薫ぢゃんの遊び場所

薫ぢゃんの遊び場所

『願意』








『願意』




 この声を天まで届けようとしても
きっとこの雨音に掻き消されて君まで届かない。


 迷って、立ち止まって、途方に暮れながら空を見上げた。


 誰にも言えない愚痴も、内緒話も・・・全て知っているのは君だけ。
だから、吐き出すことを忘れたように言葉は何も出てこない。


 もう、会えない君がイナイ現実を受け止めるだけで精一杯だった。


 思考と行動がバラバラで・・・・
頭の中で内部分裂を起こしている。

 あれから、どれだけの時間が経過したのさえ・・・・
認識出来てない。



 ただ・・・・

 祈るように、願っている。

 許されるのなら、

 せめて・・・

 もう一度だけ

 君に会いたい。



 何も言えなかった。
突然の別れさえ、きちんとしてない。


 そんな薄情な自分を叱咤して欲しい。

 君の言葉なら、どんなにキツイ事でも素直に聞けるから。



 君の声さえ・・・・
思い出せなくなりつつある、今。

 瞼の裏に焼きつく姿さえ朧気で・・・

 いつか。

 君を忘れそうな自分が存在することを恐れている。


 もう一度、狂えたら・・・・
例え、幻の中でも、もう一度君に出会えるだろうか?


 逃げる術すら・・・

  今は思いつかない。

 どうしたいのかも。

  どうすればいいのかも。

 分からない。




 君がイナイ明日を生きるのに慣れたくない自分が此処にいる。



 時を止める事も出来ないまま。

 上辺だけ、笑みを浮かべ受け流す。
そんな事ばかり上手くなっていく気がする。


 自分の本心が何処にあるのかさえ
・・・忘れてしまったように。



 途方に暮れて、空を見上げて

 届かない声を天に向ける。

 願いは・・・叶わない、幻想。



 せめて・・・・
この雨に混じって、君の為に流した涙だけでも
天に届くだろうか?


 全てに欠落し始めた自分が、君の為だけに泣ける瞬間。


 忘れかけてた感情が動く瞬間かも知れない。






END














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最終更新日:2004年2月2日(月)






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