| ★ 「ナラタージュ」島本理生(角川書店)(2007.1.5読了) |
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| 甘くせつないラブストーリーとはかけ離れた喪失感のある恋愛小説でした。 葉山先生を忘れられない泉はどこか冷静な感じがするし、その葉山先生はやはり大人のずるさがある。恋愛はかけひきなのかもしれないが、このかけひきが上手くいかないから自分を責めてしまう。途中で付き合う小野君は愛に寄りかかりすぎて怖い。若さ故なのかもしれないが、相手のことを思えば思うほど、何を信じていいかわからなくなる。後半に向かっていくにしたがって人間の愚かさや怖さ、そしてとても不安定な生き物なんだという感情がたくさんあふれている。柚子ちゃんはとても残念だった。全てを一人で抱え込んで最後に新堂君にぶちまけた形で逃げていくなんて・・・人間は簡単に逃げてはいけないと思う。葉山先生もだけど。2007年第1作目読了本としてはやや重たかったかも・・・でもよい作品でした。著者はまだ若い方だし、今後も期待して。 |
| ★ 「すみれちゃん」石井睦美(作)黒井健(絵)(偕成社) (2007.1.16読了) |
| すみれちゃんはフローレンスって名前がよかったんだって。すみれって可愛い名前なのに・・・そんなすみれちゃんに妹ができました。お姉さんになったすみれちゃんは大変です。ちなみに妹はかりんちゃん。可愛いな~児童書だけど、大人でも楽しめます。おしゃまだった少女時代を思い出すかも!? |
| ★ 「薔薇をさがして… 」今江祥智(文)宇野亜喜良(画)(BL出版)(2007.1.16読了) |
| 事故で父を失った13歳の昭夫は母とともに居酒屋をきりもりする。そこで見つけたバラの香り。そのバラに会いたくて・・・何とも不思議で秘密めいていてでも少しもの悲しいストーリー。 |
| ★ 「傘の自由化は可能か」大崎善生(角川書店)(2007.1.17読了) |
| いろんな雑誌などに掲載されたエッセイをまとめた一冊。へ~大崎さんってこんな人なんですね。実はあるところでお写真を拝見いたしまして・・・ この方が・・・あの・・・高橋和のだんな様・・・お顔を載せるんだったらもっときれいに・・・しかし、この方があのような小説を放浪しながら書いておられるんですね。今はどのような生活なのかはわかりませんが、赤ちゃんもいるし・・・もう読みながら、ネット検索しながら、へ~ほ~ひぃ~って感じですわ。感想になっていませんが、この書は話題が多くて・・・ひとつに絞れません。しかし、ヨーロッパ放浪が好きなようで・・・パリで小説って・・・某T氏みたい・・・ |
| ★ 「ハナとウミ 」大道珠貴(双葉社)(2007.1.19読了) |
| ハナ16歳、ウミ15歳。父親違いの姉弟。母を訪ねて沖縄へ。でも決してスローライフをしにいったわけではない。自由奔放な母は赤ちゃんを出産し、その父親らしき人は自殺しちゃうし。ハナもウミも平凡とは言いがたいような生活をしているのにどこか冷めているっていうか・・・成長しているんだか、最初から大人なんだか・・・よくわからないな。 |
| ★ 「蝶か蛾か」大道珠貴(文芸春秋)(2007.1.19読了) |
| ちょっと不思議な満々子さん。47歳のシングルマザー。って大分変わっていると思う。放浪の旅に出たり、海の家で働いたり、とにかく行動も満々子さんの意識も普通並じゃない。天然っていうか、自由っていうか・・・今の私には理解しがたいんだけど・・・ |
| ★ 「われら猫の子」星野智幸(講談社)(2007.1.20読了) |
| 11編の短編小説集である。表題作が一番よかったかな。第136回の芥川賞にノミネートされた方なのでどのような作品を書くのか興味があり、図書館の新刊コーナーにあったので読んでみました。著者の公式サイトもあり、のぞいて見た。「ふ~ん」こういう方なのね。本書は実にバラエティにとんだ内容で、どれも感じが違う。日常的なものから異質なものまで幅広いと言ったらいいのだろうか。全ては理解できなかったが、中々面白く読ませていただきました。 |
| ★ 「甘栗と金貨とエルム」太田忠司(角川書店)(2007.1.31読了) |
| 突然なくなった父の代わりに探偵の仕事をすることになった高校生・甘栗晃。 依頼人は小学生の少女(あだな:エルム)。金貨一枚で失踪した母を探してくれという。普通の探偵ミステリー?と侮ってはいけない。後半、進んでいくにしたがっていろいろな謎があかされていく。著者は愛知県出身。どうりで。名古屋に詳しいわけだ。名古屋生まれの私としては知った地名やお店が幾つも出てきて、思わずその辺りの風景までわかってしまって・・・別な意味で楽しい読み物でした。もちろん、ミステリとしても久々に面白い作品だったし。これは是非シリーズ化してほしい作品ですわ。 |