『あらしのよるに』観劇報告
2007年9月21日 青山劇場にて
*配役*
メイ:吉野紗香 ガブ:山本芳樹 ギロ:岩崎大 バリー:奥田努 タプ:林勇輔
長老:河内喜一朗 他
*ストーリー*
ある森の奥。あらしのよるに、偶々小屋に居合わせた、ヤギのメイとオオカミのガブ。闇夜、そしてお互い鼻風邪気味で、相手のにおいも分かりません。
何となく世間話をして、お互いに似たところがあると意気投合、後日ピクニックに行く約束を交わしたのでした。
であった二人はびっくり。食べる側と食べられる側だったわけです。それでも二人は友情を深めていきます。お互いの仲間に知られないように、
秘密の友達、として・・・。
ところがある時、メイとガブが仲良く歩いているところを、ヤギのおばさんに見られてしまって、二人は仲間たちから責められます。二人は
どこか遠いところへ、ガブの仲間のオオカミたちが追ってこないところへ、山を越えて行こうと決心します。二人で一緒なら、どんな大変なことも
きっと我慢できるはず。しかし自然の力は強く、吹雪にあった二人は立ち往生。もう耐えられないから、自分を食べて生き延びて欲しいと、
ガブに言うメイ。ガブは吹雪の中を飛び出して、メイが食べられそうな草を一生懸命探しますが、辺りは雪ばかりで草など見当たりません。
そのうちに、裏切り者のガブを追ってボス・ギロに率いられたオオカミの一団が近づいてきました。今まで逃げてばかりだったガブは、初めて
ギロたちに立ち向かいます。すると、大きな地鳴りと共に、大雪崩が起こり、オオカミたちを飲み込んでしまったのでした。
どうにか意識を取り戻したメイは、緑深い森を見つけました。でも、大好きなガブはどこにもいません。フラフラになりながら探すうちに、
記憶を失ったガブを見つけます。メイとの記憶をなくしたガブは、メイをただの獲物としか見ず、今夜の満月を見ながらご馳走にすると舌なめずり。
ショックを受けたメイは泣きながら、あのあらしのよるに、出会ったりしなければ良かったと呟きます。その言葉『あらしのよるに』。ガブの記憶が
少しずつよみがえりました。
今宵は満月。前にガブが、一緒に見ようと言った満月です。二人は森の丘の上で、大きな綺麗な満月を並んで眺めました。
そのうち、力尽きたメイが、ガブの膝の上に倒れこんできます。大好きな友達の死を悼みながら、そのうちゆっくりと、ガブもメイの元へと
旅立つのでした。
*感想*
・・・って言うかね、これって子供向けじゃないんですか?そりゃあ喰うもの喰われるものですから、どうにもこうにもハッピーエンドっつーのは
難しいと思いますけど、しかしガブとメイが死んじゃうラストでいいんですかね?
まあ、そんなカワユイ発想の突っ込みはさておき。
まず、劇場。一言で言うなら『岩場』です。高低差もかなりあるし、階段とかで上り下り(いや、約一名でっかいオオカミ=ギロが最上段から
飛び降りてましたけどね)してました。アンサンブルキャストは、オオカミになったりヤギになったり、時には森の生き物や植物になったして、
これまた隅々まで「プロやなぁ」と感嘆するような出演者の方々でした。
で、ぴよりーぬ的にガン見してたのはガブ。山本芳樹さんです。あ~、芳樹さんのお顔を見るのは6月以来だわ、とか
思いながら。実は歌うお声が素敵なのは承知でしたし、あのオオカミの格好でほんとにワンシーンですけどするするする~っと
踊ってくださったのが超幸せ。あの芳樹さんのバレエと歌にチケット代7千円OK!ってなもんです(マニアックすぎだ)。
なさけな~いオオカミっぷりが可愛くて。
それはそうと、吉野紗香さんは小柄なんですね~!芳樹さんもそれほど大きな方ではないと思うんですけど、彼女と並ぶと
すっごく大きく見える。可愛い声と仕草が、いかにものんきもののメイでよかったです。
後は、意外と踊れるんだよねって言うギロさんとかバリーさん、ちょっと踊りは苦手なのかな~って言う、オオカミ(ジョーくん)な
下井顕太郎さんとか、眼帯してても声とその滑舌のよさで分かった政宗くんとか、そしてそして、『孤児のミューズたち』で
ぴよりーぬをメロメロにしてくださったイザベル林さんの、心配性で人(?ヤギ)が良さそうで、だからこそコミカルなタプっぷりも
可愛かったです。
そういえば、アンサンブルの女性の中に、すっごくキュートな方がいらしたんですよ。でも、プログラムなるものがなくて(元々
販売してないのか、私たちが探せなかったのか)確認できなかったのがちょっと残念です。
ちょっと『ロミオとジュリエット』と『近松心中物語』とかが混じったような、実は切ない物語でした。DVDが出たら、・・・
もしかしたら買っちゃうかも・・・。

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