてき!

それから、スポーツクラブでも時々顔を合わせるということもあって、
仲良くしてもらっているジョディー。
わたしよりもずっとハードなメニューをピチピチのレオタードをまといながらこなし、
汗だくになったら今度はプール!

とてもパワフルな人でパッチワークもプロ級。優しくて、面倒見がよくて・・・
わたしはわからない事があると、すぐ彼女のところに擦り寄って行って、
なんでも教えてもらっている。
10歳くらいは上だろうと思っていたのですが
なんとわたしより20歳も年上の方でした。
さすがに、びっくり。本当に若く見えるうえに・・・あのパワー・・・。
はぁ~わたしなんか足元にも及ばない。

ここでわたしは非常に若く見られている。

子供たちを寮生活させてえいるという話しはずいぶん前からしていたの だが、
彼女たちはわたしのことをとんでもなく厳しいおかあさんと思っていたらしい。

なぜなら!!!

子供は3,4歳!と思いこんでたんだって。
子供たちが14歳と17歳と判明したら、今度は、すごい「ヤンママ」扱い!
イギリスでは10代で、子供を身ごもってしまう子がとても多くて、
今、社会的問題になっている。わたしもその一人と思われているらしい。
ここで、わたしは、自分の年齢をちゃんと明らかに宣言したほうがいいのか、
聞かれてもいないのにわざわざ言うのも変なのか・・・
数秒考え込んでいるうちに、話題が違うほうに移ってしまった。
そして、わたしも立派に40をすぎたおばさんだということを発表できないまま、
今に至っている。

「ヤンママ」扱いされるよりは、わたしは年齢を発表したい!
だれか、またその話題に持っていってくれぇ~~~
*
*




* ☆天井プロブレム

1週間くらい前から、我が家の洗濯部屋の天井がヤバイ!
ちょうど真上にあるバスルームからの水が漏れ放題に漏れて、
天井に大きなシミができ水滴まで落ちてきた。
もちろん不動産屋さんには、とっくのとうに連絡済!
でも、来ない!思ったとおり、来ない!
いつになったら、連絡が来るんだろう。
頼むから、天井が落ちるまでには見に来て欲しい。

そういえば、我が家は天井運がよくない。
一回目の駐在地、メルボルンでも、天井が落ちた!本当に落ちた!
その時はクーラーの水が貯まって、もう、ぐにゅお~んと天井がしなってきていた。
もちろん、不動産屋さんには、とっくのとうに連絡済!
でも、来なかった!

一週間くらい、放って置かれた。

天井が落っこちて、やっと来てくれた。でも、その時の対応は早かった。
あっという間に修理して、元通り。なんだ!やればできるんじゃん!
だったら、もっと、早くきてください!
下に子供がいて、頭の上に落っこちたら、おおけがだったじゃないですか!
と、言いたかったけど、温厚な性格の上に、悲しいかなの英語力・・・。
悲しくて、悔しくて・・・べえべえ泣きました。
まあ、可愛かったこと!今なら間違いなくブロークンなイングリッシュで、
不動産屋さんと大喧嘩でしょう。

今も鮮やかに思い出すのは、天井とともに、ふらふらふら~と落ちてきた巨大な「はえ」・・

そして、5年後に帰ったわが祖国、日本でも、天井が落ちました。
本当ですよ・・・。信じてもらえないかもしれないけど。
取りあえずの借家・・・でも、新築でした。本当です。
なんの前触れもなく、
子供部屋の天井に張りつけてあったボードががらがらがら・・・と落っこちた!

ちょうど、勉強机の真上!いや、本当だってば。
でも、その時、誰も勉強していなかったから、セーフ!
まあ、確率的にも低いわな。
さあ、今度は日本語だ!文句だ!文句だ!文句をいうよ~~~

「あのぉ~これって、ここで勉強していたら、絶対危なかったですよねぇ~」

「そうだねぇ。よかったねぇ・・・なんともなくて・・・」
「ええ、本当に・・・」

って、あれ~違うよ。そういうことじゃないんだよ。
でも、考えてみたら、そのおじさんのせいでもないし、突然のことだったし・・・

ということで、これで、3回目の天井トラブル!
いつきてくれるんだろう!プラマーさんや~い!
*
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vol.1 vol.2 番外1 番外2





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