耳(ミミ)とチャッピの布団

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戒厳令の夜


私がタイ国に住んでいた頃は、政権が変わるたびにクーデターがあって、よく戒厳令が発動されていました。
行った当初はベトナム戦争末期で、東南アジア全体で日本人に対する感情もよくなかった時代でした。
初めて戒厳令を経験した時「これは大変なことになった!生きて日本に帰れるかしら」と心配しましたが、職場のタイ人スタッフは平然としています。
それもそのハズで、当時のタイ国では戒厳令などよくある話。
夜間外出禁止令が出て検問も設けられますが、みんな普通に生活しています。
そんなに厳しくないのです。
それで私も2度目からは、夜間外出禁止令もなんのその、いつも通り飲み歩いてました!
検問にひっかかっても警官に小額のお金を渡せば通行できますし、万一連行されるようなことになっても、これまた警官にお金を渡せば、留置所ではなく冷房のきいた部屋で好きなものを飲み食いできたのです。
第一、外出禁止令が発令されているというのにタクシーは走っているは、飲みや街は営業してるやでお構いなしです。
タイ国は王国で、国王に対する忠誠心は日本人には想像できなほど強い国情です。
例えクーデターがあろうと、王家をないがしろにすることは絶対ありませんので内戦のような物騒な事態は起こらなかったのです。
これくらい王家と国民がうまくバランスしてうまくいっている国家も稀有ではないでしょうか。
おかげで、危なくない「戒厳令の夜」を満喫した青春でした。


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