プレリュード

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2006年01月28日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽 』  ファーレ作曲 「レクイエム」

ガブリエル・フォーレ(1845-1924)は近代フランス音楽の歴史の中で、地味ながら繊細で抒情性豊かな作品を少なからず遺しています。 フォーレは音楽学校でサン=サーンスなどから教育を受けた人で、後にラヴェルを育てたりチェリストのピエール・フルニエなどを教えています。

彼はオルガン演奏が得意だったようで、パリのサン・シュルピース寺院やマドレーヌ寺院のオルガン奏者として名をとどめており、敬虔なカトリック教信者であったようです。

そのフォーレが書いた作品で最も有名な曲の一つに「レクイエム」がありますが、こうした彼の教会・寺院でのオルガン奏者という経歴から推して、生れるべきして生まれた教会音楽なのかも知れません。

フォーレは79歳で1924年に亡くなっていますが、晩年に差し掛かった1905年(60歳)にパリ音楽院の院長に迎えられて、多くの音楽家を育てたことだと思います。

そんなフォーレの作品にはピアノ五重奏曲やピアノ曲「夜想曲」、組曲「ペレアスとメリザンド」(オーケストラ曲)、歌曲「夢のあとに」などど並んで、彼の名を音楽史に永遠に刻み込んでいる「レクイエム」という名作があります。

「レクイエム」はキリスト教会の葬儀の儀式で使われる亡くなった人の安息を祈る音楽で、「死者のためのミサ曲」です。

この音楽はモーツアルト、ベルリオーズやヴェルディなどによっても書かれており、いずれも名作として今日でも人気のある曲で演奏会や録音などで採り上げられています。



他の教会音楽と同じで、この「レクイエム」にもラテン語に定められた式文があり、音楽の構成などにも決まりがあり、そうした定められたことに準拠して音楽が作られるのですが、フォーレはそうした取り決めを無視したように自分の書きたい音楽を書いたのです。

「レクイエム」で最もドラマティックな「怒りの日」を省き、「ベネディクトス」の代わりに「ピエ・イエス(ああ、イエスよ)」を書き、最後に「イン・パラディスム(楽園にて)」という安らぎの言葉で終わる音楽を置くなど、彼独特の工夫を凝らして書いています。 ですからモーツアルトやヴェルディ、ベルリオーズなどの同名作品とは自ずと違いがあります。

大きな違いは、フォーレの工夫により全曲が繊細で優美、清澄な音楽となっています。

全曲で40分近くかかリマスが、7つの部分から構成されており、私が最も好きなのが第4部の「ピエ・イエス」と最後の「イン・パラディスム」です。

第4部のソプラノの清らかさがとても魅力的で、まるで癒しの音楽のようです。 また最後の曲はオルガンの響きが例えようもなく美しく、天国とはこういうところなのかと思わずにおれない音楽です。

繊細、優美、清澄という言葉がぴったりの素晴らしい「レクイエム」です。

1892年の今日(1月28日)、この「レクイエム」がパリ・サンジェルヴェ教会で初演されています。

しかし、この曲の初演日の特定は難しいようです。最初に書かれた5曲だけで1888年にマドレーヌ寺院でフォーレ自身の指揮で行われており、1892年になって全7曲の形となって初演されています。

その後フォーレが弦楽5部に管楽器を加えた二管編成に変更した版で1900年5月にリールで初演されています。この版が、現在一般的に使われて演奏されているスコアのようです。

愛聴盤 アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団 エリザベート・ブラッスール合唱団 ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘルス(S)

1/28
(EMI原盤 東芝EMI TOCE-3067 1962年2月・5月録音)



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今日の音楽カレンダー

1887年 誕生 アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアニスト)
1892年 初演 フォーレ 「レクイエム」

1947年 没  レイナルド・アーン(作曲家)

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ともの『 今日の一花 』      カーネーション

1/28撮影地 自宅 2006年1月27日





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最終更新日  2006年01月28日 00時32分54秒
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ふんわりピンク~!  
うっとりしてしまいました。

パエリャのタイム待ってくださいね。
炒めてから炊くのでそんなに時間はかからないのですが時間を意識していなくて即答できず申し訳ありません。壇さんの本で知った方法でしています。その本が見当たらない。(でも時間はそれにものってなかったような記憶が・・・) (2006年01月28日 11時21分50秒)

Re:フォーレ「レクイエム」/カーネーション(01/28)  
ピア2753  さん
>最後の曲はオルガンの響きが例えようもなく美しく、天国とはこういうところなのかと思わずにおれない音楽です。

私も同じ様なことを想像しておりました。 (2006年01月28日 12時19分55秒)

Re:フォーレ「レクイエム」/カーネーション(01/28)  
会長0804  さん
 仰るとおりこの曲は全く特殊なレクイエムですね。激しい怒りや悲しみがなく、ひたすら静かな光がやさしく照らしてくれるような、繊細な響きに満ちていていつ聴いてもその美しさに陶然とします。フランス音楽の精華の一つですね。 (2006年01月28日 13時04分27秒)

