ヨカッタ探し

ヨカッタ探し

June 19, 2006
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カテゴリ: 読書ろぐ
土曜日に、近所の古本屋さんに行って買ってきました。

恩田陸 『球形の季節』


これは『六番目の小夜子』に続く第2長編にあたるそうで、
そのせいか、2つの作品はよく似た雰囲気、構図を持ってる気がします。
学園モダンホラーと銘打たれているけれど、どこか閉鎖的な、片田舎の町を
舞台に、”伝統ある”高校に通う、至って健全そうな高校生達が主役。
なのに、どこかフッと異世界とつながるような…。ゾッと背筋が寒くなるような…。
そんな作品。
1作目、2作目と続けてこういう作品できたら、恩田陸って

よくまぁ、これだけ多彩な作品を書いてるよなぁ~。
改めて感心してしまいました。

でも、この『球形の季節』に漂うような、フワフワした怖さ、
みたいな感じは、恩田イズムといっても良いかもしれない。
うまく言葉では説明できないけれど。
謎の答えが明らかになった、その後の、いわば余りのような部分にこそ、
物語の魅力はあるんだよって、そんな感じ。
わたしが読んでいてひきこまれるような恩田作品には、いつもそんな
不思議な香りが漂っている気がします。

それとは別に。
今回の舞台は東北の”谷津”という町でしたが。

『小夜子』もそうだったけれど、自分の高校生活と思いっきり重ねちゃいます。
特に、今回は4つの高校に通う生徒が、その高校によってラベリング
されてしまう、という辺りにふかーく肯いちゃいました。
まず高校自体が、学区内にいくつもないんですよ。
一応、進学校と呼ばれる高校があって、それよりちょっと落ちる高校と、

あとは商業高校、水産高校、農業高校があって、
「名前さえ書けば入れる」私立高校と、「カタカナ書ければ入れる」私立高校。
(どっちがレベル高いのかは微妙だなぁ…)
そんな感じのラインナップ、でした。
ちょっと学区を出れば、電車で1時間程度のところに、
まぁまぁ進学率の高い私立高校や、高専があったりしたので、
たまーにそっちに進む人もいましたけれども。
校風とか、制服とか、そんなんで高校選べないんですよ。
殆ど、成績で輪切りにされる感じ。
その頃は、正直、高校なんてどこだっていいやと思ってたので、
悩む必要がなくていいなーと思いましたけれども、今思うと、
制服で町の人にもすぐにわかっちゃうとことか、閉鎖的なあの空間には
時々、叫びだしたいほどの衝動を感じました。
わたしは中学の時に、そこにやってきたよそ者だったので、余計に。

それでも、ずっと訪れてないあの町を、時々すっごく懐かしく思ったり。
やっぱり高校時代って、とても大切な時期だったんだなー。
物語の主題ではないけれど、なんだかそんなところに感じ入って
しまった作品でした。





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最終更新日  June 21, 2006 12:34:21 AM
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