東方見雲録

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2025.11.28
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カテゴリ: 政経


(ブルームバーグ): 政府は28日、2025年度補正予算案を閣議決定した。高市早苗首相の下での初の予算編成は補正としてはコロナ禍以降最大の規模となり、積極財政の色が鮮明となった。政府は12月17日までの臨時国会で早期成立を目指す。

  一般会計総額は18兆3034億円。歳出は経済対策の関連経費17兆7028億円が大半を占める。歳入では、今年度税収の上振れ分2兆8790億円を充てる。これに伴い、25年度の税収は80兆6980億円と過去最高を更新した。ただ、財源不足を補う新規国債は11兆6960億円に上り、国債頼みの構図も際立った。
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経済政策の司令塔を担う経済財政諮問会議でも、民間議員から積極財政を後押しする意見が出る。財政悪化に警鐘を鳴らす声が政権中枢に届きにくくなる中、どう市場の懸念を払しょくするかが課題となる。

  金融市場は中長期的な財政の健全性に不安を抱いている。債券価格のさらなる下落(金利は上昇)を予想する声が増え、円は主要通貨の中でも下落が目立つ。

  高市首相は26日の党首討論で、経済対策について国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事から「財政上のリスクも手当てされていて安心している」とのコメントがあったとし、「放漫財政との指摘は当たらない」と述べた。当初予算と補正予算を合わせた国債発行額が昨年度を下回る見通しも示している。

今回の補正予算編成に伴う国債増発は、22年度第2次補正予算の22兆8520億円以来の規模となる。これまで政府が財政健全化の指標としてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を悪化させる要因となる。

  高市首相はPBではなく、債務残高対国内総生産(GDP)の引き下げを重視する。分子の債務残高が膨らむ以上に分母のGDPが拡大すれば、財政の持続可能性は担保されるためだ。

  政府の従来の財政健全化目標は、PB黒字化と債務対GDP比引き下げの両方が併記されていた。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が指摘するように、「債務対GDP比の増減の多くはPB要因によるもの」で、PB黒字化は債務対GDP引き下げのための手段として位置付けられている。


引用サイト: こちら

関連サイト:25年度補正予算案18.3兆円、政府決定 物価高対策や成長投資  日経新聞   こちら

歳出は21日にまとめた経済対策の経費が17兆7028億円に上った。分野ごとに内訳をみると①生活の安全保障・物価高への対応8兆9041億円②危機管理投資・成長投資による強い経済の実現6兆4330億円③防衛力と外交力の強化1兆6560億円④予備費の確保7098億円――となった。

物価高対策としては自治体向けの支援金を拡充し「おこめ券」や電子クーポンなどに使えるようにする。26年1〜3月の電気・ガス代を支援するほか、子育て世帯に18歳以下の子ども1人あたり2万円を給付する。

高市政権の経済政策の肝である危機管理投資・成長投資は人工知能(AI)や半導体、造船などの戦略分野が対象だ。サプライチェーン(供給網)の強化やサイバーセキュリティー対策の徹底を促す政策に予算を充てる。

防衛費も積み増す。国内総生産(GDP)比2%に引き上げる目標の達成時期を当初の27年度から2年前倒しする考えだ。

政府が使途を柔軟に決められる予備費を確保し、自然災害やクマ被害の拡大などに備える。

歳入は税収見積もりの上振れ額の2兆8790億円を充てた。25年度の税収見込みは当初の想定より多い80兆円台になる見通しだ。6年連続で過去最高を更新する。

補正予算案の歳入には税外収入の1兆155億円や24年度の剰余金2兆7129億円も活用した。

不足分は国債の追加発行に頼り、歳入の6割超に上った。このうち赤字国債が8兆1570億円、インフラ整備に使う建設国債が3兆5390億円になる。

国債発行額は24年度の補正予算時の6兆6900億円と比べて5兆円ほど多い。25年度の当初と合わせた発行額は40兆円ほどで24年度の42兆1390億円を下回る。



関連サイト:日本成長戦略を吟味する こちら
高市政権は、「重点投資対象17分野」を選定した。その中には、インバウンド・観光や健康・予防医療など重要分野が入っていない。また、政府はこの17分野以外に、分野横断的課題として8項目を挙げている。経済好循環や分配政策は、こちらの観点から推進されていくようだ。岸田・石破政権から引き継ぐべき政策については、高市政権もリレーのバトンをつなぐように、きちんと受け止めてほしい。
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政府が挙げる17分野は、その数が多いために、ついつい重要な分野が抜けていることに気が付きにくい。例えば、「脱炭素」はどこにあるのか。細かくみれば、GXの中に含まれているとみることもできるが、メインの課題からは外された気がする。地球環境問題が切迫する中で、脱炭素を格落ちさせることは適切ではない。

折から、高市首相には、再生エネルギーに熱心ではないという先入観があった。太陽光パネルの設置には消極的な発言もあるからだ。また、筆者が重要な成長分野だとみている「インバウンド・観光」も、この17分野からは抜けている。観光振興は、地域活性化には欠かせない視点である。石破前政権は、地方創生を旗印に掲げていたので、それを重点分野にはしたくないという心情が加わった可能性もある。ともかく、筆者は17分野に挙げられていない重要分野がほかにも多くあることを指摘したい。



関連日記:2025.11.27の日記  経団連 政権への要望   こちら

関連サイト:与党が衆院で過半数を確保 無所属の3議員が自民会派入りで正式合意 こちら
衆院会派「改革の会」で活動する無所属の衆院議員3人が28日、国会内で自民党の鈴木俊一幹事長と面会し、自民会派に加わる意向を伝えた。鈴木氏も受け入れる考えを示し、会派入りで正式に合意した。これまで自民と日本維新の会の与党は衆院で計230議席の少数与党だったが、3人の加入により、与党会派は過半数(233議席)に達する。

 衆院での与党の過半数の確保は約1年ぶり。参院では自民と維新は計119議席で過半数まで6議席足りない状況が続く。法案成立に野党の協力が必要になる状況は変わらないものの、衆院の優越を定めた憲法の規定により、予算案などは与党のみで成立させることが可能になる。

 自民会派入りの意向を伝えたのは斉木武志(比例北陸信越)、阿部弘樹(比例九州)、守島正(大阪2区)の3氏。3人は9月、所属していた維新の執行部の運営に対する不満などを理由に離党届を提出し、除名されていた。

 3人はその後、衆院会派「改革の会」を結成し、首相指名選挙では高市早苗首相(自民総裁)に投票。自民関係者によると、自民幹部が3人に会派入りを打診したという。





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Last updated  2025.11.28 18:02:49
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