ヨカッタ探し

ヨカッタ探し

October 13, 2007
XML
カテゴリ: 読書ろぐ(mystery)

恩田陸  『月の裏側』 (幻冬舎文庫、2002)
<あらすじ>
九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも?事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは“人間もどき”の存在に気づく…。(「BOOK」データベースより)


昨日、ブクオフで買ってきました
まだ読んでなかった、恩田さんの作品。
ジャンルで言うと、ホラーかな??

失踪事件の仕組みがわかるまでは、ミステリ色も強いけれど、
それが徐々にホラーっぽくなってきます。
わたしは、箭納倉のモデルとなっている柳川には、行ったことない
のだけれど、テレビで観た映像イメージにすっかり重なってしまい…。

無駄に怖がらせようという描写があるわけじゃないんだけど、
こう、映像で想像しちゃうと、すごい怖かったりします。不気味。

でも、次第になんか、人類という種に絡む主題が出てきて、
恩田さんっぽいなーと思いました。
無機物と有機物の境であったり、ミステリとホラーの境であったり、
どこかにあるはずのそういうラインが、恩田作品では
いつも曖昧になっている。
恩田さんの作品は、わたしたちの日常の感覚と地続きでありながら、
不意に別の次元に放り出されるような…
いつの間にか、違った世界に連れてこられるような感じ。
自分の常識に固執していると、迷子になってしまうような。


本格ミステリを書くことには慎重なようだ、とあって、その理由として、 

 多分、彼女にあっては、ラスト、名探偵がたった一つの真実に到達する本格ミステ
リを執筆するのには、非常な違和感を覚えざるをえないのだろう。そもそも、この世
のどこに真実などという便利なものがあるというのか?


とありました。ほんとそうだなーと思います。
人は皆それぞれの真実を生きている。唯一無二の客観的事実なんて
あるのだろうか??

この作品も、何人かの登場人物の視点で書かれていて、ある事実が
人によってどう見えるか…その違いを見せつけられます。
一方で、誰かに感情移入する、というのは難しいかなー。
あと、映像を思い浮かべると、夜、寝るのが怖くなります

とか言いながら、想像力貧困なわたしは、
昨夜はこれを読みながら、寝てしまいましたが
ついつい先が読みたくなっちゃう魔力が、恩田作品にはありますねー。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  October 13, 2007 08:10:02 PM
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

プロフィール

しゃちべえ

しゃちべえ

コメント新着

しゃちべえ @ nanaco☆さんへ コメントくださっていたんですね!! 放…
nanaco☆ @ Re:7月の読書メーター(前半)(08/02) おはようございます♪ おぉっ、HN変更さ…
しゃちべえ @ イノさんへ わー、コメントありがとうございます☆ …
イノ@ 再開祝い 更新されなくなってからも、チョコチョコ…
anna2号 @ ごぅだいさんへ >annaさんお久しぶりです。ごぅだいです…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: