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娘とキャリーカート

その娘は不機嫌だった。おむつの取れない２歳を少し過ぎた娘と父親は公園を並んで歩いていた。娘は自分の体より大きいキャリーカートを両手で押していた。すると、それが小さな溝にはまってしまい、キャリーカートは止まり、娘の進路を妨げた。娘はそのまま押し続けるものだから、ちょうど万歳をするような格好になってしまった。それでも娘は怒ったような表情で押し続け、ひょんな拍子にくるっと後ろ向きになり、今度はそのキャリーカートを引っ張ることに成功した。しばらく後ろ向きに歩いていると、反対方向から自転車に乗ったおじさんが通路をふさいでしまう格好になった。そのため父親は娘の背中を止めて、おじさんを先に通そうとした。ところが後ろ向きにキャリーカートを引きながら歩いている娘は、そんな状況とは露知らず、なぜ止められるのかわからずに、不機嫌そうな顔をして意地になって進もうとしていた。必死に娘の背中を止めようとする父と、なんとしても後ろ向きで進もうとする娘。そうこうするうちに娘は泣き出してしまい、父親に抱き上げられることになった。そこに母親が現れ、父親は泣きじゃくる娘を彼女に預けると、娘はすぐに泣きやんだ。