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2004年の読了本(6月)

2004年の読了本

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*6月*
「ナナイロノコイ」江國香織他(角川春樹事務所)(2004.6.1読了)
7人の作家が描く恋愛小説アンソロジー。あなたの恋は何色ですか?
ドラジェ(江國香織) グレーのスーツの私にピンクの彼女。別に色恋沙汰になるわけはない二人の目から見た奈津夫とコイちゃん(小池昌代)の結婚パーティー。こういうのって面白いなと思った。恋愛に恵まれない私。自殺願望のある奈津夫。とても不思議な関係だ。そして後半部分はこの奈津夫の結婚相手のコイちゃんの友達の視点になる。
そしてふたたび、私たちのこと(角田光代) ユリエのこと。ワカコのこと。そして私たちのこと。三人三様の恋愛がある。ワカコの恋は古文の先生。でも決してかっこいい若い先生ではなくて、欠食児童のようにやせ細り腹だけが突き出た中年。そして修羅に満ちた恋の終わり。次の恋は上司との不倫。ユリエはおたくっぽいのが好み。ワカコの恋に軽蔑していたが、最後には自分も不倫に落ちる。そして至って普通の私。この三人の行く末が見てみたいな。
帰れない猫(井上荒野) 荷造りのはかどらない最後の夜。洪水と隣家の猫が迷い込む。別れの場面なのに静かな空気が流れていていい感じだった。
これっきり(谷村志穂) チアキとはもう1ヶ月以上口を聞いていない。女友達との関係・・・難しいね。
ビルの中(藤野千夜) 駅前で詩を読む人。何だか思いっきり変な設定だけど、こういうのが意外と・・・
・くらげ(ミーヨン)契約恋愛?名前も知らない人と恋愛が進行できるのか?
手のひたの雪のように(唯川恵) あ~またこじれてる。こういう恋愛って。後味は悪いがよくあることなのか。
「ガールズ・ブルー」あさのあつこ(ポプラ社)(2004.6.4読了)
幼馴染の理穂、美咲、如月達が過ごした夏。お祭りに花火に海に。何をしても笑いがとまらない年頃。こういうの青春っていうんだろうなー今が一番楽しくて、ずっとこのままでいれたら・・・こういう思いってこの年代の頃あったなー美咲は体が弱くて入退院を繰り返し、でも強く生きている。如月の兄、睦月は高校球児。落ちこぼれの如月とは違うのだ。でもそんな如月に理穂の弟、真央は憧れている。その弟、真央はネコ惨殺事件の犯人に疑われたり。理穂は失恋をして17歳になるし。誕生日にロシアン携帯ルーレットなる遊びをするところが今どきの高校生っぽいかな。外からどんなに「あの高校ね」と落ちこぼれのレッテルを貼られ、事件が起こると真っ先に疑われても、理穂たちは特にすねているわけでもなくて、まっすぐに生きている。 いつの時代も彼女達の友情は変わらなくて、キラキラ輝いていて、楽しくて。いいな。こういうの。
「僕と先輩のマジカル・ライフ」はやみねかおる(角川書店)(2004.6.6読了)
主人公の快人がこの春合格したばかりの大学で、奇妙な事件が次々と起こる。快人は先輩長曽我部慎太郎、幼なじみの春奈とともに、摩訶不思議な事件を解き明かしていく。快人は夜9時に寝るという至って健康的な生活を送るくそ真面目もの。でも長曽我部先輩とのオカルト的な事件をめぐる日々に振り回されっぱなしなのが実に面白い。そして霊能力があるという春奈。こちらは実にひょうひょうと自由気ままにこのオカルト事件を楽しんでいる。 とってもユニークな三人なのだ。他にもこの下宿先の今川寮の住人達はみんな変わり者だ。しかし、第三話の「河童」の「カッパのカータン」って?それから長曽我部先輩の二重人格って?謎だ~
「イングリッシュローズィズ」マドンナ(作)江國香織(訳)ジェフリー・フルビマーリ(絵)(ホーム社)(2004.6.6読了)
イングリッシュローズィズって、聞いたことがあるかしら?それはニコル、エイミ、シャーロット、グレイスの仲良し4人組のこと。そんな4人が嫉妬しちゃう女の子が一人。ビーナ。その子はその4人が嫉妬するほど人にほめられているけど、実は・・・ってよくあるような女の子のお話なんだけどね。マドンナが書いた本だし、ちょっと大人になった女の子向けかな。
「弱法師」中山可穂(文芸春秋)(2004.6.7読了)
かなわぬ恋こそ、美しい。能をモチーフに現代の不可能な愛のかたちを描く、中篇小説集。
弱法師(よろぼし) ・難病におかされた義理の息子・朔也と義父で担当医の鷹之との愛情の物語。めずらしく男同士だ。しかも相手が美少年の息子。禁断でしかも過剰な愛だ。朔也とメール出知り合った聾唖の未央との雪の降る海のシーンはとてもきれいでした。
卒塔婆小町 ・ホームレスの女が語る編集者と若き小説家の狂気の愛の物語。小説家志望の青年が墓地で会ったホームレスの百合子。彼女はかつては美人の凄腕の編集者だった。若き作家深町遼が愛したのは百合子。でも百合子は・・・叶わぬ愛なのにそれでも愛の証として百編の小説を書き続ける深町。命まで捧げて愛する姿はとてもせつなかった。
浮舟 ・母の死によって明らかになった叔母薫子と母と父との関係。17歳の碧生にはこの三人の関係がどのように写ったのだろうか?
