ヨカッタ探し

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February 6, 2006
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カテゴリ: 読書ろぐ
恩田陸『六番目の小夜子』


恩田陸さんの幻のデビュー作、『六番目の小夜子』を読みました。

読むのは2度目です。
一度目は4~5年くらい前でしょうか。
まだ恩田さんにはまる前で、なんとなくボンヤリ名前を聞いたことあるぞ、
くらいの頃に、職場の先輩に貸してもらいました。
だから、初めて読んだ恩田作品ってことになります。
その頃は、読書日記をつけてなかったので、どんな感想を持ったのか
正確には覚えていないんですが…。

他の作家の作品ばかり読んでいたので、はまる程ではなかったんですね。
初見の時は、どんなことを思っていたのかな?
恩田さんの魅力にはまってる今だったら、どう読むのかな?
…そんなことを考えながら読みました。

初期の、とはいえ、恩田作品に共通する魅力、というのが
既にこの作品にも漂っていて、中盤までグイグイ引き込まれました。
『象と耳鳴り』でもお馴染みの関根家の面々が出てくると、
なんだか懐かしくなったりもして。
そして、後半、ラスト…。
盛り上がりに比べると、やや尻すぼみかなぁ?とも思えます。
謎を謎のままにする、結末が新たな謎を呈示する…

それまでの展開が、主要登場人物たちが、あまりにも魅力的で。
「もったいない」
ん、なんかそんな感想デス。

最初に読んだ頃は、ミステリといえば新本格、みたいな時期だったので、
おそらく、もっと幕切れが物足りなく思えたに違いありません。

追っかけるまでには至らなかったのは、そのせいかな。
でも、この作品はこれで良いような気がします。

改めて、惹かれる要素もありました。
まず「謎めいた美少女」という転校生、沙世子。
サヨコ伝説の舞台となる、どこか地方のリベラルな進学校。
美少女では全然なかったんですが、わたしも何度も転校したので、
転校生の方がびくびくしてるんだ、
悪意を持って、自分の意思で転校なんてできるわけがない、という
沙世子の主張には、大きく肯いてしまいました。
転校生に大きく期待したりしないでくれ、という叫び。
それから、舞台の高校の雰囲気ですね。
わたしが通った高校も、旧制中学からの歴史を誇る、
その地域では名の通った進学校、でした。
リベラルな雰囲気と、でも、馬鹿げた伝統が幅を利かせてたり、
教員の在籍年数が長く、名物教師が多かったりするあたり、
物語中の高校と重なって、アレコレ思い返しながら読みました。
思春期の割りに、わたしは情緒の安定した学生だったと思うんですが、
それでもいろんなイベントがあって、そのたびにちょっとした事件が
持ち上がってたりしましたね。まぁ、生徒が起こすわけですが(笑)。
あれは、1回だけの、高校時代特有のものなんだと思います。
あの独特の雰囲気を見事に描ききってるあたり…
やっぱり、恩田陸タダモノではない、と思っちゃったりするのです。





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最終更新日  February 6, 2006 10:50:57 PM
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