Re:フォーレ「レクイエム」/カーネーション(01/28)  
nekovi  さん
この曲の終曲はいいですね。
間違いなく自分が墓場まで持っていく曲リストに入ってます。(爆
クリュイタンスは新旧どちらも愛聴盤です。 (2006年01月28日 21時30分14秒)

e-timeさん、ありがとうございます  
とも4768  さん
e-timeさん
>ふんわりピンク~! うっとりしてしまいました。

いつも同じようなアングルばかりなので、何かいいアングルがないかと考えています。 そのうちにもっと違うアングルで撮れるといいのですが。

>パエリャのタイム待ってくださいね。
>炒めてから炊くのでそんなに時間はかからないのですが時間を意識していなくて即答できず申し訳ありません。壇さんの本で知った方法でしています。その本が見当たらない。(でも時間はそれにものってなかったような記憶が・・・)
-----
お心遣い、ありがとうございます。

ご無理をお願いしたようで、すみません。 まだ作っていないのですが、自分でも一度試作をやってみます(失敗覚悟で!)

(2006年01月28日 21時37分47秒)

Re[1]:フォーレ「レクイエム」/カーネーション(01/28)  
とも4768  さん
ピア2753さん
>>最後の曲はオルガンの響きが例えようもなく美しく、天国とはこういうところなのかと思わずにおれない音楽です。

>私も同じ様なことを想像しておりました。
-----

「天国」を描いた音楽でマーラーの交響曲第4番の終楽章があります。ソプラノ独唱で天国を歌っているのですが、この「レクイエム」は想像させる効果が、それ以上でとても好きな音楽です。

(2006年01月28日 21時40分37秒)

会長0804さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
会長0804さん
> 仰るとおりこの曲は全く特殊なレクイエムですね。激しい怒りや悲しみがなく、ひたすら静かな光がやさしく照らしてくれるような、繊細な響きに満ちていていつ聴いてもその美しさに陶然とします。フランス音楽の精華の一つですね。
-----

ブラームスの「ドイツ・レクイエム」などとは一線を画す音楽で、フランス音楽の繊細さと優美さの極致のような美しさに聴き惚れています。 まさに「死者のための」静かな安息を祈る音楽ですね。

(2006年01月28日 21時45分01秒)

nekoviさん、ありがとうございます  
とも4768  さん
nekoviさん
>この曲の終曲はいいですね。
>間違いなく自分が墓場まで持っていく曲リストに入ってます。(爆
>クリュイタンスは新旧どちらも愛聴盤です。

私がこの曲を初めて聴きましたのがこの紹介の録音でLP盤でした。以来、この演奏だけを聴いています。 50年代のモノラル録音もあるんですね。

敬虔なキリスト教徒でったジュリーニが録音しておれば、聴きたいと思っています(その録音があるのか調べていないのですが)。 ジュリーニのバッハ「ミサ曲ロ短調」やシューベルトの「ミサ曲第7番」、ヴィヴァルディの「聖歌四編」などの透明で清澄な響きに感銘していますので。

-----
(2006年01月28日 21時53分56秒)

Re:フォーレ「レクイエム」/カーネーション(01/28)  
タケノノ さん
古い日記にレスして申し訳ありません。
フォーレは大好きな作曲家です。でも「レクイエム」は久しく聴いていないなぁ。ともさんの挙げられたクリュイタンス盤は、中でも長年「名盤」と言われていますよね。恥ずかしながら一度も聴いていない・・・
フォーレは晩年、耳の病に悩まされます。それもベートーヴェンのように「聞こえなくなる」ならまだしも、高音部は3度高く、低音部は逆に3度低く聞こえてしまったそうで、耳に入るものは騒音以外の何者でもなかったでしょうね。それでいながらあのピアノ五重奏曲のような傑作を生み出すのだから、その執念たるやすごいですね。
最後の歌曲となった「幻想の水平線」、20台にして戦死した詩人の詩に乗せ、70を超えたフォーレが若々しく力強い曲をつけています。これも感動的な音楽です。 (2006年02月01日 01時40分27秒)

タケノノさん、ありがとうございます  
とも4768  さん
タケノノさん
>古い日記にレスして申し訳ありません。
>フォーレは大好きな作曲家です。でも「レクイエム」は久しく聴いていないなぁ。ともさんの挙げられたクリュイタンス盤は、中でも長年「名盤」と言われていますよね。恥ずかしながら一度も聴いていない・・・
>フォーレは晩年、耳の病に悩まされます。それもベートーヴェンのように「聞こえなくなる」ならまだしも、高音部は3度高く、低音部は逆に3度低く聞こえてしまったそうで、耳に入るものは騒音以外の何者でもなかったでしょうね。それでいながらあのピアノ五重奏曲のような傑作を生み出すのだから、その執念たるやすごいですね。
>最後の歌曲となった「幻想の水平線」、20台にして戦死した詩人の詩に乗せ、70を超えたフォーレが若々しく力強い曲をつけています。これも感動的な音楽です。
-----
フォーレの難聴について書くのを忘れていました。難聴にもかかわらず、あの名曲「ピアノ五重奏曲」が書かれたことには驚きですね。

「レクイエム」はこのクリュイタンス盤が一番好きな演奏でLP時代から聴いています。
(2006年02月01日 05時22分54秒)

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