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2008.09.24
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テーマ: 洋楽(3569)
カテゴリ: 70年代洋楽
「世界一悲しい声の持ち主」 と言われるロバート・ワイアットが結成したマッチング・モウル(そっくりモグラ)のアルバムである。
'45年生まれのワイアットは、イギリスのプログレ/サイケ・ポップ・バンド、 ソフト・マシーン のドラマーでありヴォーカリストだった。
ソフト・マシーンの1stから4thアルバムまで参加したワイアットだったが、音楽性の違いを理由に'70年にグループを脱退(本人いわくクビだったとか)。
その翌年に、元キャラヴァンのデヴィッド・シンクレアやフィル・ミラーと組んで新しく結成したのがマッチング・モウルだった。

1stアルバム『Matching Mole』の発表は'72年。
バンド名は、ソフト・マシーン(Soft Machine)のフランス語読みであるマチンヌ・モル(Machine Molle)をもじったものだとか。
不思議な感触をもつポップ・ソングと緊張感のあるジャズ・ロックが同居した音楽性は、ある意味ソフト・マシーンの音楽をワイアット流に受け継いだものと言える。
カンタベリー・サウンド と呼ぶにふさわしい個性を持っていた。

アルバムの冒頭を飾る「O Calorine」は、ワイアットとデヴィッド・シンクレアの共作による哀しくて美しい一曲。
のちの名唱「Sea Song」や 「Shipbuilding」 (※)にも通じる珠玉のバラード・ナンバーだ。

曲は、ワイアットの弾く メロトロン からはじまる。
淋しげで、どこかほのぼのとした音色。
それを包みこむデヴィッド・シンクレアの優しいピアノがたまらない。
メロディはやや暗めだが、ポップで 耳にスッと入ってくる 分かりやすさだ。
後ろで淡々とリズムを刻む打楽器の音も、なんともいえない。


彼の歌声はくぐもっており、すでに何かを達観しているかのような老成感がある。
同時に、そこにはセンシティヴで 少年の心 を残したような純朴さも感じられる。
「I Love You Still...Caroline」というストレートな一節も胸を打つ、ワイアット印の名唱だ。

この後、もう一枚アルバムを残してマッチング・モウルは一旦解散する。

その直後('73年7月)に起こった転落事故により、ワイアットはなんと 下半身不随 になってしまうのだ。
ドラマーとしての生命を絶たれたどころか、歩くことすらもできなくなった彼は、絶望の淵に立たされながらも曲を書き続けた。
そして'75年、友人達のあたたかいバック・アップを受けて、ワイアットは 車椅子に座ったまま 音楽シーンへの復帰を果たし、現在に至る。
そんな彼の壮絶なミュージシャン人生を思うと、「O Caroline」の歌声がよけい胸に突き刺さる

マッチング・モウルのほか、ワイアットのソロ・アルバムは『Rock Bottom』、『Nothing Can Stop Us』、『Shleep』など 名盤多数
モンキーズの曲をカバーした 「I'm A Believer」 での、はかなげな歌唱も忘れられない。
運命にもめげず、今も歌い続ける孤高の音楽家ワイアット。

つーコトで、「O Caroline」を聴いて彼の世界に触れてみよう。
ここ をクリック。
車椅子の戦士の歌声に泣け!


※ エルヴィス・コステロの作品





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Last updated  2008.09.24 06:43:38
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