「ジャンピング☆ベイビー」野中柊(新潮社)(2004.6.12読了)
鎌倉駅で鹿の子を待つのは三年前に別れた夫・ウィリー。二人は江ノ電に揺られ愛猫のユキオを埋葬に行く。猫と元夫・ウィリーとその妻ジュディ、そして鹿の子と今の夫の関係。どれもが微妙で危ない感じがする。ユキオとの思い出を交えながら現実の生活の不安が切実に語られている。最後にジュディとその赤ちゃんに会いに行くんだけど、鹿の子はカナダへ帰るジュディに共感してしまうんだよね。彼らにとって猫だけが疲れた心と体を癒す存在だったのかな?
「丹生都比売」梨木香歩(原生林)(2004.6.13読了)
持統天皇の治世を舞台に、丹生都比売という姫神と、水と、銀とに彩られた、草壁皇子の少年の日々を描く。時は壬申の乱の頃だけど戦を描いたものではなくて、どちらかというとファンタジーっぽい。幻想的で美しいお話です。でもラストは哀しいかな。装丁がとてもきれいです。
「ぼくと未来屋の夏」はやみねかおる(講談社・ミステリーランド)(2004.6.16読了)
六年生の夏休み前日、作家を夢みる風太は未来を百円で売る“未来屋”猫柳さんに呼びとめられた。風太の住む髪櫛町では、昔からかくれんぼをすると最後まで見つからない子がいるといわれる神隠しの森や首なし幽霊の話、人喰い小学校の噂、人魚の宝の謎が言い伝えられていた。猫柳さん、最高です。風太の夏休みの自由研究が「神隠しの森」それも猫柳さんが勝手に大原留美子先生に告げた。どうも宝探しを楽しんでいる。夏休みのわくわくするような冒険と懐かしい感じ。まるで自分の小学校時代にトリップしたかのような錯覚です。それと猫柳さんの最後のオチ(?)がいいんだな~(詳細は著書のENDINGをお読みください。)これは思いっきり楽しめた。作者自身もあとがきで「自分が読みたい」のを書いたとあったので、誰もが楽しめる一冊ではないかと・・・超おすすめ!
「猛スピードで母は」長嶋有(文芸春秋)(2004.6.17読了)
第126回芥川賞受賞作。文學界新人賞受賞作。やっぱり「ジャージ」よりこっちのほうが全然よかった。
・サイドカーに犬・ 久し振りに会う弟。コンビニで買った麦チョコで思い出すのは小4の夏休み。母が出て行った夏に突然、家にやってきた洋子さん。そして彼女や父や弟たちと楽しく過ごした日々。結局、修羅場があって、父と母は離婚し、洋子さんは出て行くんだけど、洋子さんは何だかカッコイイ感じがした。
・猛スピードで母は・ こちらの母はたくましい。昼は保母の資格をとるために学校に通い、夜はガソリンスタンドでアルバイト、そして移動するときは猛スピードで飛ばす。おまけに外国帰りの男と結婚したいという。 そんな母を慎はどのように思っているのだろうか?学校でいじめられたり、祖母が死んだり、いろいろあるな~お話自体も猛スピードで過ぎ去っていく感じだった。
「きみとぼくの壊れた世界」西尾維新(講談社ノベルス)(2004.6.20読了)
禁じられた一線を現在進行形で踏み越えつつある兄妹、櫃内様刻と櫃内夜月。その友人、迎槻箱彦と琴原りりす。彼らの世界は学園内で起こった密室殺人事件によって決定的にひびわれていく…。様刻は保健室のひきこもり、病院坂黒猫とともに事件の解決に乗り出すが―?『メフィスト』に一挙掲載され絶賛を浴びた「体験版」に解決編を加えた「完全版」。何だかとっても屈折した世界。今まで読んだ「戯言シリーズ」とは違い、本格なのかな。残虐的なこともさらっと言い放ってるし。これは好き嫌いが分かれる作品だね。
「いつか記憶からこぼれおちるとしても」江國香織(2004.6.21読了)
10人の17歳、女子高生の6つの物語(短編)です。少しずつ、登場人物とかリンクしてるんだよね~自分の高校時代とは随分違うけど、きっと彼女達の精一杯の日常なんでしょうね。江國作品としてはめずらしい感じの話ですが、さらさらと読めました。「指」「緑の猫」「テイストオブパラダイス」「飴玉」「雨、きゅうり、緑茶」「櫛とサインペン」個人的には「テイストオブパラダイス」がよかったな。
「黒い天使になりたい」谷村志穂(河出書房新社)(2004.6.22読了)
携帯サイト(J-PHONE現ボーダフォン)に連載された作品を中心とした短編集。一編ごとがすごく短いです。表題は書き下ろし作品。特に大事件が起きるわけではないけど、ちょっとした恋愛のシーンとか日常のシーンとかがいいです。
「ももこの21世紀日記 N’03」さくらももこ(幻冬舎)(2004.6.22読了)
もう3冊目なんですね。ももこさんの携帯サイト「ももこの近況」2002年11月から2003年10月末までをまとめたものです。宝石の話とか出てきて、あ~宝石物語のことだ!とか妙に嬉しかったな。一番驚いたのはももこさんが再婚していたこと。しかもお相手が「うんのさしみ」さん。え~~~こんなところで再婚を知るとは・・・
「よくばり京あそび 内山理名のうれしい・たのしい京都歩き」(ぴあ)(2004.6.25読了)
内山理名さんが案内する京都。と、言っても所謂タレント本ではない。彼女の露出は極めて少ない。女性の視点でとらえた京都案内と言ってもいいかも。恋愛にご利益がありそうな神社、京都のおばんざいや美味しいスイーツが食べれるお店、京都ならではのファッションや小物のお店、そして究極のお泊り宿まで、最後にマップ付きですからコレを一冊持って京都の街をはんなりと歩いてみませう!
「猫舌男爵」皆川博子(講談社)(2004.6.29読了)
爆笑、幻惑、そして戦慄。小説の無限の可能性を示す、瞠目すべき作品世界。表題作ほか4編を収録した短編集。 う~む。唸ってしまう。容器の中の養液に守られた世界。何となく物悲しい。(水葬楽)猫舌なのが唯一の欠点の男爵。しかし、これは何なんだ!異文化コミュニケーション!?あまりのかみ合わない解釈に笑いさえこみ上げてくる。(猫舌男爵)醜くてずるい大人のやり口を見てきた少年が段々成長していく。(オムレツ少年の儀式)あ~もうこの辺で勘弁して~って感じです。上手く感想がかけません。リタイヤします。
「ダンボールボートで海岸」千頭ひなた(集英社)(2004.6.30読了)
第27回すばる文学賞受賞作。父親はいない。母親は家出中(男と)。20歳になった大学を休学中の「ボク」(実は女・フジモトアオイ)母の車のローンを返済するために只今、フリーター。そんなボクが散歩中にアイスクリームの自販機の前で女装趣味のサラリーマン(カワグチサナオ)23歳と出会う。そしていつの間にか同居人の自称・アーチスト(キノモトハナ)25歳、そして中学2年の時の同級生・シモムラとは金をもらって寝る中。何だか訳ありそうな人たちばかりだけど、取り立てて大事件が起こるわけではない。途中で手首だけがごみの電子レンジから出てきたニュースを見てそこへ見に行ったり、(いきなりホラーかミステリーになるかと思った)家出した母親の居所を教えろと母親と一緒に逃げた男の妻子が乗り込んできたり、金で体を売っていたことがバレてシモムラの彼女が乗り込んできたり。こんな事件はいろいろあったけど、結局「ダンボールボート」の意味がよくわからなかった私。読みが足りないのか?しかし、女の子なのに「ボク」。これは最初とまどったし、ですます調の何やら改まったような文章も違和感があったが、何となく青春、何となく成長・・・ってことで。


mitu n



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